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「なぁ刃弐、もう良い加減良くないか?」
「もうちょっと待ってほしい、音鳴さんは恥ずかしくないの?」
「まぁそりゃ恥ずいのは恥ずいけど、それよりも辛いわ。」
音鳴が想いを告げ晴れて恋人同士になってから1ヶ月が経とうとしている。2人の前に立ちはだかっている最初の壁、他のメンバーにいつ報告するか度々言い合いになっていた。
「もうちょっとってどんくらい?明日?明後日か?」
「そんな急かさんでよ、俺にも心の準備ってもんがあるのよ。」
「それが長いっちゅーてんねーん!もう期限決めよ、1週間後!」
「1週間…1ヶ月じゃダメ?」
「刃弐ぃ、そろそろ怒るで…?」
「『客船取れたよー準備してー。 』」
「あ、ほら客船だって。一旦終わりにして行こ。」
「あーもうまたこれかよ。ちゃんと決めようやって。」
「ごめんて、これで許して?」
今日こそはと息巻いていたがじっと見つめられ頬を撫でられると完全に流され、目を閉じてしまう。刃弐はフッと笑って口付けた。
「可愛いね、音鳴さん。」
「…ほんっまにずるい男や。でもこれで許されるんは今日まで。今夜絶対話す、ケリつける。それまでにちゃんと考えとき!」
「…今夜かぁ…」
頬を染めている音鳴を見送り少し経ってから刃弐も集合場所に向かった。煙草を咥えながらとりあえず今は仕事だ、と切り替える。
いつもより早めに無線でおやすみと挨拶をし別々にアジトから出て、待ち合わせ場所で落ち合う。家に向かう道中、車内は気まずい雰囲気が漂っていた。
「で、どうなのよ。1週間後は。」
「んー…なんかさぁ、悪いけどなんて言うか、そういうんじゃなくて色々タイミングが合った時に言いたいなって思うんだけど。大事な事じゃん。」
「ずっと言ってるけど俺はいつでも準備できてる、あとは刃弐だけなんやけど。」
「それは分かってるけど、起きるタイミングとかそういうのもあるじゃん。俺の気持ちと音鳴さんの気持ちと、他の皆のタイミングとさ。」
「…そうか、分かった。でもこれだけ教えて。刃弐の気持ち的には最短でいつや?」
「それは……音鳴さんはなんでそんな早く言いたいの?辛いってのは自由にできないからって事?」
「いや、同じ組織の仲間に嘘というか、隠し事すんのが辛いねん。ずっと引っかかってて後ろめたさあるしコソコソすんの性に合わんし。でも刃弐の気持ちも絶対大切にしたいから気遣うのはナシやで。」
ハッと思い出した。そうだ、音鳴ミックスはこういう男だ。おちゃらけているように見えて仲間想いで真っ直ぐな、仲間や恋人の為に自分を犠牲にできる男だ。刃弐の決意が固まった。
「…分かった、明日言う。」
「え、明日!?いや気遣うなって言ったやん、無理すんな。」
「違うよ、そういう音鳴さんが好きだから俺も応えたいの。」
「はぁ?よぉ分からん、納得いかん。…あ、またそうやって誤魔化す。」
刃弐の腕の中でブツブツ文句を言っていたが抱き締められ、背中を擦られているといつの間にか寝ていた。
翌日一通り暴れて警察と口プして一段落したチルタイム、話があるから集まってくれと呼びかけた。
「ぐち逸もいた方が良い?いない方が良い?」
「ぐっさんはー…どうや?刃弐。」
「んー…どっちでも良いかな。」
「では患者が出てるので行ってきます。何かあったら教えて頂けると。」
いってらっしゃーいと見送って各々好きな場所に座る中、2人は変にかしこまって立っている。レダーが切り出した。
「で、話ってなに?改まって。」
「えっ…とー…」
「俺が言うか、俺たちなぁ…」
「待って音鳴さん、俺が言う。……あの、俺たち、付き合…ってるんだよね…」
どんどん小さくなっていく刃弐の声に耳を澄ませていたらシンと静まり返る。受け入れられなかったか、と思うと心臓の音が途端に大きくなり冷や汗が出てくるが拍子抜けの返答が聞こえてきた。
「…え?それだけ?」
「それだけって何やねん、失礼な。重要な事やろがい!」
「いやそれはそうだけど、え?知らなかった奴いるの?」
「…は?皆知ってたん?」
「知ってたっていうか察してた。」
「え、マジで?いつや?俺?」
「俺は刃弐が明らかに音鳴に対する態度変わった時に気付いた。」
「私もですね、刃弐さん見て察しました。」
「お前まさかあれで隠してたつもりだったん?」
口々に言われ青ざめていた表情から一変、刃弐の顔がみるみる赤くなっていく。音鳴は困ったように笑いながら肩を抱いた。
「ちょっとあんまいじめんといてw良かったやん刃弐、結果オーライっちゅう事で。」
「…音鳴さん助けて……///」
羞恥で涙目にまでなっている刃弐を笑いながら皆でなだめ、今夜はお祝いパーティだと盛り上がった。