体育祭当日
学校中から賑やかな声が聞こえてくる
今は昔と違い危険な種目も時間も短縮され、俺は早々に保健室へ戻って来た
椅子に座り仕事をしていると静かに扉が開く
「‥‥先生?」
「ん?どうした、怪我か?」
そこにいたのはアクシアだった
俺はアクシアを椅子に座らせて、怪我をしているだろう左足の裾を膝上まで捲り、手当てを始める
「滲みるけど我慢な」
「‥‥先生」
「なんだ?」
「先生って恋人いる?」
「‥‥プライベートは話さないよ」
「いるんだ」
「‥‥さぁな」
はぐらかす俺の視界が急に悪くなる
俺が顔を上げると眼鏡を持ったアクシアが真剣な顔で俺を見ていた
「何?それないと俺、見えないんだが」
「俺の話‥‥答えてくれないじゃん」
「俺にも黙秘権はあるだろ?」
「だって‥‥俺‥‥」
この子は俺の答えを聞きたい訳じゃなさそうだ
「何が言いたいんだ?相談なら乗るよ」
「‥‥でも」
「でも俺に言いたい事あるんだろ?」
「‥‥あの‥‥この前の帰りの事‥‥ローレンと一緒にいた時の‥‥」
「うん」
「俺‥‥ローレン先生が好きなんだ‥‥だから‥‥」
「だから?」
「告白‥‥しても良い?」
「え?なんで俺に聞くんだ?」
「だって‥‥この前の2人の雰囲気が‥‥なんか付き合ってる人達のそれっぽくて‥‥」
探りを入れながら話すアクシア
でも嫌な感じは無く、素直に話してくれる彼が可愛く見える
「先生俺‥‥今月末に引っ越すんだ。親の転勤が急に決まって‥‥だから‥‥どうしてもローレンに伝えたくて‥‥」
「それは本当に急な話だな」
「だから‥‥伝えても良い?」
「フフッ、俺に確認取るなよ。悔いが残らないようにしたら良い」
「え?本当⁈」
手当てを終えて汚れたジャージを手で払ってあげていると、アクシアが急に立ち上がり俺に抱きついて来た
「おい!今度はなんだよ!」
「ありがとう先生!ごめんね」
ごめんね?
何に謝られたんだ?
いや、今はそれよりもアクシアをどうにかしないと‥‥
「アクシア君、分かったから離してくれないか?」
「ごめんごめん!俺海外生活長くて、ハグが癖になっちゃってるんだ」
「いや、だから離して‥‥」
「小柳先生、ありがとう」
頬に唇が当たる
「こら!だからやめなさいって‥‥」
「今‥‥何して‥‥‥‥」
「え‥‥?」
抱きつかれキスをされているこの状況
保健室の入口には‥‥
宇佐美
「あ、じゃあ俺戻ります!治療ありがとうございました!」
「え、君‥‥ちょっと」
「宇佐美!俺と話そう‥‥」
人生っていつも都合の悪い方が選ばれる気がする
俺を見る宇佐美の視線が痛い
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コメント
3件
おっと やば~い みるの楽しい(◍´˘`◍) 距離近いアクシア良き( ˶ ᷇ 𖥦 ᷆ ˵ )ニヤニヤ