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颯人はそう言った後、晃河の頭を撫でた。
「わ〜、サラサラだ〜」
「ちょっ、颯人なにしてんの」
明日香がそう言うと、颯人は小声で言う。
「晃河の後ろ。女子達見てるから。バレ防止」
颯人にそう言われ明日香は晃河の後ろをチラッと見る。すると、颯人の言う通り女子達がこっちを見ていた。
「ごめん。ありがとう」
「ん。いいよ」
颯人はそう言って席に戻った。晃河は不思議そうに颯人を見ていた。そんな晃河に明日香は言う。
「今日も一緒に帰らない?」
「あ、うん。いいけど」
「ありがとう。席、戻りな。まだ弁当途中でしょ?」
「うん。食べてくるね」
晃河はそう言って席に戻っていった。
帰りのホームルームが終わり、明日香は颯人に挨拶する。
「じゃあ、また明日ね」
「うん。また明日」
颯人がそう言うと、明日香は晃河と一緒に教室を出た。
そんな2人を見届け、颯人はため息をつく。
(これから晃河ばっかりになっちゃうのかな)
そんなことを思いながら帰りの支度をする颯人の元に莉久がやってくる。
「大丈夫?」
「何が?」
「なんか、ため息ついてたから」
「あぁ…別になんでもないよ」
「明日香の事?」
莉久に図星をつかれた颯人は何も言えなくなる。
「やっぱり。あの二人のことで話したいことあってさ。ちょっと時間くれない?」
「…いいよ」
颯人がそう答えると、莉久はニコッと笑う。
「ありがとう。まだ教室人残ってるし、ちょっと移動しよっか」
莉久はそう言って扉に向かって歩きだした。颯人はその後について行く。そしてそのまましばらく歩き、屋上に出た。
莉久は屋上のフェンスに寄りかかる。その横に莉久も寄りかかった。
「やっぱり好きでしょ。明日香のこと」
「前にも言ったでしょ。明日香はただの友達だって」
「別に隠さなくていいのに。まぁ、言いづらいよね。俺が先にカミングアウトしてあげる」
「何?」
「俺、晃河の事好きなんだよね。出会った時からずっと」
莉久のその言葉に颯人は驚いた表情を浮かべる。そんな颯人を見て、莉久は続けて言う。
「次は颯人の番だよ。本当のこと教えて?」
莉久にそう言われ、颯人は戸惑ったものの、仕方なく口を開く。
「…好きだよ。明日香の事」
颯人のその言葉に莉久はニコッと笑う。
「よかった。ならちょうどいいや」
「ちょうどいい?」
「うん。ねぇ颯人。俺たちちょっと協力しない?」
「協力?」
「そう。協力。あの2人を別れさせるの」
(何言ってんの…)
「断る。俺はそんなことしたくない」
「断る理由なんてないじゃん。俺は晃河と。颯人は明日香と付き合える可能性が出てくるんだよ?」
「別に俺は明日香とどうなりたいとかない。明日香が幸せならそれでいいんだよ」
颯人のその言葉に莉久はハハッと笑う。
「颯人ってほんといい人だよね。でもさ、ほんとにいい人なんてほんのひと握りだと思うんだよね。どんな優しい人でも、誰もが裏を持ってる。颯人もそうでしょ?」
(違う)
「…俺は明日香が幸せならそれでいい」
「またそれ?そんなのただの言い訳でしょ。自分が何も出来ないから、明日香が幸せならいいなんて言い訳して自分の気持ちを隠してる」
(違う)
「そんなことない。俺は明日香が幸せならそれでいいし、傷つけたくもない」
「″自分が傷つきたくない″でしょ?」
(…違う。)
「…別に俺の事なんてどうでもいい。でも、明日香が傷つくのは嫌だ」
「いいじゃん。傷つけても」
「何言ってんの。いいわけないじゃん。」
「いいんだよ。傷つけた分愛せば。そう思わない?」
「…思わないよ。とにかく、俺は莉久には協力しない」
「そう。まぁ、気が変わったらいつでも言ってよ。俺、待ってるから」
莉久はそう言いながら颯人の肩をポンっと叩いて屋上を出ていった。
(″自分が傷つきたくない″か。)
颯人は溜息をつく。
(…正直、そうなのかも。でも、俺は明日香を傷つけたくない)
そう思いながら颯人は屋上から出ていった。
あの日から明日香と晃河は毎日一緒に帰るようになった。
それでも颯人は絶対に揺るがないと決心していた。
だが、晃河ばかりになっている明日香に颯人は寂しさを感じるようになった。
そんなある日、颯人は明日香が登校すると、すぐに話しかける。
「おはよ。明日香」
「おはよう」
「あのさ、今日カラオケ行かね?」
颯人がそう言うと、明日香は申し訳なさそうな顔で言う。
「あー、ごめん。今日晃河と映画観る約束してるんだよね」
「あぁ…そっか。わかった」
「うん。ごめんね」
「いいよ。他の奴らと行くから」
「ほんとごめん。また誘ってよ」
「うん」
(…誘ってもいつも断るじゃん)
最近はずっとこうだ。遊びに誘っても晃河を理由に断られる。どうやら晃河が明日香に何か言ってるらしい。俺が明日香と話してる時にいつも晃河からの視線を感じる。晃河は嫉妬深いのだろう。別に俺は明日香といられればそれでいいのに。それ以上の事なんて望んでないのに。
(…そんなに俺の事警戒するなら、ほんとに取っちゃおうかな…)
颯人はそんな考えが浮かぶ。だが、すぐにハッとする。
(いや…何考えてんだよ…最低だ俺…)
颯人は″明日香を奪いたい″という気持ちが出てくるようになった。そしてその気持ちは、日に日に大きくなっていった。
そんなある日の放課後、颯人は帰る支度をしている莉久に話しかける。
「莉久。ちょっと話したいことあってさ。今時間大丈夫?」
「うん。いいよ」
そして、颯人と莉久は一緒に屋上に出た。
「何?話って」
「この前のことだけど…」
「あぁ。あの二人のこと?」
「そう。」
「何?もしかしてやる気になってくれたの?」
「…うん。俺、協力するよ。莉久に」
颯人のその言葉に莉久はニコッと笑う。
「颯人ならそう言ってくれると思ったよ」
「…それで、俺は何をすればいいの?」
「そんな難しいことじゃないよ。颯人はただ、明日香と距離を縮めればいい。簡単でしょ?」
「距離を縮める?」
(そんなことしたら晃河が…あぁ、そうか。なるほど)
「晃河を嫉妬させるってこと?」
「そう。理解が早くて助かる。後は全部俺がやるから」
「わかった」
「あ、でももうすぐ冬休みだからキリよく冬休み明けからにしよう」
「わかった」
「じゃあ、よろしくね」
莉久はそう言って片手を差し出す。颯人はその手を取り、握手をした。
窓から見える空が黒く染る中、明日香と晃河はベットに寝転がっていた。寝転がりながら天井を見ていた晃河は寝転がりながらスマホをいじっている明日香の方へ体を向ける。
「ねぇ明日香」
「なに?」
「その…クリスマス…」
晃河はそこで口を噤む。明日香はスマホを枕元に置いて晃河の顔を見た。
「クリスマス…デートしない?」