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これはとあるスパイの幹部のお話。
???「…..まだ眠い。」
世界樹がいっぱいに広がった窓から光が差し込んでいる。朝が来た。
おはよう。残酷な世界。
???「….眠い。」
まだ寝ていたいけれど、起きていなければならない。脳では理解出来ているのに体は思うように行かない。
あー….こんなに私って朝に弱かったっけ?普段ならこの時間帯、もう既に起きて、支度も終わってるんだけど….
コンコンッ
ドアからノックの音がする。
トントン「エミリア、今日のこの件なんやけどさ….」
トントン「!?!?」
….誰かと思えば。こんな早くに?
というかどうして部屋に….
エミリア「…..はぃ(体を起こしながら)」
トントン「いや….その….すまん………」
顔が少し赤い。
トントン「….いや、いつもなら起きとるやん?別に下心があったとかちゃうで?」
急に早口になった。動揺が隠しきれていない。
分かりやすいなぁ…..。
エミリア「眠かったので….。」
トントン「いや、はよ起きてくれや….」
エミリア「眠いので….。」
エミリア「別に布団を被って寝ている女性が隣に居ても、恥ずかしがる事じゃ無いですよ?」
トントン「俺が目のやり場に困る。」
….目のやり場って。別に私がエッチな格好してる訳じゃないし….?
エミリア(上体は起きているが目は閉じている)
トントン「はよ起きんかい。」
エミリア「……はい。」
どうやら起きなければならないらしい。世界一暖かく安心するお布団から離れなければ…..
エミリア「….あの」
トントン「ん?」
エミリア「着替えたいんですが……」
そういう所には鈍感なのね….。
トントン「え?あ、あぁ。すまん。出るわ。」
トントン「また来る。」
エミリア「了解です。」
…..やばすぎるやろ…..!
ドアを閉じる前にぽつんと言ったトントンの言葉を、エミリアは聞き逃さなかった。
エミリア「最後まで耳、赤かった….。」
???「おい。行ったのか?」
身体が驚きでビクッと跳ねる。
エミリア「…..はい。(小声)」
???「今日の任務は….」
….毎日の任務は秘密裏に渡された交信機器によって伝えられる。交信機器自体にはBOSSからの声が聞こえるだけで、こちら側の声がBOSSへ届くことは無い。
その代わり、耳に盗聴器と発信機が埋め込まれているため、機器は違えど話は出来るという仕組みだ。
エミリア「……了解しました。」
発信機からの声「….どうした?向こうの国に情でも移ったか?」
エミリア「….まさか。」
発信機からの声「お前の任務を見失うな。分かったな?」
エミリア「はい。」
オフィスにて
あぁ。憂鬱だ。
さっき言われた「情が移った」という言葉に敏感に反応しすぎた。
…..私の情が移ってしまってる事は私も薄々気づいてる。
鬱「おはよー。」
エミリア「おはようございます。」
鬱「聞いたで?w今日朝起きんの遅かったらしいな?」
鬱「珍しいやないか。」
エミリア「そんなにですか?(笑)」
エミリア「ていうか鬱さんは、私の事とやかく言う前に溜まってる仕事が….」
シャオロン「お、エミリアやん。おはよ。」
鬱「しゃおちゃん!エミリアが虐めてくるよ〜(泣)」
エミリア「えぇ?」
シャオロン「いや、お前さっさと仕事しろや!w」
鬱「シャオチャン….」
エミリア「….別に鬱先生って仕事遅い訳じゃないのにめっちゃ仕事溜まってますよね。」
ゾム「いや、そうなんよな。」
ゾム「相当早い。」
トントン「取り掛かるまでが長すぎるんよ。お前は。」
鬱「いや、ゾムとトントンはどっから湧いてきてんw」
トントン「いやてか、俺はエミリアとだけ話があるんや。お前ら散れ。」
コネシマ「おはよう。」
トントン「いや起きるの遅!?」
コネシマ「別に俺今起きた訳ちゃうからな!?」
コネシマ「ゾム煙嫌やろ?」
ゾム「うん。」
コネシマ「やから外出て吸っててん。」
トントン「とりあえずエミリアとお話したいからどっか行ってもらってもええかな?」
コネシマ「あーね?OKOK。」
トントン「…..で、この資料の……..」
エミリア「そこは〜〜した感じの方が見栄えが良くなりそうですね。」
トントン「…..こんな感じか?」
エミリア「そうそう!良い感じですね。」
エミリア「この〜〜〜〜〜〜するって言う作戦?私この前のエーミールさんのプレゼンで聞き逃しちゃったかもです….」
トントン「あ、ほんま?これは….」
…..詳しく分かっていない所はこうやって上手く聞き出す。
幸い私は戦略造りに長けているから、皆からの支持がある。こういう仕事も任されがちだが….
トントン「…..聞いとる?」
エミリア「えっ?」
エミリア「すいませ….いや、聞いてなかったです。」
トントン「よな。やっぱ疲れとんかもな。」
疲れている訳では無い。こういう事をする度にスパイという仕事に嫌気が指すから。
エミリア「….大丈夫です。明日は休みを貰ってますから。」
トントン「あ、そうなん?じゃあ今日だけ頑張りや?」
エミリア「…..!」
うちの国だったら、そんな言葉誰も言うはずがない。
エミリアはトントンの話を聞きながら頭の中で浮かんで来た
『ずっとこの国に居たい』
という、小さな種の煩悩が。
スパイという仕事に大きく影響し、いつか自分がスパイだとバレる日が来るのだと考えた。考えてしまった。