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「……先輩。ラリーになりませんよ、これじゃ」



「だって。これ以上、腕振れないよ。

明後日、マウス待てなくなる」



「どんなけ貧弱なんすか」



「えーん」



「はい、ラケット持って。まだまだ動き足りんっすよ」



「だったらさあ。

もっと上級の人とやればいいじゃん。

見てよ、向こう。すっごい熱い試合してるよ」



「そしたら先輩ぼっちやん」



「いいえ。

私は、あっちの初心者グループに入れてもらう」



「無理。先輩が他の人とペアになるなんて許せない」



「鬼!」



「こんだけ言うてもあかんとか、鬼はどっちやねん」



「ねぇ………休憩……しよ?」



「…………コッワ。無自覚でそれ、まじコワ」



「一丁前にスポドリ買ってくる。要る?」



「俺も行く」



「あ、そーいえば。さっきさぁ、

『神崎くんと仲良いよね』って言われた」



「え、まじで。誰に?」



三島みしまくん」



「待って?

男に言われたなら、話変わってくるんやけど」



「なんか『他人が入りにくい、2人だけの世界がある』って」



「おー。ようわかっとるやん」



「そんなんじゃ、ないのにね」



「わかってないの、この人だけやったわ」



「でも、ほんとさー。

最初会った時は、こんな普通に話せる日が来るなんて思ってなかったよ」



「うわ、嫌な話しそう」



「あは。『新人担当降りろ』的なこと言われたよね。私」



「……やっぱな。

思い出さんといて、そんなこと」



「丸くなったよ、神崎くん」



「ほんまに反省してるんやって。

若気の至り。調子乗ってたの」



「ありがたかったけどね。はっきり指摘してくれて」



「……先輩がお人好しで良かったですわ」



「やっぱ、ストレートの方がいいよね。

言いたいことがあるならさ」



「痛った。……ほんまは全部わかって言ってんちゃうの?」



「え、ケガ?大丈夫?」



「うん。ケガした。外傷なく、身体内部中央の損傷のみ」



「何したらそんなことになるの?薬局探す?」



「いや、ええです。どうせらんし」



「……んで、そのままサボっちゃう?とかね」



「うわぁ……軽率に行こかな……」





君がいなけりゃ、意味がない

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