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『痛みを負った心には愛の癒しを』〜愛情は特効薬〜


第1錠 身体の傷は何を語る


『少し落ち着きましたか?』

『は、はい。』

(優しい味がする…。)

『ふふ、気分を落ち着かせるカモミールティーです。先程はすみませんでした。』

『い、いえ、あの、ベリアンさ――』

『主様。私に敬称をつける必要はございません。どうぞ、ベリアンとお呼びください。』

『べ、ベリアン…』

『はい、なんでしょう。』

『主様って私の事?どうして私はここに?』

『……私はずっと貴方を待っていました。』

(私を?)

『この世界には…天使という存在がいます。

天使は空から突如現れては人間を襲うのです。そして、天使に触れられれば消えてしまうのです。』

『消える…?』

『はい。そこで我々執事は天使狩りをして天使を狩ります。ですが、我々だけでは天使狩り行うことは出来ないのです。力不足といいますか…』

『天使狩り…』

『はい。我々には貴方の力が必要なんです。貴方の……我々の悪魔の力を解放する力が。』

(天使狩り…悪魔執事…。混乱してて何が何だか分からないけど…。あの地獄のような日々に戻るよりこっちの方がいい。)

『協力して頂けませんか?もちろん、主様にも生活があります。なのでこちらの世界と主様の世界を行き来するという二重生活を――』

『いいよ。私、ベリアンに協力する。むしろ…元の世界には帰りたくないから。』

『え……。』

『だって、私――。っ!!』

激しい痛みが身体を襲う。

『痛い…っ。』

(心が…はち切れそう。痛い。苦しい。)

『主様?大丈夫ですか?主様!!っ、ルカスさん!主様が――!』

(ルカス…?新しい人……?)

『主様、主様――!』


数分後。


『男性恐怖症…ですか。』

『あぁ。全身の身体の痣を見るに殴られたり蹴られたりしたんだろう。青アザや赤アザも出来ていたし。急に痛み出したのはきっと精神状態が不安定だからだ。』

『さっき避けたのは…叩かれると思って……』

『こんな華奢で美しい女性を殴るなんて…酷い人がいたものだよ。それに、あの手首の…』

(おそらくリストカットだろう。何度も死のうとして…。)

『とにかく、今は混乱している。そっとしてあげよう。でも、天使狩りのことわ我々のことは話したんだっけ?』

『えぇ。そしたら了承してくれました。本来なら悩んで戸惑ったりするのが普通なんですけど……。それに、元の世界には帰りたくないから。と。』

『…無理もないよ。自分をあんなにした人のところなんて帰りたくないよ。』

『ルカスさん…。』

『ベリアン、今は主様を休ませるのが先だ。君ももうおやすみ。』

『はい…。』

バタンっ。


『……。』

私は目をうっすらと開ける。

(赤と黒の長い髪の…女性?)

『もう大丈夫ですよ。辛かったですね…私がそばにいますから。』

(暖かい…優しい手…。)

私は暖かい温もりに包まれ再び目を閉じた。


第2錠 心を癒すのは甘い言葉か

『痛みを負った心には愛の癒しを』 〜愛情は特効薬〜

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