「あの男はちゃんとこの文字を読む事書く事もできています。もしかしたら永遠に謎だったあの書物も解読できるかもしれません。一度読ませてみませんか?閣下。」
「ふむ…。よろしい。許可しよう。一度ここに連れてこい。」
「わかりました。ありがとございます。閣下。」
「…というわけで釈放だ。」
「わかった。」
「うん。返事が短くて助かる。」
…と言う訳でまずは閣下と呼ばれている偉い人のところに行くらしい。失礼がないようにしなくちゃな…。
「閣下。連れてきました。」
「ご苦労様。そして、男よ。すまぬな。勝手に牢に放り込んで。それと名は何と言うのだ?」
「えぇ…。起きたときには驚きましたからね。僕はヴィクトールといいます。」
閣下は老人で、王様のような格好をした、貫禄のあるおじさんだった。
「わかった。ヴィクトールよ。お主、この文字が読めるようだな?」
「はい読めます。」
「では、この書物、読んでくれんか。」
「はい。わかりました。」
僕はその書物を読んで驚いた。
「これは…」
「何かわかったか?」
「はい。この書物は極めて古く、僕の知識が正しければ約一万年前の書物です。その頃はこの文字を使った魔術が栄えていました。とりあえず全部読んでみます。」
「わかった。」
「この書物ってどこから出てきたんですか?」
「?いや…わからんな…代々引き継がれる王様専用の倉庫に入っていた、としか言えない。」
「なるほど、これ、やばいですよ、これに記されてる魔術は誰でも簡単に使えて乱用すれば簡単に世界は崩壊するレベルでやばいです…。」
「‼どういった魔術なのだ!」
「魂管理術。なんとなく名前でわかるでしょう?」
「!!それはまずいな…それが流出してしまえば民は疑心暗鬼になり殺し合いが起きてしまう。」
「閣下。この男。どうしますか?」
「え?どうするって…」
「…。いや、処分はしない。」
⁉処分⁉え、何!?僕殺されてたかもしれないの!?!?!?
「いや、ですが…」
「処分はしない。」
「…はっ…閣下の仰せのままに。」
「ヴィクトール。」
「は、はい。」
「今から硬い契を交わそう。その魔術、誰にも見せるな、口外するな。」
「はい…。」
「その代わり、なんでもほしい物を言ってくれ。わしが出せるものだったらなんでも出してやる。」
「じゃあ、この魔術を使える場所。」
「それはもうある。他のにしてくれ。」
「じゃあここで暮らすために必要なものをこれでもかと思うくらいに下さい。」
「わかった。それでいいのだな?」
「まぁ元々そんなに欲しいものなんてないですからね。」
「わかった。じゃあ先程言った魂管理術を使用してもいい場所を教えてやろう。」
「はい…。」
「ただ一つの使用してもいい場所。」
「どこですか?」
「ここのダンジョン内の誰もいないところ。ここは最初のうちのレベル上げにしか使われない。だから浅いところで全員終わるのだ。だから深いこんなところには来ない。探索もされないのでな。それと是非ともその魔術を使って殺してほしい敵がおるのだ。」
「ほう。どんな敵ですか?」
「地下へ続く門の番人」
「強いのですか?」
「うむ。我らの勢力の戦闘の精鋭兵が出撃したところ、ほぼ全滅にまで追いやられたのだ。行った人数が50人に対して戻ってきたのは6人。もちろん瀕死でな。」
「なるほど、」
「そいつを倒せば新たな地に行くことができるのだがもうあの日から一人も送っていない。」
「そいつをこの魔術の効果を調べるのと同時に倒してきてほしい、と。」
「そうだ。」
「わかりました。僕も初めてみるこんな魔術に興味しかないので。」
「では、装備を支給しよう。」
「いや、いいです。」
「え?いやでもそんな軽装で…」
「良いんです。」
「一撃食らっただけで死ぬぞ?」
「3年間ここで暮らしたぼくの戦闘技術なめないでくださいよ。」
「は!?3年間!?」
「えぇ。3年間。」
「え、よく、死ななかったな、」
「でしょう?ですから大丈夫です。」
「まぁ理解した。共に行く兵は、」
「いりません」
「…わかった。では、もう今日は解散としよう。ゆっくり休むが良い。」
「えぇ…。わかりました。」
そう言って僕は釈放してくれた女性と共に外に出た。
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