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## 第4話 月と共に、月光の制裁
肩口に展開された2門の巨大な黒い砲身。ゼロは、目の前に突き出されたその「筒」が何を意味するのか、全く理解できていなかった。
「おい、急にこんなのが出てきてどうすりゃいいんだよ! 撃てってのか? どこをどうやって!?」
逃げゆくオーリー改の機影が、夜空の彼方へ消えようとしている。焦るゼロの脳内に、再びあの耳障りな、しかし鋭い警告音が響いた。
「ピピピピピピピピピ……!」
ゼロ・システムが視覚情報を塗り替える。ゼロの目には、コンソールの一部が青白く発光して見えた。それだけではない。一瞬先の未来――自分がそのスイッチを押し、背後のウイングが大きく広がる光景が、まるで既成事実のように脳裏に直接映し出された。
「……ちっ! この機械、俺に命令してやがるのか……。いいぜ、そこまで言うなら乗ってやるよ!」
ゼロはシステムが示した、今まで見たこともないカバー付きの大型スイッチを思い切り叩きつけた。
ガシャン!
機体背部で重厚な駆動音が鳴る。今まで3枚に重なっていた左右のウイングが、滑るような動きで展開し、**左右5枚、計10枚の巨大な光の翼**へと姿を変えた。
展開したフェザー状のバインダーが、内側から脈動するように**青白く発光**を開始する。
その直後だった。
雲ひとつない快晴の夜空。高く昇った満月から、目も眩むような一直線の光の柱が、地上に立つプロト・ウイングエックスを目掛けて降り注いだ。
「なんだ、この光……!? 暖かいっていうか……痛いぐらいの熱ッ…!」
マイクロウェーブの受信。機体各部のコンデンサーが限界までチャージされ、溢れ出したエネルギーが全身のダクトからプラズマとなって噴き出す。
2門のブラック・キャノン、そして右腕のバスター・サテライト・ライフルが、共鳴するように凄まじい唸り声を上げた。
「――ぶっ飛べぇぇぇぇぇ!!」
ゼロがトリガーを限界まで引き絞る。
*キュイイインドォォォォォォン!!*
瞬間、夜の闇が消え去った。
肩の2門と手持ちのライフル、計3か所から放たれた極大の光束が、一本の巨大な光の奔流となって上空へと突き抜けた。その破壊力はもはや「兵器」の域を超え、神の裁きにも似た圧倒的な質量となって空を裂く。
「く、っ……!? なんて反動だ! この野郎、倒れんじゃねえぞ!」
発射の衝撃波だけで、周囲の建物の残骸が木の葉のように舞い上がる。機体はのけ反り、後方へ倒れ込もうとするが、背部のメインスラスターが火を噴き、全力の噴射で機体を地面に押し留めた。大地がメリメリと音を立てて陥没し、ゼロの体には凄まじいGがのしかかる。
光の柱が消えた後、そこには静寂だけが残った。
上空を逃げていた3機のオーリー改は、その光に呑み込まれ、塵一つ残さず蒸発していた。
「……はあ、はあ……。おい、ガンダム……。あんた、とんでもねえもんを隠し持ってやがったな……」
モニター越しに見える夜空には、巨大な光の道筋が残光として漂っている。
ゼロは震える手で操縦桿を離したが、その瞳には、恐怖と共にこの「白き暴君」に対する奇妙な信頼が宿り始めていた。
**次回予告**
一撃で敵を消滅させたサテライトキャノン。しかし、その強大すぎる力は、敵組織にプロト・ウイングエックスの存在を知らしめる結果となった。
そうして村を去る決意をするゼロの前に現れる、謎の少女。
次回、『夜明けと共に:再会と旅立ち』
**「俺がこの機体に乗る以上、もう後戻りはできねえ……だろ?」**
NEXT EP.4➠
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