今日も夜更けまで話しまた明日、と別れて帰路につく。寝る準備を済ませてベッドの上でウトウトしていると電話が鳴った。
「はぁ〜いぐち逸ぅ?」
「ごめんなさい寝てましたか?」
「んーん、まだ寝てないよ〜どしたぁ?」
「どうした…どうもしてないです。」
「ん?なんか用ある訳じゃないの?」
「えー、その…ごめんなさいっ!」
大声で謝ってきたと思ったらすぐに切られてしまった。すぐにかけ直すとまたごめんなさいとしょげた声が聞こえてきた。
「電話嬉しいよ、ありがと。もっと話したかった?」
「いえなんと言うか、その…そうかもしれないです。」
「俺も別れる時はいっつも寂しい。もっとぐち逸と一緒にいたいのにーって。」
「ぺいんさんもですか?」
「当たり前じゃん許させるなら一日中、片時も離れたくないもん。」
「それはちょっと言いすぎではw」
「えー?本心だって。ね、今から家泊まり行って良い?」
「えっ!…私は大丈夫ですけどぺいんさんが大変ですよ。」
「大丈夫だって、これから向かうからベッドだけ用意しといてほしい。」
夜道を飛ばしてぐち逸の家に着くと空き部屋にシングルベッドだけが2つ、間隔を空けて置いてある。
「あれこういう感じなの?隣で寝るの嫌だ?」
「いえそこまでは確認してなかったので。」
「相変わらずだな。俺も一緒に寝たいからくっつけよ。」
ベッドを両側から動かして部屋のド真ん中に寄せ、寒いからとすぐに布団を被った。
「やっぱちょっと寝にくいなw今度はダブルベッドにしよう。」
「なんで急に来たんですか?」
「声聞いたら会いたくなっちゃってさ。急にごめん。」
「いえ嬉しいです。」
「てか今日寒くない?もっとくっつこ。」
寒さを口実にぐち逸を抱き締めて優しく頭や頬を撫でると、胸元にすり寄ってきてすぐに小さな寝息を立てた。
翌日ほぼ同時に起きた2人は朝昼兼用の食事を済ませソファに座り話している。暫くすると手を出したり引っ込めたりと落ち着かなくなったぐち逸の手を絡めて握った。
「ちょっと真面目な話して良い?」
「真面目な話ですか、なんでしょう。」
「あのさ、ぐち逸は俺と同棲したいなとか考えた事ある?」
「どうせい!?!?ってあの、あれですか?一緒に住むあれ?」
「そうそれ、俺は可能なら今日からでもしたい。」
「そもそもその選択肢が無かったです。バレたら不味いですよ。」
「うーん…街の外れのほうに家買って、変装するとか一緒には出入りしないようにするとかしたらどうかな。」
「もちろん最大限気をつけますけど、もし何かあったらぺいんさんが困る事になりますよ。」
「まぁその時はその時でどうにかするよ。そういうの抜きにした純粋なぐち逸の気持ちはどう?俺と2人で住みたいって思う?」
「それは……そうですね、許されるならもっとぺいんさんと一緒に過ごしたいです。」
「じゃあ真剣に考えよ。ぐち逸のほうがそういう所行く機会多そうだから、仕事しながら目立たなくて良さそうな空き物件ちょろっと探してみて。」
本当に良いのか、警察官としての立場は大丈夫なのかと心配している口とは裏腹に力強く握られた手から嬉しさが伝わってきた。
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