テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
1
旅人
あおじる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
スネージナヤ研究棟・廊下。
ここ数日。
妙な視線を感じていたのは――
ドットーレの方だった。
⸻
すれ違う研究員。
小声。
「博士って……」
「意外と受け身なんだ……」
ド「……?」
⸻
別の廊下。
「拘束されてたらしいよ」
「隊長に触られて心拍上がったって」
ド「……ほう」
⸻
研究室。
扉を閉めた瞬間。
ド「末席」
背後に気配。
タルタリヤが窓際に座っている。
タ「呼んだ?」
ド「噂の流通経路を説明しろ」
タ「え?どれ?」
ド「“私が触られて動揺した”件だ」
タ「あー」
タ「だって会議で隊長の話したらさ」
タ「みんな“博士側どうだったの?”って聞くから」
ド「それで?」
タ「正直に答えただけ」
ド「内容は」
タ「拘束されてた、とか」
タ「心拍上がってた、とか」
ド「……」
タ「でも途中からさ」
タ「“博士が隊長に触られて喜んでた”」
タ「みたいになってて」
ド「誰が言った」
タ「知らない」
⸻
会議室。
円卓。
アルレッキーノが笑う。
ア「博士」
ド「何だ」
ア「触られる側の気分はどうだった?」
ド「測定だ」
ア「顔赤くならなかった?」
ド「ならん」
コロンビーナが微笑む。
コ「次はどこ触られるの?」
ド「予定はない」
コ「残念」
パンタローネまで口を挟む。
パ「拘束具、特注でしたか?」
ド「研究用だ」
パ「個人用途ではなく?」
ド「違う」
⸻
研究棟でも
助手 「博士、今日も拘束実験ですか?」
ド「違う」
助手 「隊長呼びます?」
ド「呼ぶな」
その時
扉が開く
カピターノ。
カ「呼ばれたと聞いた」
ド「呼んでいない」
助手「噂で……」
ド「噂を信じるな」
⸻
助手退室後。
沈黙
カ「……随分広がっているな」
ド「貴様のせいだ」
カ「俺は流していない」
ド「元凶は末席だが発端は貴様だ」
カピターノが腕を組む。
カ「……被害は理解した」
ド「なら訂正しろ」
カ「どう訂正する」
ド「“博士は動揺していない”と」
カ「……無理だ」
ド「なぜだ」
カ「誰も信じない」
ド「……」
カ「むしろ逆効果だ」
カ「“庇っている”と思われる」
ド「最悪だな」
去り際
カピターノが言う。
カ「だが一つだけ言える」
ド「何だ」
カ「……拘束されていた時」
ド「……」
カ「抵抗はしなかったな」
ド「…必要がなかった」
カ「そうか」
一拍
カ「次は抵抗しろ」
博士沈黙
扉が閉まる。
ドットーレ、独り。
ド「……」
端末を見る。
例の測定記録。
心拍上昇グラフ。
ド「……はぁ」