現在は夜、深夜の3時
「変な時間に起きちゃったな……」
変な時間に起きたのは良いものの最悪なことに小腹が空いている。
それに加えて、冷蔵庫には生憎無いも残ってはいない。
俺は面倒くさいなと思いつつも空腹には勝てなかった。
「よし、コンビニに行こう。」
服を着替え、財布や鍵を持ち外に出る。
涼しい夜風があたる。
この空腹はちょっとしたことがあれば忘れられそうなのだがそのちょっとしたことが全く持って起こらない。
そうこう思いながらコンビニの前まで来た。
俺がコンビニの前まで来ると、後ろから厳つい轟音のバイクのエンジン音が聞こえてくる。
「お!銀さんじゃないか!こんなところで何をやってるんだい?」
轟音のバイクのエンジン音でやって来たのは間違いなくすまない先生だった。
正直、暇だったしちょうど良かったと言ったらちょうど良かったのだろう。
「暇だったんでコンビニで何か買おうとしてたんすよ」
「そうなのかい?じゃあ暇だったら僕のバイクの後ろ、乗って行くかい?」
笑顔で後ろを指差し乗ってくることを進めてくる。
今からコンビニに行くと言っているのにこの人と言ったら……まぁ、ちょうど暇だったから乗って行くか…
と、あまり気乗りしなかったが俺は渋々すまない先生のバイクに股がった
「銀さん!きちんとヘルメットは着けてね!」
「俺、ヘルメット何か持ってないっすよ?」
「大丈夫!ちゃんと用意してあるから!」
と、得意気に銀色のヘルメットを取り出して来た。
すまない先生は当たり前の如く、水色のヘルメットを着けている。
そして月夜に照らされたすまない先生の灰色の髪がキラキラと輝いて見えた。
「あ…ありがとうございます…」
それじゃあ行くよ!と、バイクのエンジン音の轟音を再度鳴らした。
それと同時にもう一度こちらを振り向いて、ニコリと笑顔を見せてきた。
俺は振り落とされないようにすまない先生の服をしっかりと握った。
特に何処へ行くとも決まっておらずに───
それから数分が経過した。
「すまない先生ー!何処へ行くんですかー?」
俺は出来る限りの大声で叫んだ。
そうでもしなければ声は届かないからだ。
「銀さんの好きなところでいいよー!」
「んじゃ、俺!日の出見たいっすー!」
正直言って、あまり日の出は見たことがなかった。
というか、一度も見たことがない気がする…
死ぬまでに一回は日の出を見たいものだ。
「分かったー!でも間に合うかなー?」
少し先が怪しかった。残り日の出まで一時間程度しか残されていない。
でも、それでも、こんな夜中には車も人もいない。
まるで、世界に俺達だけのような感覚だった。
このままこの人との幸せな時間を過ごしたい。
このまま時間が止まってしまえば良いのにな。
そんなことを思いながら夜風がビュンビュンと俺の耳にあたる。
「すまない先生ー!もっと速度上げられないんですかー?」
「分かったー!静かにしてないと舌噛むよー?」
アクセルをさらに踏み込み、ギアを変え、一気にバイクが速度UPした。
本当に舌を噛みそうな勢いだ。
「ふー…なんとか間に合ったようだね!」
目の前には大きな日の丸が昇りかけていた。
ギリギリ間に合ったようだ
「すまない先生ってこう言うの見るんすね」
「君が見たいって言ったんでしょ」
「あ、確かにそうっすね」
そんなどうでもいい会話をしていたら日が完全に昇ってきた。
横でパシャっとシャッター音が聞こえた
「なに撮ったんすか?」
俺がそう聞くとサッとスマホを隠す、すまない先生。
「何も撮ってないよ!」
焦りながらそう返す。
俺は分かっていた、日の出ではなくて俺を撮っていたことぐらい。
「そろそろ帰ろっか!」
「はいっす!」
この人となら何処までも行けそうな気がした。
何処までも
コメント
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あ、好き…です