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貴方の中で。
⚠︎︎男主
⚠︎︎不穏
⚠︎︎史実
⚠︎︎特攻隊パロ?
全部菊さん視点です
『』⋯菊さん
「」⋯男主(健太)やその他の登場人物
「祖国!」
『静江さん』
この人は静江さん。私の国民です。
「息子の健太です」
『わあ⋯おめでとうございます!』
つい先日、第1子をご出産なさったそう。
「健太、この人が祖国様よ〜」
『静江さんもすっかりお母さんですね。この前まで子供でしたのに。』
「ふふっ」
「あ、祖国!」
『おや、健太さん』
時の流れというのは早いもので、健太さんは今年でもう六つになる。
『学校はどうですか?』
「すごく楽しいです。そうだ、今日将来の夢を発表したんですよ!」
『へえ、なんと発表したんですか?』
「「立派な帝国軍人になる」、と!」
屈託のない笑顔でそう告げる彼を見て、心がズキズキと痛くなった。
珍しいことでは無い。
最近のうちの子は、皆そう言う。
愛国心故だと分かっていても、次々と散って行く国民たちを見てどうも思わないはずがない。
『⋯そうですか』
「はい!きっと将来、祖国のお役に立ってみせます。」
『それは、頼もしいことです。』
月日はすぎ、健太さんは今年で19歳となった。
おめでとうと伝える私に、言いたいことがあると言ってきた彼。
「祖国。俺、特攻隊員となることになりました。」
『⋯え』
その目には悲しみも恐怖も宿っていなかった。
「こんなに光栄なことはありません。必ず、あの憎き米英を打ち倒してみせます。」
あるのは、歓喜だけ。
私の自業自得だ。結局。
子供たちにこんな思想を植え付けたのは私自身だし、過去は変えられない。
『⋯ええ、期待していますね。』
本当に、これが正しいのだろうか。
特攻命令が出たらしい。
4日後の10時。
心から嬉しそうに告げる彼を見て、自己嫌悪に似た何かが湧いてきた。
猛烈な吐き気が襲ってきて、立っていることさえままならなかった。
4日後の10時、貴方はもう、この世にいない。
おめでとうなんて、言えなかった。
『健太さん、逃げて下さい』
「⋯え、?」
『今ならまだ、間に合います。何処か遠くへ、』
「⋯いいえ、それは出来ません」
『なぜですか、 』
「貴方を守る為です」
『⋯戦況は良いとは言えない、私が言ってはいけませんが、いつ敗けてもおかしくない 』
「それでも貴方を守るのが俺のお役目です」
ただ真っ直ぐだった。
嗚呼、やっぱり死んで欲しくない。
ずっと生きていて欲しい。
「祖国、貴方の言う通り、この国は敗けるかもしれない。それでも、敗けるとしても、俺は貴方の役に立ちたい。俺は心から貴方を敬愛しています。」
『⋯っ』
人前で涙を流すのは何年ぶりだろう。
「どうか泣かないで下さい。俺は死にません。貴方の中で永遠に生き続けますから。他の同胞もそうだ。それに、貴方を責める者なんて1人もいない。」
『ええ、っそうですね、ありがとう⋯』
私よりも、彼の方がよっぽど大人だ。
情けないな、本当に。
それから80年程。
戦後の復興を遂げ、日本は世界有数の経済大国となった。と思う。
「祖国、新しい部下の紹介を致しますのでこちらへ」
『分かりました。少々お待ち下さい。』
彼のことも、他の子供たちのことも忘れたことはない。健太さんの言う通り、彼らは、彼らとの思い出は私の中で生き続けている。
「桜田君、挨拶を」
「はい。今日から部下となります、桜田健太です。未熟者ですが、今日からよろしくお願い致します。」
体に電流が走った感じがした。
まったく、貴方には驚かされる。
男主の名前考えるのが1番大変でした。
分かりにくいかもですが、最後の桜田健太君は戦中の話に出てきた健太君の生まれ変わりです。
特攻隊について、間違った記述等ございましたらご指摘頂けると非常に助かります。
リクエストお待ちしております!