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※第二章スタート!
外へ出ると、もう日が傾きはじめていた。
夕方と呼ぶにはまだ早すぎる時間帯、ぼくたちは新たな旅に出ようとしていた。ドキドキして、待ってなんていられない。目的はいたって真剣だけれど、内心では新たな冒険に心を踊らせていた。
「ところでなんだがカービィ…この人数でどうやって移動する気なんだ?前の時点でもかなりギリギリのサイズだったのに、これ以上増えるとかなりマズいだろ?」
「その点に関しては大丈夫。ちゃんと方法を考えてあるから」
言いおわるかどうかのタイミングで、空を見上げる。眩しい音が、遠くで聞こえた。星がはじけるような、聞き慣れた音が――
「おおっ、来た来た――ってうわああっ!!」
どん、と衝突。五年前と同じように、勢いとやる気のありあまったワープスターが、ぼくに向かって突進してきた。
「だ…大丈夫?」
「あー…気にしないで、いつものことだから…」
「ひどいなぁアドレーヌ!いつもはぶつかったりしないよ! ね、ワープスター?」
張り切りすぎたあまり自身も埋まってしまった相棒をねぎらうように撫でる。心地よさそうな、まるで天を流れる星のような音が聞こえた。
「…で?この人数、どうやって乗せる気なんだよ」
「そうだねー、じゃあまずはワープスターを横向きにしまーす」
「…前は縦にしてたからギリギリだったのか…?にしてもだろ。それ以前ではなんとか乗れてたが…大きいやつがまた一人、増えたとなると…」
「そしたら次はー…デデデ、アドレーヌ、カエデ。三人が先に乗ってほしいな」
ぼくに指名された三人は訝しみつつもワープスターに乗る。この時点で既に、面積の約3分の2は埋まってしまった。操縦するぼくはもちろん先頭でないといけないから、普通に乗れそうなのはあと一人。
「じゃあリボンちゃんとワドルディは、アドレーヌかカエデの膝に乗って。アンバランスなデデデの上よりかは安定すると思うし。…これで大丈夫?」
「お、おおー…これなら確かに乗れたね…」
膝にリボンちゃんを乗せたアドレーヌが感心したように言う。ワドルディは、後からカエデの膝に登った。
「よし…とりあえずは“あそこ”に向かうんで大丈夫だったよね?そこまで遠くはないけど、かっ飛ばしていくよー!」
「えっちょっ待っまだ心の準備が…ぁぁああああ!!!」
カエデの断末魔だけを置き去りにして、ワープスターは勢いよく飛びあがった。
「速い…速すぎるって…ねぇなんでみんな平然としてるの…?」
「慣れじゃないかな」
「慣れだと思うっス」
「慣れるしかないな」
「嫌だもう…何なのこのひとたち…」
速度も安定して落ち着きを取り戻したカエデがこぼす。最初の急加速で一気に気力を削がれたらしい。そういえば、 慣れていないと確かに厳しい速さだったのを完全に忘れていた。前回は状況が状況だったのもあってか、或いはリボンちゃん含め肝が据わっていたひとばかりだったからなのか、こうして気づかされるのもいつぶりだったか…
「…そういえばカービィさん、さっきから聞きたかったんスけど…携帯、変えました?」
「おー!正解!いやー、前の機種、古かったからね。デザインは好きだったけど、今のやつも中々だから気に入ってるんだー!」
なぜかこの前斬られたときに増えたけど、と言おうとして慌てて止めた。あの世界のことは、お互いにとって、あまり知らないほうがいいと思うから。
「…あ、あそこ!見えてきたよ!」
自身の差した指の先に、岩石片の集まりのような惑星が漂っている。滅亡した文明と砂の星、ホロビタスター。前と同じく、この旅の最初の目的地だ。
大気圏でダメージを受けないよう、高度とともに速度を落とす。ボロボロで穴だらけの外見のわりに、中身は相変わらずしっかりしていた。着地前には、巻きおこる風で砂ぼこりが舞うのだろう。どこまでも続く黄土色の地平の先に、以前と変わらずに黒々と光を反射する遺跡の頂点が見えた。
そうしてぼくらは、小遺跡の群の中に降り立った。
おまけ キャラ紹介
カービィ
