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お祈り 、 か …
俺は紫の家に行かなくてはならないことも 、 自分が迷子だということも忘れて小さな祠を見詰める 。
そして 、 パンパンと二度柏手を打って心の中で唱える 。
紫とずっと一緒に居られますように 。
そして …
____ どうか 、 紫を …
____ どうか紫を 、 他の人に取られませんように 。
「 さて … 」
祈り終えた俺は 、 改めて周囲を見回す 。
少し離れた所に紫のマンションが見える 。
どうやら大して離れた場所ではなかったようだ 。
俺は祠を少し振り返ると 、 そのまま紫のマンションへ向かった 。
紫のマンションに着いた俺は 、 駐車場を見て眉を顰めた 。
… いつも停めてあるおじさんの車がない 。
夜勤だろうか 。
得体の知れない不安を胸に抱きながら 、 マンションの人気のない廊下を進む 。
… それにしても夜とはいえ 、 まだ日付が変わっていないのに 、 こんなにも静かなものなのだろうか 。 少なくとも俺の家は違う 。
姉ちゃんがうるさいから ( 失礼 ) 。
「 … 」
… 紫の部屋の前に着いたはいいものの 、 インターホンを押しても誰も出てこない 。
おばさんも紫も出掛けてる ?
いや 、 流石に俺のこと呼んでおいてそんなはずはないだろう 。
… 紫ならありえるか ? ( 失礼 )
「 お ー い 、 紫 〜 … 」
扉をノックしても反応がないので 、 生活音は聞こえないものの 、 一応迷惑にならない程度に呼び掛けてみる 。
『 紫 ー ? 着いたよ ー 』
『 紫 ? 』
なんて 、 メッセージを送ったけれど既読がつかない 。
さて 、 どうしたものか 。
考え込んでいると 、 突然隣からガタッ 、 と音が聞こえた 。
音のした方に顔を向けると 、 俺は安心して息を吐いた 。
紫の隣に住んでいる住人だ 。
いつもにこにこしているおばあちゃんで 、 俺も小さい頃からよく顔を合わせていた 。
そのおばあちゃんが顔を此方に向けている 。
俺はにっこりと微笑みながら口を開いた 。
「 すみません 、 紫ってどこに居 ____ 」
そこまで話すと 、 俺は口を閉じた 。
違和感に気付いてしまった 。
いつもにこにこしているおばあちゃんが無表情のまま俺をじっ 、 と見詰めていたから 。
真夏のはずなのに冷や汗が出てくる 。
すると 、 奥の方から人が迫ってきているのが見えた 。
皆記憶にある 。 紫と同じ階の住人だ 。
それなに 、 誰一人口を開かない 。 無表情で 、 無言のままただ俺に迫ってくる 。
本能的に分かる 。
捕まったらやばい 。 逃げなきゃ 。
それなのに 、 足が竦んで動かない 。
____ 動け動け動け っ !!
間一髪 、 なんとか伸ばされた手を避けて俺は逃げ出した 。
エレベ ー タ ー はきっと間に合わないだろうから 、 階段を一段飛ばしながら駆け下りる 。
俺の方が速い 。 大丈夫 。 逃げ切れる 。
そう思った途端 、 体が宙に浮いた 。
あっ 、 と声を出す間もなく体が地面に叩き付けられる 。
階段の段差を踏み外してしまったのだ 、 と気付くまでに暫く掛かった 。
… 再び立ち上がったときには 、 もう遅かった 。 いつの間にか追い着いてきた住人に囲まれている 。
「 だから言うたろ ォ ?
オイノリの仕方には気 ィ 付けなってさ ァ 」
聞き覚えのある声が聞こえて 、 辺りを見回す 。
… 居た 。 住人に紛れて立っている 。
「 折角注意したのにな ァ 。
“ そこン神様はち ィ と捻くれとる ” ってね ェ ? 」
老人はまたあの時のように 「 ひゃっひゃっ 」 と笑い声を漏らしながら俺に近付いてくる 。
老人の手が近付いて来た時 、 俺は思い出した 。 自分が祠に何を祈ったのかを 。
『 紫とずっと一緒に居られますように 。
そして …
____ どうか 、 紫を …
____ どうか紫を 、 他の人に取られませんように 。 』
老人が言うには 、 あの祠の神様は捻くれているらしい 。
その捻くれた老人は俺の願いを聞いて思ったのではないだろうか 。
” 2 人とも纏めて存在を消せば解決ではないだろうか “ と 。
… 俺の願いは叶ったのかもしれない 。
とてつもなく邪悪な形で 。
コメント
6件
めちゃすき やっぱりほらーさいきょう
ぇ ー めちゃ ゞ 好きなんだが ⁉️ こうゆう 系 好きすぎる 🥹♡