『痛みを負った心には愛の癒しを』〜愛情は特効薬〜
第2錠 心を癒すのは甘い言葉か
『ん…。ここは…。』
『3階執事部屋のベットの上です。』
『!!ベリアン……?』
『ふふ、初めまして、主様。私はルカス・トンプシーです。屋敷の医療担当をしてます。』
(低い声…長い髪…女性…だよね?)
『あの、貴方は…。女性……?いや、ん?』
『ふふ、初めての方には間違えられるんですよ。髪も長いのでそう見えますよね。私は男ですよ。』
『っ、男性…っ。』
(…私が男性だと認識した途端、震え出したな。やはり昨日の見解で間違ってなかったみたいだ。)
『主様。その身体の傷は…誰かにやられたものですよね?』
『っ…どうして、分かるんですか?』
『分かりますよ。自分であんな傷付けられません。それに……貴方のその左手首が何よりの証拠です。』
『!』
(包帯…。治療してくれたんだ。)
『私で良ければ話して頂けますか?嫌ならベリアンも一緒に…』
『…分かりました。ベリアンも呼んでくれませんか?』
『えぇ。分かりました。』
私は切羽詰まったように少しずつ口を開き話し始めた。時々涙を流しつまることもあったけど、2人はまっすぐ話を聞いてくれた。
『世の中には酷いことをする人もいるんですね。話してくれてありがとうございました、主様。』
『はい…。ずっと…誰にも…信じて貰えなくて。助けて貰えなくて。だから…この手首を切って死んでやろうって。でも…死ぬ勇気もなくて…私は…っ。』
ポロポロと涙を流す。
『もういいんです。主様。』
ベリアンは私を抱き締めた。
『大丈夫です。ここには貴方を傷付けるものも何もありません。辛かったですね…もう大丈夫ですから。我々が貴方を癒します。我々執事は貴方の嫌なことは絶対にしないと誓います。』
『……。』
(この人達なら信頼できる。私を見る目が優しいから。怖い人の目はどこか欠けていて…怖かった。恐ろしかった。でも、この人達の目は…優しさで溢れてる。)
『私…みんなに協力する。』
『え?それは、つまり…』
『天使…狩りだったよね?私が役に立つなら…私、頑張る。』
『主様…。ありがとうございます。我々は貴方の力を借りる代わりに貴方に生涯の忠誠を誓います。何があっても、私達が貴方を守ります。この命に替えても、貴方だけは奪わせない。』
『ベリアン…。』
『もちろん私もいますよ、主様。遠慮なくルカスと呼んでください。』
『うん、ありがとう…。』
(この人達の言葉なら信頼できる。)
もう、元の世界には帰りたくない――。
『ちなみに執事は我々含めて18人います。後、1匹の猫ちゃん執事もね。』
『猫!?私猫ちゃん大好きなんだ。楽しみだな。 』
(喋る猫だって知ったら驚くよね。)
(えぇ、きっと。でも、主様の笑顔が見れて嬉しいです。)
次回
第3錠 美味しい料理が目の前に
コメント
2件
意外と早く見れた!まじすごい上手