※(今度こそ)ぼうけんのはじまり!
「ここが…ホロビタスター…!」
滅びた、と名につくだけあって、目の前には、砂漠とボロボロになった遺跡しかない星だった。外から見ていただけでは分からない中身に驚く。
「いいところでしょ?…あたしもこの遺跡、好きなんだ」
そう言ってアドレーヌは頬を緩ませた。うずうずしているようで、もどかしいような、少し言語化するのが難しい顔。これから先に続いている世界に、胸を躍らせている。これが絵描きの性というものなのか、それはよく分からなかったが。
「カービィさん、とりあえずどこを目指しますか?襲われたのなら、どこかに隠れているかもしれませんし…広大な砂漠を隅々まで探すのは無理がありますから」
「うーん…カエデにも心当たりはないんだよね?誰がどこにいるとかも…」
「さすがに分からないよ。でも、遺跡ってだいたい、トラップが仕掛けられてそうだよね。だったら、そこにいたら安全かも…」
「ここの辺りでトラップのある遺跡っつうと、二カ所ぐらいか?あの流砂トラップのところと、でかいピラミッド…」
頭をひねる。たしかに着陸する前、石造りの城のような建物と、黒く光るなにかが見えた。堅固な造りをしているのなら、本当にそこにいるのかもしれない。
「…流砂のところは、中に広い水場…プールかな?… があったし、その部屋は窓も大きかったよね。しかも、トラップのところはもう砂で埋まってるし」
「では、そうなるとピラミッドが妥当でしょうか?あそこは電気式のトラップが多かった気がします」
「電気、か…」
友達のひとりの顔を思い出す。彼は電気を操るのが得意で、各地の機械や工場を見てまわるのが好きだった。
わたしたちはみんな、好きなものとか、そういうのに対する直感がやけに冴えている。だから彼は、もしかしたら――
「…うん。まずはそこに行ってみようよ。たぶんだけど、そこに誰かいるからさ」
「お、分かるのか?」
「なんとなくね」
首をまわす。カービィと目があった。分かっていたと言わんばかりの表情で頷いてくれる。ぐっと、心強さのようなものを感じた。
「よーし、目標はピラミッド!みんな、早く行こう!」
おー、とあげた声がぴったりと揃う。これから踏み出す一歩に、期待を込めて思った。
(リリル――きっと、いてくれるよね)
できるだけ近道を行きながら進んだおかげで、ピラミッドはもう目前だった。相変わらず崩落したままの石橋を飛び越え、陰になった部分に入る。灼熱の太陽から少しだけ解放され、降りてきた足場へ乗り込んだ。
「ふぃー…温度は相変わらずとはいえ、ここは比較的涼しいっスね…陽が遮られるだけでもこんなに違うなんて…」
足場が底にはまり、本格的に暑さから解放された。壁にある紫の照明が一斉に淡い光を出し、暗い視界は多少良くなった。前に乗り込んだときのように、天井を目指して台座は進んでいく。
「ひとまず、ここまではたどり着けましたね。…でもたしか、この部屋って――」
リボンが言い終わらないうちに、ボンボンッと、砲撃の音が聞こえてきた。ライトの隙間から、備えつけられているシャッツォが銃口を向けている。
「…そういや、ここはこうなってたっけか…」
「と、とにかく逃げよう! 」
カエデの一声を合図に、ぼくたちは天井に空いた穴を目指して飛びあがった。自力では飛べないアドレーヌとワドルディは、それぞれリボンちゃんとデデデに運ばれている。カエデもどういう仕組みかは分からなかったが、自分の力で飛んでいた。しつこい砲撃の雨を縫い、なんとか穴へ入る。後からは、遅れてやってきた台座がはまり、それ以降動くことはなかった。
「ぬ…抜けたぁ…ありがとねリボンちゃん…」
「はぁ…いえいえ、こんなのは、はぁ、全然…」
「大丈夫そうじゃないね…一旦休む?」
「さんせーい!ずっと歩いたからお腹すいた!アドレーヌ、何か描いて!」
「いいよ!でも疲れるから、少しだけね」
キャンバスを取り出し、鮮やかに筆を振るう。何度見ても理解が難しい力だ。あっという間に、リンゴやオニギリの絵が完成し、キャンバスから飛び出した。
「わわ…今のなに!?」
「アドレーヌさんの描いた絵は、本物にすることができるんスよ。オイラにも、よく分かってないんスけど。」
食べ終わる頃には、リボンちゃんの息も整ってきていた。冷たい質感の地面に腰を下ろし、文字通り羽を伸ばして休んでいたみたいだ。
「ふう…もう大丈夫です!」
「よかった!…じゃあ、進もっか!」
上下する足場を乗り継ぎ、ピョンピョンと渡っていく。万一のために飛べない二人を先に行かせ、ぼくはその後ろを進んでいた。様々なところに配置されたラミは、アドレーヌの絵筆とワドルディのパラソルがショートさせていく。
部屋の一番上に着く頃には、あちこちから電気のはじける音が聞こえてきていた。
「よっし…順調!」
「このままどんどん進みましょう!」
「おいお前ら、調子に乗りすぎるなよ…」
自信がついたのか、二人は明るい顔で進んでいく。デデデの制止で少しペースを落としたものの、その足取りは相変わらずだった。
(…二人とも、強くなったなぁ)
昨日のしずかなもりでのやりとりを思い出した。もっと強くなりたい。その思いが、二人を成長させたのだろう。生まれたときから強かったし、努力なんてしたことのないぼくにはよく分からなかった。
――ズバァーーーン!!!!
「えっ、なになに!?」
「雷の音…でしょうか?」
「雷…まさか!」
足を速める。少しだけ嫌な予感がした。先に進んでいた二人は…?
「ワドルディ!アドレーヌ!」
次の部屋に飛びこんだ。暗かったが、徐々に目が慣れる。ときおり、激しい黄の光がほとばしっていた。
そこでぼくたちが見たのは、五年前のように、巨大なラミと対峙している二人だった。
あとがき
おはこんばんちは!作者のフジミヤです!
いやー…ステージはしょりすぎだろ!誰だここの作者(←こいつです)
書きたいシーンじゃないと乗らないんですよね…だから余計に文が短くなる…長文すぎとか悩んでた過去の自分が羨ましい…
次回は戦闘シーンの予定ですが…うーん…書けるかなぁ…
そういえば全く関係ないけどオリガミキングにハマりまして!ボムオリから入ってみたら見事にパDの沼にハマりましたw
…本当に関係ない。でも書きたかったんだよ。許せ。
とにかくもう少しで書きたいところなのでもっとペース上げられるように頑張ります!
次回もまた見に来てください!
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