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この世界の雲はバッテリー。バッテリーの減らし方は甘くてどろどろの雪を降り積もらせること。絶え間なくしんしんと。
遠くの町で電源が落ちたらしい。死んでしまった人も大勢居たようだ。私の町は、まだ明るい。私が夢を喰らう内は。
あの信号機が止まっている。深紅の一色団子だ。滑って車がスリップしている。まるで舞踏会のワルツのようだ。手を取り合って掬い上げ、三拍子に合わせてぱらぱらと。
この街の人達はバッテリーを切らしたいようだ。どうしてだろう。こんなにも素敵なのに。
板チョコの奥から耳障りな声が聞こえた。うるさい。うざい。だまってほしい。直ぐに一欠片食べれば夢の中。まどろんでとろけて流れていく。
今日の町は五月蝿かった。何時もはこんな風に思わないのに。凄く嫌だった。今日は箱を閉じよう。明日は素敵でありますように。
あの街角で子供がポツリと泣いていた。口のなかにはあめ玉一個。カラカラ転がして。がりがりがりがり噛み砕いて。苛立たしげに。何をそんなに怒っているのだろう。子供の内は楽しんでいればいいのに。
今日はとても苦かった。不味くて美味しくない。口どけもぐちゃぐちゃしていて気味が悪い。仕方ないから代わりにあめ玉を口に放り込んだ。しばらく舐めた後、思いっきり噛み砕いた。
今日は少し酸っぱかった。檸檬だろうか。ラズベリーだろうか。少し違って楽しかった気がする。舌に覚えさせた。酸味と甘味はあった方が良いことを。
今日は二つの味がした。一つは飛びっきり甘いカラメルの様。もう一つはほんのり芳ばしくて苦味のある味。でも、不快感は何もなかった。前は凄く不快だったのに。少し大人に憧れすぎたかもしれない。
今日の板チョコの奥から聞こえる声は暖かかった。熱でチョコが溶けてしまった。もう、夢を見るのも終わりにしよう。
一時の甘さをありがとう。私は大人を知りました。御馳走様でした。