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なべらう
渡辺side
『えー良いのに、これ渡しにきただけだし笑』
「俺がよくねえの、夜遅いしまだちょっと寒いし入ってけよ」
11時5分くらいのこと、誕プレを渡しに来てくれたラウールを半ば強引に家の中へ誘導する。寒いから、なんて言っているが本当は俺が一緒にいたいから。ストレートに言ってしまったら彼との関係はきっと壊れてしまうから、慎重に。困ったような顔をしながらも家に入ってトコトコついてくる彼は自身よりも20cm程大きいのに可愛らしくて仕方がなかった。歩いてるだけで可愛いと思うなんて俺はもう末期なのかもしれない。
「ま、座ってよ」
『ごめんねお邪魔しちゃって。失礼しま~す』
「いいって俺が入れつったんだから。んでこれ開けて良い?」
『もちろん!喜んでくれたらいいなぁ』
縦長の箱に入っていたのは青っぽい、というか緑っぽい小さな宝石のついたネックレスだった。11月の誕生石のトパーズだろう
「これトパーズ?」
『そうそう、よく知ってたね。』
「自分の月の誕生石くらいわかるわ笑 そういやこれ石言葉的なのあったよな」
『あぁうん、そだね。気になるならまた調べてみたら?』
そんな他愛もない会話をして、気付けば丑三つ時と言われる時間になりかけていた。
『うわやっばい、ごめんしょっぴー俺もう行かなきゃ。あと2時間後には現場入りだから行くね!』
そう言い残して彼は2時に俺の家を出ていった。
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宮舘side
収録前の広い楽屋でいつも通りうるさいメンバーを眺めていると幼馴染みが話しかけてきた。数日前に想い人からネックレスを貰ったらしい。良かったね、なんて言ってみてはいるものの宝石の色が緑っぽかったとか11月の誕生石だとかなんだか雲行きの怪しい言葉ばかりが彼の口から出てきていて正直ひやひやしている。
【トパーズの石言葉?えーっとどうだったかな…】
「舘さんでもわかんねえか」
【…あ、あれだ。希望とか誠実、潔白。友情も入ってたかな。あとは、】
もう一つ思い出したけれど彼に伝えて良いのか。
「あとは?」
【…知性。】
「へーなんかラウールっぽいな」
【あ、相手ラウールなんだ】
「言ってなかったっけ?」
それなら尚更酷なことをしてしまった。きっとラウールはこの石言葉の意味を知っていて、緑色を選んでいたんだろう。11月、緑、知性。その3単語から連想される人なんてうちには一人しかいないから。該当する男の方をチラリと見れば此方の会話なんてつゆ知らず、幼馴染みの想い人と笑いあっていた。それを見せたくなくて飲み物でも買いに行こうと適当に理由をつけて翔太と楽屋を出た。この行動に意味があったのかはわからないけれど、佐久間がなんだか心配そうな視線を向けていたことだけは記憶に残っている
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渡辺side
今日の昼、あのとき貰ったネックレスの石言葉について舘さんから教えてもらって色々わかった気がする。思えば、あのネックレスは俺には少し長かったような気もする。彼が家に来た日、俺だけを見ていたあの目もプレゼントの箱を少し緊張したように渡してきたあの手も外で風に吹かれたせいか少し乱れているあの髪も、俺が箱を開けて声を上げたとき俺だけに向けてくれたあの優しい笑顔も、全部が俺のものみたいに思えていた。だけど彼は仕事だからと言って消えるように帰ってしまった。スケジュールは共有しているからそんな嘘ついても直ぐにバレるのにさ。彼が帰ったあの日、彼は仕事なんて入っていなかった。あのとき帰ってほしくない気持ちを素直に伝えられたら
“帰さない”
こう言えていたら、彼は朝まで一緒に居てくれただろうか。この一言を伝える勇気があれば、彼とあの楽屋で笑いあっていたのは俺だったのだろうか。考えていても仕方がないしこんな時間まで起きているのは肌に悪い。明日は確か24日、やっと土曜日だしゆっくり寝よう。…なんだか視界が滲んですぐには寝られなかった
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ラウールside
《うわこれそういうことか!俺わかんなかったのに凄いね》
『まあね、俺も日々成長してますから』
《流石、また一緒にやろうよこういうの》
『やろうやろう!…めっちゃ近いけど今週末とかどう?』
楽屋でクイズ系のYouTubeを見ていたら阿部ちゃんが食いついてきた。一緒に解いているうちになんだか競争しているみたいになって、最終問題でやっと彼より早く答えることができた。しかも彼はまだ答えにたどり着く兆しもなかったらしい。それが悔しかったのかなんなのか理由はわからないけどまた一緒にやろうだなんて、そんな誘い乗るしかない。早いうちに約束を取り付けておこうと彼の週末の時間を少し貰えないか交渉してみればあっさり了承された。もう今から楽しみで仕方がない、逸る気持ちを抑えて収録に望み家に帰った。その日はいい夢を見たような気がする