.
「もしかしてゾロさんも迷子ですか?」
「迷子じゃねェ。ちょっと道に迷っただけだ」
「それを世間じゃ迷子って言うんですけどね」
あぁん?と睨まれたので慌てて口を噤む。
「とにかく、おれはもう行くぞ」
「あ、待ってください!
一度船まで一緒に戻ってもらえませんか?
むやみに探すよりも夜になったらルフィくん戻ってくると思うので」
「・・・チッ、仕方ねェな」
この約一時間後、私はこの言葉をゾロさんに言ったことを激しく後悔するのだった。
───
─
「───あれ?この道さっき通りませんでした?」
「あァ?気のせいだろ」
「そうかなぁ・・・」
「いや、ここは絶対違うと思います」
「うるせェ黙ってついてこい」
「・・・えぇ~・・・」
「・・・あ?ここ通ったような・・・。いや、気のせいだな」
「気のせいじゃないです!なんなら3回目です!」
何この奇跡みたいな迷い方!
バカなの!?この人こんな見た目してこんなギャップ持ちなの!?萌えないわ!!
「・・・ゾロさんって、バカだったんですね」
「誰がだ!」
「だって明らかに山の方向かってるんですもん!
船があるのは海ですけど!?」
「・・・ゔッ、」
勝った、と小さくガッツポーズを決めてやる。
「絶対あっちだと思います」
「そう思うんならそう言えよ!」
「言って聞かなかったの誰ですか!!」
意味わからない入り組んだ路地に入ってったくせに。
「ほらー、見えてきた!」
完全に勘だけど、ゾロさんのちんぷんかんぷんなそれよりは遥かにマシだ。
事実サニー号が見えてきたし。
「・・・って、もう夕方じゃねェか」
「誰かさんが迷いに迷いましたからね」
「うるせェ斬るぞ」
なんて喧嘩しながらサニー号に向かっていると。
────びよ~ん!!!
「・・・え!?うわっ、ちょ、うわぁぁあ・・・!!」
突然腰に腕が巻きつき、サニー号に思いっきり引き寄せられた。
そんなことできる人は1人しか知らないし、多分1人しかいないだろう。
遠ざかっていくゾロさんの腹立つ顔は、一生忘れないと思う。
.
コメント
1件
コメント遅れました💦 最高です!!