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夜程苦痛な時間はないなと私は思う。
今日も、吉田さんが寝ているのをいいことに、夜中のベランダでぼーっと空を見上げる。
少し肌寒くて、でもそれが気持ちよくて。
晩酌用にって買ってもらっていた缶チューハイを、勝手に冷蔵庫から取り出してプルタブを引いた。
お酒が強い父の血が流れているからか、お酒は割りと強い方。なんだろう。ほんと血縁関係って気持ち悪いよね。
夜風に当たりながら嗜むお酒も悪くない。
「いたぁ~。もぉひな、探したじゃん、。」
「なんでよ、私なんか放っといていいよ、」
「…お酒なんて珍しいじゃん。」
「…飲みたくなって、。」
「酒癖悪い?」
「そこは父親に似なかった。」
「へぇ~。じゃあどうなるの?」
「…変わんない。ちょっと楽しくなるだけ。」
「でもひとりで飲んでたら変わんないよ?」
「好きなお酒は?」
「…まだ決めない。よく知らないから。」
ぐるぐるぐるぐる、変な方向へ思考がまわってしまうから、今日は、今日くらいは、お酒に力を借りて寝てもいいよね、。
「考え事?」
「…まぁ、」
「俺が聞いてもいいやつ?」
「…そうね、」
「じゃー聞かせてもらってもいい?」
いつの間にか、寝起き特有の掠れた声じゃなくなっていて、いつもの吉田さんになっていた。
「血の繋がりが無性に気持ち悪くて、。」
「血縁関係があるってだけでさ?」
「…あなたたちは家族ですってなるんだよ?」
「ありえないわ。気持ち悪い。」
「そーゆー家で育ってきたからさー?」
「…やっぱり、暴力的だし口悪いじゃん、?」
「…まじでないなって思うんだけど、…」
「どうしてか直せなくてさぁ?」
「…駄目だよね、。」
無理やり口角をあげる。
「口悪くてもいいんじゃない?」
「俺だってそんな綺麗な言葉遣いじゃないし」
「それに 血の繋がりなんてどうでもいいじゃん」
「だからそんなに気にしなくていいよ」
仁人くん。
彼の言葉に私は救われてきた。
彼がいたから、彼が声をかけてくれたから
私は彼の家で彼と生きれてるんだ。
「仁人くんも口悪いもんね」
「ん、ね。 」
「…え、てか名前!いつの間に?!」
「…さっき」
そう言って笑っておいた。
私は家族を殺そうとしていた。
あの人たちを刺し殺して、自分も死のうって。
それか毒を盛って無理心中。
それくらい、あの家の居心地が悪かった。
「…喧嘩がはじまる度、殺したくなってた、」
「これは虐待じゃないし、DVでもないって、」
「私の心が弱いだけだって、」
「私が悪いんだって、」
「耐えて、耐えて、耐えれてたのに、…」
「…無理になっちゃった、。」
「家族から距離置いちゃった、。」
いつの間にか缶の中は空っぽで、空に浮かぶ月も、いつの間にか空の上の方になっていた。