猫咲の指が四季の唇をなぞった。
その動きに四季は無意識で小さく口を開けた。
自分の手が口に触れると無意識に開けるように徐々に教え込ませてきた甲斐があったと猫咲は内心1人で微笑む。
猫咲の目には、小さく開かれた口内に見える赤い舌がやけに扇情的に見えた。
「ちゃんと、開けてくれます?」
「ッ…うん」
自分が無自覚に口を開いていたということを自覚した四季は、顔を赤くしながらも猫咲の言う通り口を開けた。
無防備な四季に愉悦感と、他の人間にしていないだろうかと言う嫉妬が沸き起こる。
「良い子ですね」
優しく微笑まれた四季はその猫被りな笑みに、喜びを感じているけれどももどかしい気がした。
吐息が掛かる近くに猫咲がよれば四季はギュッと目を瞑る。まるで餌を求める雛鳥のように。
けれどもいつまで経っても唇に触れる暖かさは無かった。
そっと四季が目を開ければ猫咲とばっちり目があった。驚きで後ろに下がろうとした四季を猫咲は頬ごと掴んで耳を塞いだ。
そしてようやく四季が望んでいた柔らかい口付けを2、3度した。触れては離れる。ただそれだけ。
チュッ、チュ
暖かい気持ちになりながらも、もっとしてくれないのか。と期待を含んだ目で猫咲を見た。
目の前の欲と快楽を知った幼子に、目を細めて再度唇に触れた。
けれど、今度はもっと深くまで。
四季の開いた口に猫咲の分厚い舌が入り込み咥内を縦横に撫でる。
グチュ、チュッ、グチャ…
まずは歯列、舌をぐるっと愛撫してから上顎をゆっくりと撫でる。
舌と唾液が混ざる合う音が咥内で響いているが、耳を塞がれている四季には耳元でずっとそれが聞こえていた。
音の振動が耳をじわじわと犯す。
ジュッ
四季が辿々しく伸ばした短い舌を猫咲は喰み、吸った。猫咲の唾液と四季の涎が咥内で混ざって、飲み込もうと必死のなる四季の努力とは裏腹に口横からタラリと零れ落ちる。
座っている四季に上を向かせて喉を撫でれば、また小さく嚥下が繰り返される。
目を逸らすことも許されない。四季の瞳には猫咲の楽しそうな目が映った。
快楽に溺れながら、感情過多によって頭がいっぱいになり生理的な涙をふと流した。
(俺のことであたま…いっぱいにしてくれてる…)
熱で惚ける頭を回しながらも、ゆっくりと四季も舌を伸ばして猫咲のと絡める。
チュ、グチュッ、ジュッ…クチュ
何度唇を重ねようと鼻で息をする事を上手くできない四季はそろそろ息苦しいと、猫咲の隊服の裾を小さく引っ張った。
もうすぐか…。潮時だったけれども、猫咲だって四季に無理をさせたいわけではない。
最後にゆっくりと四季の舌を舐めてから口を離した。どちらのとも言えない銀の糸がぷつりと切れて落ちる。
四季の落とした涙を親指で拭う。
猫咲の隊服を未だ握り締めながら、快楽と興奮を落ち着けようと何度も呼吸を繰り返す。
その息でさえも絡め取り、咥内を荒らしてやりたいと猫を被らない自分が頭の端で笑うのを感じて猫咲は頭を振るう。
不思議そうに赤らんだ顔で見上げてくる四季の柔らかい髪に手を乗せて撫でる。
(まだ、まだ待とう…未熟な果実が熟れるまで…)
猫のような髪が少し跳ねた。
コメント
2件
え…好きィ…朝から最高っす(T^T)
!キスシーンめっちゃ上手すぎ!! めっちゃエッかった! 続きが、どうなるのかが楽しみ!