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【創作bl】君と。

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【創作bl】君と。

5 - ひきこもりデート

♥

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2023年06月24日

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「久しぶりにさ、デートしない?雨だから家で。」


6月。梅雨入りで雨の回数が多くなる、とってもとーっても…面倒な季節。

髪がボサボサになるのを防ぐために、家でデートすることを提案したのだ。

…そしてクロは案の定、一瞬きょとんとした。デートという言葉に疎い。


「……デート?」

「うん。髪のセットとか、外は大変だから家で。」


僕の髪がクロの手にすくわれる。髪が指先からこぼれ落ちてそれをまたすくう、その仕草がなんだか愛おしかった。


「別に外でもいいんじゃないか?メイの髪、綺麗だから誰も気づかないだろ」


自分の頬が緩むのを感じて、そのままにぱ、と笑ってみせる。それに応えるように、クロも笑ってくれた。


「でも大変なんだよ。だから、今日は家ー」

「はいはい」

「…何しよう」

「ベッドで昼寝」

「まだ早いよ」


デートなら、ちょっと気合い入れなくちゃ。髪、少しだけ巻いてこよう。


「ちょっとまってて」

「え」

「何?だめ?」

「…いや、だめじゃない」


何あの僕が離れることに不満持ってそうな顔。かわいいんですけど。やっぱり、僕が選んだクロは間違いなかったのだと自慢げになってしまう。


「…よし、できた」


…中も外も気合い入れました感やばい。軽く巻いたふわふわな印象の髪に、緩いスウェットは部屋着の中で1番気に入ってるやつ。萌え袖がかわいいのだ。下は…ちょっと無防備。膝くらいまでのジャージ。キスマがギリ見えるか見えないかのところを攻めた。


「おまたせー。」

「…かわいい」


この言葉を言ったあと顔が赤くなってそっぽを向いたので、多分反射的にその言葉が出たのだろう。この現象はあんまり見られないからうれしい。


「へへ、ありがと…って、急にどうしたの?」


本当に急にどうしたの、だ。いきなりハグをしてきたのだから。


「…吸ってる」

「猫吸いみたいなことしないでよ」


なんか猫みたい。たまにいつもの5倍くらい甘えてくる。いつもそっけないくせして、ちょっといじるとかわいい表情を浮かべるのが、気まぐれでかわいい猫に似ている。


お腹が鳴って、自分の空腹に気づかされる。そうだ、朝ごはん。

これもデートの一環なので、今日は気合いを入れてフレンチトーストでも作ろうかな。不器用そうに見えても、一応普通の家事はできるのだ。


「朝ごはん作ろ。フレンチトーストでいい?」

「…ブルーベリージャム乗せて」

「ん、だいじょぶわかってる。間違えて買っちゃったからめっちゃ余ってるよ。いつもよりいっぱい乗せたげる。でもその代わり、作るの手伝ってね」

「うん」


適当に音楽のプレイリストをかけながら、液につけた食パンを焼く。こういうのはすぐに焦がしてしまうから、僕の場合確認を頻繁にしなくちゃいけない。


「おいしそう」

「でしょ?これ結構うまくできてる」

「前のと大違い」

「あれはレシピ読み間違えたの」


前のというのは、1ヶ月くらい前に作ったちっちゃいクッキーだった。なぜか20分を30分と読み間違え、なんか焦げた風味のする茶色い物体が出来上がったのだ。ホイップクリームの味で誤魔化して、クロと食べたけど。


「ジャムつままないでくださーい」

「お腹すいた」

「あと3分まって」



「おいしそう…」

「…ん、んまい」

「あーフライング!」


一足先にフレンチトーストを頬張っているクロに負けじと、僕もフレンチトーストを食べる。あ、おいしい。見た目だけじゃなくて味もよかった。やったね。


「ジャムかけすぎじゃない?甘いのすぐ飽きるくせに」

「いいの……」


はむ、と効果音がつくくらい可愛い食べ方をしたクロの口端からジャムが垂れる。「ん」と指でジャムを絡めとって舐めるクロの姿は、仕草的になんだかちょっと…


(えろ…いけないもの見てるみたい)


