なおきりさんが進む道とは反対の道に進むふりをして、なおきりさんを追う。
足取りは…重い。仕事は、やはり大変なのだろうか。
すると、急に座り込み、動かない。体調でも悪いのかな、?それなら、声をかけた方がいいよな。と思っていると、すくっと立ち上がってまたなおきりさんは進み始めた。
なおきりさんが座り込んだところには、水が数滴たれたような跡が残っていた。
都市部の方に出てきた。ここは、どこなのだろう。裏路地に入って3分くらい歩いている。
なおきりさんは、そこの一角にある建物に入っていった。
僕は、目を見開いた。自分の目を疑った。これは、夢なのではないかと考えた程に。
自動ドアのガラス越しに見えた、真っ黒な部屋。血の引きずったような跡がはっきりと見える。
mob.「貴方も…ここに興味がありますか?笑」
mf.「け、結構ですッッ…!!!」
mf.「はぁッッ…はぁッッ…!!」
なんで…ッ、?なおきりさんはそんな人じゃない…ッッ!!
そんな…ッ暴力なんて、なおきりさんが…ッッしてる、わけッ…!
おもむろにスマホを取り出し、なおきりさんに電話をかける。プルルルッ、と着信音が鳴るたびに心拍数が上がる。
『おかけになった電話番号はーー』
繋がらないッ…
mf.「なおきりさんッッ…?どしてッ…」
?『どうされました?笑』
mf.「えっ、?」
no.『俺ですよ。なおきりです!声真似上手いと思いません?w』
mf.「…ぇッ、?」
そんなはずない。この人はなおきりさんじゃない。
僕が知ってるなおきりさんは、自分のことを「俺」なんていわない。
僕が知ってるなおきりさんは、そんな風に笑ったことなんて一度だってない。
僕が知ってるなおきりさんは、もっと、優しい、儚げがある声で喋るんだ。
mf.「…だれッッ…?」
no.『どうしたんですか?笑 自分はなおきりですよ!!』
mf.「…じゃあッッ…小学生が好きな実況者グループを、高校生が好きなこと、どう思う…?」
no.『そりゃあもちろん…』
『ーありえないです』
ツー、ツー、ツー、と、電話を切った音が頭に鳴り響く。ほんとのなおきりさんは、どこにいるのだろう。もう連絡するあては…あ、
ーピーンポーン
『はいはい、!今出ます!』
「っ…とー…どなたですかね…?」
mf.「…Mです」
jp.「え!?Mさん!?大丈夫?!どうしたの?なんかあった、?」
mf.「…ッッ」
jp.「と、とりあえず中入ろっか」
jp.「ど、どしたの、?急に来ちゃって」
◇◆◇
jp.「え…ッ、ま、じで…?」
じゃぱぱは目を見開いて驚いてる。無理もない。僕だって、頭がおかしくなりそうだ。
jp.「いやでもっ、何かの勘違いかもしれないよ、!もう一回一緒に、そこ行ってみない、?」
mf.「っでもッ、声は…ッ、少し違うけどなおきりさんだった…ッッ」
jp.「なおきりさん…ね、」
jp.「…ここで、あってるかな、?」
mf.「はい…ッ」
じゃぱぱは少し堅い声でそう言うと、こつこつと落ち着いた足取りで中へと進んでいく。じゃぱぱの背中が小さくなっていくのに焦りを覚え、かけ足で着いていく。
mob「あら、?お素敵なおにーさん♡」
案内役、?が話しかけてくる。その甘ったるい声に、胃に入っているものが込み上げてくるような感覚を覚える。
jp.「…ここって」
mob「自殺、興味ありますか?ここならかんったんに、それが叶えられますよ、♡」
jp.「…例えば、?」
mob.「んー…主に虐○です、♡」
jp.「…スタッフの一覧表とかありますか」
mob.「はい、こちらに」
じゃぱぱはそれを受け取ると、「ここにいる?」と聞いてきた。
一つ一つ顔写真を見ていく。既に食道あたりまで来ていそうなものを抑えて、なおきりさんがいないようにと祈りながら見ていく。
「ーない、です」
ほっと胸を撫で下ろす。とりあえずは一安心だ。でも、それならなおきりさんは、?
jp.「…じゃあ、この店に、なおきり、という人はいませんか」
一瞬案内役の笑顔が引きつったのが分かった。なにか隠すようなことがあるらしい。
mob「なおきり、ですか、?すみませんが存じ上げてないですね、?」
そんなわけがない。僕は、この目ではっきりと見た。
jp.「分かりました。…帰ろ」
mf.「ぁ、ちょ…っ、!」
mf.「…どうすればいいの…っ、?」
jp.「…さあね、なおきりさんが本当にいるかも分からないし」
「でも、あそこに長くいたらまずいってのは分かる」
mf.「…ッッ」
jp.「もう一回、電話かけてくれない?」
mf.「…はい…っ」
プルルルルッ…プルルルルッ…
息を呑む。鼓動も速くなる一方だ。でも、今はとなりにじゃぱぱがいる。それだけで随分と違う。
『もしもしーっ!』
『さっきはなんで急に電話切ったんですかー?wびっくりしちゃいましたよ!笑』
mf.「…どーすればいいんですかっ…?」
じゃぱぱは、俺に貸して、という合図をしてきた。大人しくスマホを渡すと、じゃぱぱはなおきりさんと喋り始めた。
jp.「すいませーん、もふの友達なんすけどー、w」
『もふくんの友達…、?』
jp.「いまこいつどーなってると思いますー??w」
mf.「…!!」
大体分かった。なおきりさんを正気に戻させる気だ。俺を使って。
『…まさか…っ、!!』
『なにか危害加えたりしてないでしょうね…、?』
jp.「そのまさかでーす、w」
『…少しでいいので、待っててください』
ツー…ツー…
jp.「あっちゃー…俺、やばいことしちゃったかな?笑」
mf.「な、なにされるか分かんないよ…っ?」
僕も、なおきりさんが怒ったところなんて見たことがない。そもそも、今も怒っていないのかもしれない。
ーお前か。
え。
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