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親父は、世界聖書を使い大魔法を放ってくる。……でも、待てよ。ルドミラの手紙によれば、彼女が聖書を取り戻していたような。
いやだけど、あの手紙は最後、魔法図書館に入ろうとしたところで途切れていた……つまり、先を越されてしまっていたんだ。
「どうした、ラスティ!! 動きが止まっているぞ!!」
「うるせえ、クソ親父。こっちにはこっちの考えがあるんだよ」
火、水、風、地の魔法攻撃が飛んでくる。どれもこれも、受けたら大ダメージだ。ゲイルチュールでなんとか防御できているが、多分、親父のやつまだ本気ではない。少なくとも俺を殺せば帝国は終わりだ。
痛めつける程度に威力を抑えているのだろう。
――とにかく、いったんアルフレッドの容体が気になる。
親父の周囲に『落とし穴』を展開。
だけど、アイツは一歩も動かないから落とせるかどうか! なら、落石で動いて貰う。
石を大量に消費し、石の雨を降らせた。
「ほう、こんなスキルが使えるとはな。ラスティ、貴様はいつの間にこんな力を手に入れた……だが、あまりに脆弱! 惰弱!! このような戯れで私を倒そうなど――むぅ!? ぬおぉぉぉ……!?
落石を回避しようと親父は動き出す。だが、周囲に展開した『落とし穴』に落ちた。意外とアホだった。這い上がってくる前に、アルフレッドとエドゥの様子だ。
俺は一気に後退。
「アルフレッド!! エドゥ!!」
駆け付けると、エドゥはバリアを解いた。
「親父にやられたのか、エドゥも傷だらけじゃないか!」
「す、すみません。自分とした事が……不意打ちを食らって……うぅ、もう限界です」
ぱたりと倒れるエドゥ。
背中が血塗れだった。
……エドゥも無理をしていたのか。
「ラスティさん、大変です。アルフレッドさんが……」
「スコル、アルフレッドは……!」
俺は、アルフレッドに必死に呼びかけた。すると、弱々しく目を開けて――けれど、口から大量の血を吐いて苦しそうにしていた。
「…………ぼ、ぼっちゃん。申し訳……ありません。あれだけ島を守ると豪語して……この有様です。どうか……どうか、お許しを」
「いや、お前は十分すぎるほど島を守った。事実、陥落はしていない。だから……アルフレッド、死ぬな!」
「……ああ、最期にぼっちゃんの顔が見られて良かった……」
「馬鹿な事を言うな。お前に死なれたら、俺はどうすればいい」
「大丈夫です。ぼっちゃんは立派になられました……事実、あの忌むべき世界聖書を手にする皇帝陛下を物ともせず戦っておられた……」
「もういい喋るな。スコル、アルフレッドの回復を……」
だが、スコルは首を横に振った。
……そんな、もう間に合わないのか。
「いいんです、ぼっちゃん。私は十分、長生きした。あなた様の執事で…………よかった……」
アルフレッドは瞼を閉じ、息絶えた。……そんな、なんで。どうして、アルフレッドが死ななければならなかった。
俺のせいだ。
俺がもっと早く島に帰って来れば……こんな事にはならなかった。
彼の冷たくなった手を握り、俺は悲しみに包まれていた。くそ、くそぉ……!
「……ほう、そのゴミ執事はくたばったか。ラスティ、これが世界聖書の力なのだ。私に逆らえばお前の大切な仲間が全員、死ぬぞ。その聖女も大賢者もな」
いつの間にか落とし穴から這い上がってきた親父。……よく分かった。コイツだけは生かしちゃおけないと。これ以上、仲間を奪われてなるものか。
ゲイルチュールを召喚し、構えた。
「もういい、親父……お前を倒す! 帝国もぶっ潰してやる!!」
「フフフ、フハハハハハハ!! いいぞ、我が息子ラスティ……心地よい怒りを感じる。怒りは生きる糧となる。そして、心をへし折るに丁度いい材料でもある。貴様を廃人にしてやろう。――いやだが、まずは聖女だ。聖女スコルを第一皇子の手土産にしてやろう」
――その瞬間、怒りが爆発した。
「サンダーブレイクッ!!!」
「ほう、風属性魔法を扱えるとはな! だが、この程度では世界聖書の脅威ではない!! 世界記憶の概念……!」
……なッ?
世界記憶の概念?
親父がそうスキルを叫ぶと、世界聖書のページが激しく捲れた。……な、何なんだあれは!