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明日香の心臓がドクンと跳ねる。明日香は晃河の顔を見て、確かめるように聞いた。
「それ、本気?」
「…本気だけど?」
少し頬を赤くしてそういう晃河から明日香は目を逸らす。 そして起き上がり、晃河の上に跨った。そのまま、晃河の口にそっとキスをする。
「晃河」
「何?」
「…好き」
「俺も好きだよ」
そう言って晃河はニコッと笑った。明日香はもう一度晃河の口にキスをする。今度はそのまま晃河の口に舌を入れ、晃河の舌と絡み合わせる。
(こんな感じでいいのかな…)
明日香は初めてのディープキスに少し苦戦しながらもだんだん上手くできるようになる。キスをやめ、顔を上げると、とろんとした目の晃河と目が合う。
(可愛い…)
明日香は晃河のネクタイを外し、シャツのボタンを外した。晃河は恥ずかしくなったのか頬を赤らめて言った。
「…明日香、なんか手馴れてるね」
「そう?はじめてだけどな」
明日香がそう言うと、晃河は少し驚いた表情をした後、また恥ずかしそうな顔に戻る。
「…したことあるのかと思ってた」
「ないよ。付き合うのも晃河が初めてだし」
「じゃあ…俺が全部初めて…?」
「うん。そうだよ」
「…俺も全部初めて」
「晃河は俺のために取っといてくれたんだもんね」
そう言って明日香は晃河の頭をそっと撫でた。
「…まぁ、まさか明日香が男だなんて思ってもみなかったけどね」
晃河はそう言ってクスッと笑った。そんな晃河に明日香もつられて笑う。
「男でごめんね?」
「いいよ。別に。俺は明日香が好きだから。性別なんでどうでもいい」
明日香はそう言う晃河の頭をそっと撫でた。
「ありがとう。すっげぇ嬉しいよ」
明日香のその言葉に晃河は照れたのか目を逸らして頬を赤らめた。そんな晃河の首元に明日香はそっとキスをした。
「んっ…」
晃河から甘い声が漏れる。自分でも少しびっくりしているようだった。
(…首弱いのかな)
再び首元にキスをすると、さっきと同じように甘い声が漏れる。
「んっ…」
そんな晃河に明日香はニヤッと笑った。
「首弱ぇの?可愛いね」
「…うるさい」
明日香はそう言って目をそらす晃河の口にキスをした。
「初めてだから下手くそだったらごめんね」
明日香のその言葉に晃河はこくりと頷いた。
窓から見える空が暗く染っていく中、2人は1つになった。
翌日学校に登校すると、明日香は晃河の席に向かった。
「晃河、おはよう」
「…おはよ」
晃河は素っ気なくそう返す。明日香は不思議に思いながら自分の席に座った。
休み時間、晃河と話そうと晃河の席に向かう。
「晃河」
晃河はチラッと明日香を見たあと、慌てた様子で言う。
「ち、ちょっとトイレ行ってくるわ!」
(あれ…なんか避けられてる?)
その後、明日香は晃河に何度か話しかけようとしたが、どれもなにか理由ををつけて避けられてしまった。
昼休み。弁当を食べながらため息をつく。すると、一緒に食べていた颯人が心配そうに聞く。
「どうしたの?なんかあった?」
「あ、いやその…なんか晃河に避けられてて」
「え?なんで?」
「いや…分かんないけど…多分… 昨日寝込み襲ったから怒ってるのかも」
「えっ!?」
教室に颯人の声が響く。クラスメイト達がチラッとこっちを見た。
「ちょっと、そんなおっきい声出さないでよ」
「いやいやだって…え?」
颯人は驚いた顔で続けて言う。
「明日香がそっちなの?」
「そっちって…」
(あぁ、タチネコの話か)
「そうだけど…意外?」
「いや意外でしょ。絶対晃河が襲う側でしょ」
「なんだよ襲う側って。なんかもっとこう言い方が…」
「でも襲ったんでしょ?」
「うんまぁ…でも、晃河がいいって…」
(…本当は嫌だったのかも。しかもキスマもつけちゃったし…)
「俺、やっちゃった…」
明日香が不安そうにそう言うと、颯人はチラッと晃河を見てから言う。
「…照れてるだけじゃない?」
「え?」
「なんか…見てる感じ怒って避けてると言うより照れて避けてる気がして」
「晃河の事ずっと見てたの?」
「いや、晃河じゃなくて明日香見てたんだよ」
「俺?なんで?」
「あ〜…」
そこで颯人は一瞬フリーズして、また口を開く。
「…なんとなく?」
「なんだよそれ。まぁ、いいけど」
明日香のその言葉に颯人は安心したような表情を浮かべる。そんな颯人に明日香は聞く。
「それで、どうしたらいいかな」
「知らないよ〜。自分でどうにかしないと」
「だって晃河が口聞いてくれないんだもん…」
明日香が悲しそうにそう言うと、颯人は仕方なさそうに席を立つ。
「しょうがねぇな。俺が一肌脱いでやるよ」
「え?」
颯人はそのまま莉久と弁当を食べている晃河の元へ向かう。
「晃河」
「何?」
不思議そうに颯人を見る晃河に颯人は晃河だけに聞こえる声で言う。
「明日香が晃河に避けられてるって寂しがってるよ」
「はっ!?」
晃河は明日香をチラッと見る。
「だって昨日…」
晃河はそこで口を噤み、言いづらそうな顔をする。
「大丈夫。昨日のことは聞いてるよ」
「えっ」
「恥ずかしいのは分かるけどさ、口聞いてあげてよ」
「でも…」
颯人は2人の様子を不思議そうに見ていた莉久に言う。
「ちょっと晃河借りま〜す」
そして、颯人は晃河の手を掴んで引っ張った。
「ちょっ、颯人」
晃河はそのまま明日香の前に連れてこられた。明日香は下を向く晃河の顔を覗き込む。
「晃河」
「な、何」
「照れてるの?」
明日香のその言葉に晃河はゆっくり頷く。
「良かった。嫌われたのかと思った」
「ごめん…明日香の顔みたらなんか恥ずかしくなっちゃって」
恥ずかしそうにそう言う晃河に明日香はふふっと笑う。
「これからいくらでもするんだから慣れないと」
「いくらでも…」
そういった晃河の頬が赤く染まる。
「どうしたの?そんなに顔赤くして」
「っと…さ、寒いから」
「暖房付いてるのに?」
晃河は明日香のその言葉に目を泳がせ、諦めたかのように言う。
「…明日香が変な事言うから」
「それで照れちゃったんだ。可愛いね」
「か、かわ…そういうこと学校で言うなよ」
「ふ〜ん。他のとこならいいんだ」
「いやっ、それは…」
そこで言葉を詰まらせて困った顔をする晃河に明日香はふふっと笑う。
「ごめんごめん。いじめすぎたね」
そういいながら明日香は晃河の頭を撫でた。すると、席に座っていた颯人が急に立ち上がり、晃河に寄る。
「俺も触らせて」