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#16..おかえり
運命分ける手術の日から、既に5日経っていた
この5日間という長い間、私はずっと涼太のことを考え続け、気が気ではなかった
いつまでも待つとは言った
それでも5日というのは、私にとっては何ヶ月も貴方がいないのと同等に感じられた
それだけ心にぽっかり穴が開いたように思えた
今日は26日
本日も丁度休みだった
だから今日も一日中祈る
貴方か、医師の返事を待って
夕方17時
結局今日も駄目だったかと、ますます不安になる
あれから一日中天に祈っていたが、やはり願うだけではどうにもならないと実感させられた
自分の無力さに、苛立つ気持ちをぐっと抑え、玄関を出て散歩に行く
耳から聞こえてくる音楽は、愛を語る恋愛物が多い
その他には、感情を込めやすい曲、誰かを想う曲ばかり
これも全て、貴方が教えてくれた曲達だ
いつか歌ってほしいと言ってくれた曲
おすすめだと、共有してくれた曲
全てが宝物だ
少しずつ沈んでいく夕日を見つめながら高い塀に座る
辺りは少しずつ暗くなっていく
それでもお構いなしに、ここに座り続ける
ブー
スマホが鳴った
まさかと思い、画面を開く
_親からのメールだった
がっかりしたように、肩を落とす
少し肌寒くなってきたので、家に帰ろうと帰路に着く瞬間
もう一度スマホが鳴った
もう期待なんてしない
期待したって、またどん底に落とされるだけだ
そう思っていたのに
〔ただいま〕
「っ~…、!」
たった一言
たった一言なのに、私のぽっかり開いていた胸が静かに埋まっていくように感じた
安心しているのだと、すぐにわかった
これまで何度か涼太のことを本気で愛していると、思ったことがあった
でも今回はまた違う感情に少し戸惑う
この感情に私は名前をつけられないが、今はまだいいと、心の奥にしまっておく
「よかったぁぁ…っ、」
現実で涙が止まらなくなってしまう
【おかえり、!!】
それでも文面はいつも通り、元気に返す
【もう、っ、たくさん待ったんだからね、!?】
皮肉を言ってやる
少しくらい許してほしい
私だってたくさん心配したのだ
〔ごめん、お待たせ〕
【ほんとに、おかえりっ、!】
本当ならここで抱きしめてあげたい
でもそんなことはできない
今はいい
また会えた時、思いっきり抱きしめてあげればいい
もうまた今度が通用するのだ
何度だって未来のことを話そう
何度だって未来の約束をしよう
全て叶えてみせるから
〔わ、ほんとに200件くらいきてる、w〕
どうやら私が5日間で送ったメッセージに気づいたらしい
私自身も、どれだけ送ったかわからない
ただたくさん送ったという記憶しかない
【だって、寂しかったんだもん、】
少しむすっとする
〔ごめんって、w〕
〔でもありがと〕
その感謝の言葉は私の心に染みて、消えていく
こんなに嬉しいことがあっていいのかと不安になるくらい、今が幸せだ
【ねぇ、りーちゃん!】
【約束、守ってくれてありがと】
【これからもずっとずっと、よろしくね!】
泣き笑い
それでも嬉し泣きだ
今この現実が夢なのではないかと、思ってしまう
もしあのまま君がこの場所からいなくなっていたなら、私はきっと出会ったことすら夢のように思ったんだろう
そうならなくて本当によかったと、安堵する
私と涼太が出会えたことは夢なんかじゃない
全て現実
全て大切な思い出だ
私はこれからもこのいい思い出も、悪い思い出も抱えて歩いていく
その時に、まだ貴方が横にいてほしいと、ただただ願っている
これからもこの願いは変わらない
#17..星空の下で
3年後
いつもの都市の駅で今日は新幹線を待っている
今の私は大学1年生
高校からエスカレーター入学をした
今日までバイトにバイトを重ね、お金を貯めてきた
数年前の私が成し遂げようとして、できなかったこと
それを今日叶えに行く
[まもなく、東海道新幹線のぞみが到着します]
[黄色い線の内側でお待ちください]
ホームアナウンスが鳴る
数分後には、新幹線がホームに到着した
指定席を取ったので、席を探し、座る
1人で新幹線に乗るのは初めてだ
