テラーノベル
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ふわふわのバスローブ姿のまま、私は寄付先とのアポイントメントを取る。
1000万円程度なら匿名で寄付して終わり、ということも出来そうだったけれど、そのペースでは手間がかかる。
こちらの口座の都合で、スマホで済ませられないから。
私の希望寄付金は億単位、面会を条件にしておられるところがほとんどだ。
「終活のはずだったけど……」
と笑いが漏れる。
――就職は取り消したけれど、社会に関わり続ける選択が、ここにもある
【ひかりの本箱ネットワーク】
事情のある家庭の子どもに本を届ける民間ネットワークで、寄付金は本の購入・配送・読み聞かせ人材の育成に使われる。
【青空奨学財団】
児童養護施設を卒業する若者の進学費用や、資格取得の支援。
学びたい・働きたいのに環境に恵まれない若者を支援する。
まずは明日、このふたつの本部へ行くことは決まった。
あ、電話……
「はい、早川さん」
“ん、お疲れ。今、大丈夫か?”
「はい」
“今から戻る。明日、話がしたい”
「時間によっては無理だけど…」
“都合は?”
「14時以降はここにいない」
“そのホテルの日本料理店、個室を予約する。11時半、大丈夫だな?”
「大丈夫」
“じゃあ、そのときに”
――査定って、即、金額がわかるのかな
そんなことを思いながら、私はスマホで完了する少額の匿名寄付を、寝転がったまま続けた。
コメント
4件

菊ちゃんの今後の選択が終活ではなく、社会と関わることも増えて生き急ぐ必要がなくなって良かった。

確かに…早めに手をうつほうが良いかも。 手元に数千万円置いてあとは寄付して~ってしとかないと正直 生命狙われかねないかな。。。😓

菊ちゃん、急いでお返ししなくても、ちょっと将来考えようよ。全部なくなったけど、新しく生まれたと思えば、希望が持てる何かを始める事ができると思う。お返しするのはそれからでも遅くないと思うよー。