【勝てない】
アメリカ・視点
朝。
窓から差す日の光がなんだかむずむずして、俺は目を覚ました。
視界が段々とはっきりしてくる。
『おはようございます、darling』
俺のことを見つめ、ニッコリと笑う顔。
光に照らされた彼は天使のようで、
くしゃくしゃっとしたシーツとパジャマからは微かにお日様の匂いがする。
俺の腕の中にイギリスがいた。
毎朝のことだが、いつも
あぁ、幸せだな。なんて、陳腐なことを思ったりする。
『へへ。おはよう、darling…』
チュッ
イギリスのおでこにライトキスを落とす。
何年もやっているが、未だになれないのか恥ずかしそうに目を瞑る。
その姿がとても可愛くて、毎回のことだがきゅんっとしてしまう俺も、俺なのだろう。
なんだか名残惜しくて、しばらく2人で惰眠を貪っていた。
するとイギリスが俺の頬を両手で挟んできた。
『アメリカ、私、そろそろご飯を作らないといけません。』
しょぼん、と、眉毛を垂れ下げながら俺に訴えてくる。
俺はまだ、この可愛い恋人と一緒にごろごろしていたいのだが…こんな可愛い顔をされちゃ、しょうがないな…(´・ω・`)
『あらあら…そんな顔しないでください。』
『そうは言っても…もっと一緒にいたい…』
そういって俺は眉をハの字に下げ、口を少し膨らます。
イギリスは昔から、この顔に弱いんだ。
『…////…そうですねぇ…』
ほら、やっぱり。単純すぎて可愛くて、ニヤニヤしてしまいそうだ。
考えを改めてくれるだろうか。そんな、微かな期待を胸に、ジッ…とイギリスを見つめ続ける。
『では、一緒にいきましょう?、ね?』
…ね?…ねって言った…????
俺は思考回路がショートを起こしそうだった。
首をコテンッと傾げ、俺を上目遣いで見る。
…これは、負けた…笑
ニッッと口に弧を描いて、腕に力を込める。
『うわっっ!?』
イギリスを抱っこした。突然のことだからか、俺の首に手を巻きつけてくることの、なんと愛らしいことだろう。
世界遺産に登録だな。
『ちょっとー!!!』とか『降ろしなさい!!』とイギリスが言ってたような気もするが、怒っている気配は無かったのでそのまま一階に降りていった。
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『全く…もぉ〜!!!!!!!!』
そう言いながら、エプロンをつけたイギリスは台所に立った。
カタ…コト…、と包丁の音が聞こえる。
俺はこの音を聞きながらコーヒーを飲むのが大好きだ…とは言っても、イギリスが不貞腐れるので紅茶を飲む。
『アメリカ!あなたはいつもいつも…もう少し私の話しを聞いてください!!!!』
眠気が完全に覚めたようだ…。
いつもの、本調子のイギリス。笑
でもこれが可愛い、愛おしい、なんて思ってしまう俺も相当なのだろう。
『アメリカ、聞いてます!?!?』
イギリス式ブレックファーストを持って、頭に「怒りマーク」を浮かべながら俺を見下ろす。
『うん、イギリスのこと、考えてた』
俺はベッ…と舌を奴出しながら答える。
『なっ!!!!…、ッッ…!、〜〜〜!!!』
声にならない声を出して赤面するイギリス。
あぁぁぁ…ほんと…可愛い。
自然と笑みが溢れる。
『なぁイギリス、俺、早くご飯食べたいな♪』
ニヤニヤしながら笑うとイギリスが恥ずかしさを超えて顔を顰めて来た。
おっと。笑これはそろそろヤバい。
『ごめんね、許してよ、honey?』
チュッ…
となんだかんだ隣に座ってもくもくと朝ご飯を食べるイギリスの右ほっぺにキスを落とす。
『…貴方が私のせいで、振り回されたらいいのに。』
ボソッと、イギリスが、言う。
『…、へっ…?////////』
体の底からジュワッと熱が込み上げてくる。
気がついた時には顔が燃えるように熱くて、
イギリスはニヤニヤしていた。
『おやおや、さっきの威勢はどこに行ったんです?』
いつのまにか椅子から立ち上がっていたイギリスは俺の方にジリジリと寄ってくる。
『え…ぁ、その…っ////』
さっきのイギリスの言葉がループして、HEROなのにまともに話せない。
『えぇと????なんでしたっけ?イギリスのこと、考えてた。でしたっけ????』
熱い顔が、別の意味でまた、熱くなる。
『た、たしかにっっ、ええと、寝ぼけててっっ、いっ…言っちゃって…っっ!』
焦りに焦り、チグハグな言葉しか口から出てこない。
『ほぉ〜????世界のHEROさんは寝ぼけてそんな恥ずかしいセリフ言っちゃうんですねぇ?』
うううううううぅぁぁぁぁぁっっっ
俺は心の中で盛大に発狂した。
『も、もう許してって…!!!!!!』
もう本当に訳がわからないまま、俺は、昔みたいに腕をめいいっぱいクロスさせて抵抗した。
ふはっっっ!!
その言葉を皮切りに、
『ふふっ…ふ、あっはっはっは!!!!っ』
イギリスが盛大に笑う。
一年に一回、見られるかわからないくらいの、大笑いだ。
『フフッ…、んぐっ…w、…すみません、からかいすぎましたね』
ぽんっ…
まだよくわからず呆けたままの俺の頭を優しく撫でる。
『…いじわる、』
ポロッと、情けない、本音が出る。
こんなカッコ悪い俺、見せたく無いんだけどな。
『あら???引っかかる方が悪いんですよ?そう教えたはずですよね?笑』
『へ、どうだか。』
なんて軽口を叩きながら、日常に戻ってく。
だが俺はたまに痛感させられる。
俺は多分、一生この人に、【勝てない】んだって。
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読まないかもしれないですけど毎度恒例の後書き的な何かです!
お久しぶりです…!!!!!(((殴
ほんと…リクエストが溜まってく一方で…有難いんですけど…ほんと、申し訳ない…。
自分、1作品ごとに毎回めっちゃ考えちゃって…連載とかも苦手で読み切りばっかで投稿までの期間が長くなっちゃうんですよね…。
しかも1話ごとの文字数も少ないっていう…笑
だから連載とかほぼ毎日投稿してる神小説家様ってすげぇ…と思いつつ、自分は絶対出来ないので崇めてるだけなんですよね、(((努力しろ
ほんと、毎回最後まで下さったり読んで感想もくださる方々には感謝しかないです…。
今回はリクエストのアメイギでした…!!!!
普段シリアス物ばっかり書いてて、何回も書き直しました…。
自分なりに、この2人だからこそなラブラブを考えてみました、!
気に入っていただけると幸いです!!
コメント
5件
美味しいBLをありがとうございます…無事私の口角は宇宙の果てに旗置いて来ましたよ
アメイギを世界遺産に登録したい、、、尊い✨
最初はイギリスがアメリカに勝てないのかと思いきや逆転ありがとうございます。栄養源だ