本作の主人公。リボンと星空デートしていたところ、空から降ってきた少女と出会う。旅好きで仲間思いで戦闘にも自信がある若者。特技はコピー能力で、敵や能力持ちのキャラを吸い込むとその力をコピーして使うことができる。また通常の能力以外にも“コピーパレット”などの特別な力に目覚めることがあり、最近になってまた“ミックスコピー能力”が使えるようになった。周期は本人にも分かっていない。前回の旅(Wii/DX)までで得た経験を元にして更なる組み合わせを試している。また、特別な条件を満たすことにより、“スーパー能力”を使えるようになるが、その条件とは「カービィがそのコピーをマスターしていること」「コピー元の主がその能力をマスターしていること」。それ以外にも、その条件下で発動した能力は消耗が激しいため、ここぞという時にしか使えない。
無限の力や可能性を持つと言われていて、彼のコピー能力もそれに由来するもの。すっぴん状態だと光の力に長けており、その影響で宝具(スターロッドやクリスタルなど)を使える数少ない存在。ここでは星型弾や攻撃時に飛ぶ星もその力で生成されているという設定(第5話デデデがちらっと言及してたやつ)。
カービィ「この話の主人公、昔はぼくじゃなかったって本当?」
作者「まだカービィにハマる前のことを持ち出すなぁぁ!!」
リボン
リップルスターの妖精。カービィに星空を見ないかと誘われウキウキだったところで落ちてくるカエデを見つけた。64の時よりかは戦えるようになっており、クリスタルの他にも魔力球で攻撃したりできる。それでも他の仲間には劣るため、よくアドレーヌやワドルディに守られている。カービィ同様に光の魔力に長けているので、宝具を使用できるのはもちろん、一部の宝具や魔法具の真の力を引き出したり、深部にいる闇をも察知する能力が研ぎ澄まされていたりする。
リボン「『でしゅ』『ましゅ』口調にはしなかったんですね」
作者「そっちの方がイメージに合ってたし。昔の漫画だと少なかったみたいだけどね」
カエデ
オリキャラ。楽園を目指して旅をする一族の少女。 魔力量はそれなり。カービィの“リーフ”のような力を使う。
ポップスター付近で休憩をとっていたところを、“黒い影”に襲われ夢の泉に落ちてきた。そこでカービィとリボンに出会い、四人の友達を探す旅に出た。
温和だが、良好な自然環境の中にいるとついテンションがあがって単独行動に走りがち。おかげでよく捜索案件になる(他四人も同じような行動を起こすが)。ただしカービィたちと旅をしているときはそこまでテンションがあがらなかったため無事迷子にならずに終わる…予定(コレカラスターはジャングル地帯ならいつの間にか消えてると思う)。
カエデ「前の設定が凄絶なんですけど…」
作者「オリキャラだからって過剰に設定盛るのは良くないよねってなったので今回はだいぶ抑えました(それでもかなり盛った気がするけど)」
ワドルディ
平凡なスカキャラ。物腰は柔らかく、人当たりも丁寧。語尾が「~っス」で、バンダナワドルディとは師弟関係。前回の旅では武器を持っていなかったが、パラソルを駆使し共に戦う。攻めより守りに長けていて、この旅での経験が後に「パラソルワドルディ」としての活躍に繋がる。見た目の特徴として、体色が他個体よりも赤寄り。一人称は「オイラ」。女王から貰ったクリスタルの勲章が宝物。64では乗り物を駆使してカービィをサポートした。元々手先が器用なのもあって、その活躍ぶりからよくデデデの手伝いに駆り出される。仲は良いので本人もまんざらではないらしい。たまにパシリに使われたとしても。
得意技は高速落下傘。アドレーヌと同じバグ技使い。これがなくなるとまともに戦えないので修正されることはない。
ワドルディ「ファイターズZでは修正されてましたけど?」
作者「でもスタアラで擬似的なのできるじゃん」
アドレーヌ
不思議な絵筆を持つ絵描き。特技は家系に伝わる絵筆による絵の実体化。また本人の能力として、自身の魔力から無限に絵の具を生成することができる。年相応に活発な性格で、初対面の人とも普通に話せる。ワドルディ曰く「コミュ力バグってる(要約)」とのこと。
出自には少し謎があり、ポップスターに来る前は修行の旅をしていたらしいのだが、その記憶ははっきりとは思い出せない。またポップスターに来るのは64が初めてのはずなのだが、一部の場所にはどこか見覚えがあるようで…?