少し不安もある
でもそれ以上にこの後のことが楽しみで仕方がない
物凄いスピードで線路を走っていく
途中で、京都の歴史的な建物や街並みが見えた
東寺の五重塔など、高い建物は目を引くものだった
[まもなく、新大阪駅です]
[お降りの際は、足元にお気をつけてください]
東海道新幹線の終点、新大阪駅に到着する前に、降りる準備をする
1時間程かけて着いた新大阪駅は、人集りができていた
さすが夏休みといったところだろうか
新大阪で駅弁を買い、次の新幹線を待つ
[まもなく___]
次の新幹線が到着する声が聞こえる
ここからは長時間座ることになるので、心して乗る
座席に座り、少し眠る
夢の中まで、涼太が出てきた
余程楽しみなのだろう
何せ、前に実写を見せてくれたのは中3のとき
今の彼を知らないから
どんな子になっているのだろう
元気で、走り回っているだろうか
それとも大好きなダンスを続けているだろうか
貴方も楽しみに待っていてくれてるだろうか
心配事も多々あるが、今はどうでもいい
会えるという事実だけで十分だ
乗ってから数時間経ってから、買った駅弁を広げる
食事の匂いが周りに広がる
周りの方達も、食事をとっていたのでそこまで気にならなかった
[まもなく__]
到着するという車内アナウンス
今は午後13時前後
ここから、在来線に乗り換えて涼太の家の最寄り駅まで行く
そこで待ち合わせ予定だ
電車の振動と音だけが耳に届く
自然豊かなこの場所は、私にはとてもぴったりだった
『あ、』
電車が到着して、ロータリーに居たのは、数年前とあまりかわりのない涼太だった
「っ~!」
思わず、荷物をほっぽり出して、走り出し、涼太を抱きしめる
「やっと、会えたね…!」
私より少し身長の低い涼太は、とても可愛らしかった
『いらっしゃい、w』
こうして、行き合計4時間ほどの旅は一次終了となった
涼太に観光を任せていたら、あっという間に時間が過ぎてしまった
予約していた旅館にチェックインをして、荷解きをする
そしてまた外出
『あ、きた』
『遅いよw』
「ごめん、w」
涼太がもう一つ案内したいところがあると言ってくれた
「どこにいくの?」
『内緒〜』
連れてこられた所は、川が流れていて、月が水面に反射していてとても綺麗だった
「わぁ…!」
『僕もここを見せたかった』
『今日は来てくれてありがと』
「ありがとうはこっちのセリフだよ、迎えてくれてありがと」
2人見合わせて笑い出す
「ね、これからも会いに来ていい?」
『もちろん、今度は僕から行くね』
「わかったよw」
直接は言えない
好きだって言いたかった
でも内緒
今まで通り涼太にとって一番の親友でいたい
その時、都会よりよっぽど綺麗に見える空の星が私達を応援するかのようにチカチカと瞬いている気がした
朝になって朝日が部屋に差す
今日また地元に帰る
寂しさを隠せない気がする
『あ、おはよ』
「おはよ!」
外で待っていてくれた涼太
やはり私はここから去りたくないと思ってしまう
時間は早い
あんなにあった時間がもうない
「じゃあ…、お別れだね」
夕方14時、ロータリーの時計の下で別れを告げる
『うん…、来年絶対行くから』
「うん、待ってる!」
そう言い残し、電車に乗る
窓から見える涼太はずっとずっと手を振っていた
家族へのお土産もたくさん、涼太から貰ったプレゼントもあった
たくさんの新しい思い出を抱え、帰路を辿る
夕日が沈んで行く中、私はまた眠りに落ちた
今までの幸せな日々を思い出しながら、これからの未来に期待しながら
ちょっと最終話長くなりすぎたけど、完結です!
めっちゃ急ぎ足だったの許してね…w
人生三作目の完結!✨️
最後まで見てくれてありがとうございました!
星空の下でまた君に恋をする…完
コメント
14件
あああああああああ
みぅです🤍🥀 ……やっと会えたね、ほんとによかった。 「ただいま」のたった一言で、胸の穴が埋まっていく感覚、すごく伝わってきたよ。 3年後の再会シーンも、川辺の月明かりも、ずっと手を振ってる涼太も、全部が切なくて温かかった。 完結、おめでとうございます✨ 最後まで読ませてくれてありがとう。本当に素敵な物語でした🌙