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3 - 番外編 大切な人

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2023年04月18日

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「陽谷雨栗さん、緑川米将軍さん、ここでなにしてるんです?」

高圧的に言われて口ごもる。

そんな私にツカツカと近づき、鈴宮は私の頬を思い切りぶった。パンッと小気味いい音が鳴る。

「あ、雨栗!」こめしょーの悲鳴が聞こえた。そんなこめしょーにねっとりと絡みつくように触れ、どろどろと甘い声で話しかける鈴宮に物凄く腹が立った。

「おい、鈴宮!お前、雨栗になにしてんだ!」

こめしょーが叫ぶように言うのも軽く流されてしまう。

「あんな奴の心配なんてしなくていいんですよ、米将軍さん。貴方には愛しの私がいるじゃないですかぁ」

鈴宮が言い放つ。すると、こめしょーの限界が突破されたのがわかった。


早くも俺の本能が音を上げる。こいつはやばいと。関わってはいけないと。

ふと雨栗を見ると、泣きそうな、悲しそうな目をしていた。綺麗なオッドアイが潤んでいる。

俺の雨栗をこんな目に遭わせたのだ。生涯俺は鈴宮を呪う。

「おっ前……ふざけんじゃねえ!」

そう言って鈴宮から離れた俺を驚いたように見つめる鈴宮には興味が無いので、そのまま雨栗のもとへ行く。そのままぎゅっと抱きしめた。雨栗の肩が跳ね、俺の手が濡れた。

「雨栗はな、俺の恩人で!恋人なんだよ!世界でいちばん大切な人なんだ!それをお前なんかに傷つけられたくはない!」

鈴宮を睨みつけながら叫ぶ。鈴宮は引きつった笑みを浮かべながらまたよってくる。

「なんで?あなたに相応しくあれるのは私。そんなのじゃ何の役にも立たないじゃない。役立たずといるより私といた方が見栄えもいいわ、私を選んで」

俺の脳内でブチッと言う音がした、気がした。


こめしょーがキレた。

「おっ前……ふざけんじゃねえ!」

そう言って鈴宮から離れ、私の近くに来る。そのままぎゅっと抱きしめられた。離さないと言うように。

我慢していた涙が溢れ、こめしょーの手を濡らしてしまった。

「雨栗はな、俺の恩人で!恋人なんだよ!世界でいちばん大切な人なんだ!それをお前なんかに傷つけられたくはない!」

そう吐き出すように言ったこめしょーにまた泣いてしまった。こめしょーは私のほうをちらっとみて少し笑う。そうだ、私はこの笑顔に救われてきた。こめしょーは私がたとえ嫌がったとしても私を離さない。そう確信できた。

だが、鈴宮もしぶとく言い寄る。

「なんで?あなたに相応しくあれるのは私。そんなのじゃ何の役にも立たないじゃない。役立たずといるより私といた方が見栄えもいいわ、私を選んで」

そう言われて、こめしょーの怒りが最高に達した。

「お前みたいな自意識過剰な我儘最低女より雨栗と居た方が俺はいい!ていうか居たい!お前となんかこっちから願い下げだ!」

鈴宮は泣き崩れた。

こめしょーが帰る支度を始めたので私もバッグを肩にかける。そのまま図工室を出た。

私たちの手は、強くつながれていた。


「こめしょー?」

「ん?」

もう昼なので、コンビニでなんか買って食べようということになった。飲み物コーナーで話しかけてもちゃんと応えてくれた。

「こめしょーはさ、本当に私でいいの?キラキラした鈴宮さんじゃなくて、私でいいの?」

確信していたのに聞いたのは、こめしょー自身の口からその言葉が聞きたかったから。

「あったりまえだろ、俺は雨栗がいい」

期待通りの言葉が聞けて安心して、全身の緊張がふっと解けた。膝から崩れ落ちる。

「ちょ、雨栗!?どうした!?」

いつでも心配してくれる彼に笑みを向ける。

「大丈夫。こめしょーが彼氏で良かったなと思って、安心しただけだから」

「っ!とりあえず立て……」

珍しいこめしょーの赤い顔に見惚れてしまった。こめしょーがそっぽを向いたまま立たせてくれる。ありがと、と返して飲み物を買ってコンビニをでる。

「そういえば、雨栗、頬大丈夫か?」

「大丈夫。ちょっとピリピリするだけ」

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コメント

2

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あああ‼やっぱ好きです😭🫶 テラー入れてなくてウェブ版で見てた時からずっとこの小説が好きでした…………! 一生推す!

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