「顔赤い」

「え、あ顔に出てた?ちょっとね」

「何が?ジャム舐めんのが?」

「うん」

「…惚れたか?」


にやりと笑うクロの破壊力に、頭を抱えるくらい脳内で悶絶した。 最近煽ってくることが多くなった。かわいいな。何から何まで。


「惚れてるよ。とっくに、昔からね」

「ふうん…?」



「ご馳走様でした」

「同じく」


洗い物は後回し。デート、だもんね。

ココアを一気に飲んだら思いのほか冷たく、体の冷える感覚がして思わず身震いをしてしまう。


「上着持って来るか?」

「んー、いらない。ありがと。」


ふいに、手が暖かくなる。その一瞬後、クロが僕と手を繋いでいることを理解した。あったかい。


「ひんやりしてる…すべすべ…綺麗…」

「褒めすぎ…さっきまでマグカップ握ってたから冷たいのはわかるけど…」


嘘。もっと褒めて。もっと触って。撫でて。手はハンドクリーム頑張って塗ってますからね。爪は短く切ってあるからどこも傷つかないし。


「本当は嬉しいんだろ」

「…わかる?」

「大体は」

「……嬉しい。いっぱい手触ってくれるの」

「…こっち」


クロにされるがまま導かれ、体が倒れる。ぼふ。ふわふわの布団に包まれる感覚。え、もう?


「寝るの?」

「いちゃつくの」

「さすがに午前中からは…やらないよね?」

「お互い煽らなければな」


髪崩れちゃうけどいいや。恋人とハグする方が大事だもんね。

いつもの温かい体温と、いい匂い。同じ柔軟剤だけど、違う匂いに思える。


「なんかきゅんきゅんする」

「きゅんきゅん……?」

「少女漫画とかでさ、ときめいた時とかの…擬音?効果音?」

「なるほど…」

「ほんと疎いんだねこういうの。かわいいけど。」

「ときめく、か。」

「そうだよ。今なんかすごい…幸せ。死ぬ時はこの腕の中で死にたい」

「例えが恐ろしい…」

「ほんとに思ってるから」

「叶えられるなら、叶える。」

「よろしく」


クロに抱きつく力を少しだけ強くする。やっぱりこの人細い。なんでこんなに細くて身長172もあるんだよ。


「…すき」

「俺も好き」

「んね、キスして」

「え?」

「キス。はやく」


僕の唇に、クロの唇が触れた。お互い時々声を漏らしながら、何回かそれを繰り返す。やっと離れた時には、多分クロだけじゃなくて僕も顔を赤くしていたはずだ。


「…あ”〜幸せ!もう君最強すぎるよほんとに生きてるだけで罪。指名手配。」

「俺なんかしたか?」

「ニヤニヤしてるくせに〜…好きな人はかわいく見えるの。」


キスをした後のクロの表情は、いつもなんだか色っぽい。伏せた目を縁取るまつ毛とか、赤く色づいたほっぺと耳とか。いつもと違って下ろしている髪の襟足も、大人っぽくて素敵だ。


「今何時?」

「んー、11時12分」

「いい頃合い。今なら寝ていいんじゃない?」

「寝るか?」

「いいよ、寝よう。」


あ、昼ごはんどうしよう。…ちょっと失礼。画面の前のみなさん、こんな寝かけの格好で申し訳ないけどお昼ごはん考えて。


「ふぁ……」

「あくびしてる。珍しい。…おやすみ、また後で」

「ん。おやすみ、メイ」


おでこにキスをされた。きゅう、と胸が締めつけられる。痛いんじゃなくて、暖かい、気持ちいい感覚。ずっとこれに溺れてたいなあ、なんて思う。


(だいすき……おやすみなさい)



あとがき

まだ続きますこのラブラブデート

そんな自カプに𝑩𝑰𝑮𝑳𝑶𝑽𝑬

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