お気に入りの場所はしずかなもり、ホロビタスターの遺跡、ウルルンスターの海岸、コレカラスターの岩山、ブルブルスターの雲の上の世界、リップルスターの花畑。建物よりかは自然が好き。特にしずかなもりを気に入っており、ポップスターを訪れた際、導かれるようにして辿り着いたらしい。
旅メンバーの中では全員と仲がいいが、特にリボンとは信頼関係も深く、本編では書かないが連携もできる。ちなみに、これが後々の事件にて生かされることになる。
アドレーヌ「絵心…」
作者「こればかりは許せ」
デデデ大王
自称大王。得意武器はハンマーで、ボンカースを超える使い手。吸い込まれることや他人にハンマーを貸すことは滅多にないが、彼のハンマーをコピーするとスーパー能力の「ギガトンハンマー」がコピーできる。その大柄な体の通り力強く、体力、防御力は仲間の中でも随一。また普段使いしている木製のハンマー以外にも、機械じかけの「ニューデデデハンマー」を使用することもある。体にかかる負荷が大きいため、制御機能のついたマスクを装着していないと自分の体にもダメージが入る。その姿はかつての因縁のライバルとの決戦時になぞらえて「逆襲の大王」の異名がついている。
自称とはいえ大王なので、国民はともかく部下からの信頼は厚い。というかそうじゃなくては国中の食料強奪とかできないし。もちろん本人も部下(仲間)想いの優しい性格なので初対面の相手でも話しやすいらしい。
前述のような機械も自身で制作するので機械いじりは得意な部類。そのレベルはメタナイト(ハルバードやヘビーロブスターの設計に携わり、自身も部下と共に制作を担当した)と同等。それでも最近は機械に頼らず自力で勝負を挑むことが増えた。
カービィと出会う前までは自分勝手な性格だったが2の事件で操られて以降は部下を気遣うようになった。今では国民からカービィ同様の信用を受けている。スパデラ以降の期間はかつてのようなライバル関係に戻ったが、ある程度すると吹っ切れたのかまた仲間として協力するようになった。素直に想いを言えないため巷では「ツンデデ」扱いされている節がある。
デデデ「時系列がちょいとややこしいな…」
作者「いちいち説明すんの面倒くさいから作品概要見てくれ」
あとがき
作者のフジミヤです!
本当に、本当にお待たせしました。いよいよ第二章スタート!
いやー、ここまで長かったようで短かった…のかな?最初に投稿したの何ヶ月前だっけ!?多分一、二ヶ月だとは思うけどなー…ってそしたらかなり投稿ペース遅いことになりません?これは完結はいつになるのやら…
いちおう今後の展開は30話くらいまで決まってるので、あとは予定とやる気の問題ですね。たぶん来年からはペース上げられるはずなので、今年のうちに書くのに慣れていきたいです。
あとこの前言ってたキャラ紹介は、今後もおまけパート(あとがきの前)でやります!…毎回かなりはっちゃけると思います、たぶん。
絵は公式のを見て描いたり手癖マックスで描いたりしてるのでかなりブレブレです…下手なもんでね…早くペンタブデビューしたい…
そして次回はいよいよぼうけんのはじまり(タイトル詐欺じゃねぇか)!ホロビタスターでカービィ一行を待っているのは、一体…!?
次回もお楽しみに!