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**第二期 第6話: 霧影の魔導士との対峙**
洞窟の広間は、薄暗い光が灯るだけの不気味な空間だった。広間の中央には、黒いローブをまとった男――幹部グリマルドが立っていた。その周りには数人の手下が、トーマスたちを取り囲むようにして配置されている。
「ここまで来たか。だが、ここがお前たちの墓場になるだろう」とグリマルドは冷ややかに言い放った。
トーマスは剣を構え、ケインも同じく戦闘態勢に入る。「覚悟しろ、グリマルド!」トーマスが叫び、突撃した。
一瞬のうちに、数人の敵がトーマスたちに襲いかかってきた。だが、トーマスが剣を振るうと、敵はまるで幻のように消えてしまった。
「何だ…?」ケインが困惑する。
「くそ、幻だったのか…?」トーマスも動揺を隠せない。広間に立つのは、グリマルドただ一人となった。しかし、警戒を緩める暇はなかった。トーマスがさらに剣を構えてグリマルドに向かって突進すると、グリマルドも剣に触れた瞬間に消えてしまった。
「逃げたか?」トーマスが周囲を見渡す。
しかし、その時、洞窟の出口が突然消え、広間は完全に封鎖された。グリマルドが再び上空から現れ、トーマスたちを見下ろす。「簡単に終わると思ったか?この洞窟こそが、私の真の力が発揮される場所だ。」
グリマルドは手を掲げると、洞窟の中に漂っていた霧が一気に集まり、濃密な水の塊へと変化した。その巨大な水塊がトーマスとケインに向かって放たれる。
「避けろ!」ケインが叫んだが、二人とも咄嗟に剣を振り上げ、水塊を弾こうとした。しかし、彼らの剣に宿っている魔力反射の効果は、魔力が放たれた瞬間のみに有効だった。この水塊には既に魔力が消え去っており、反射することができなかった。
「くっ…受けるしかないか!」トーマスが苦しそうに言いながら、水塊を剣で受け止める。しかし、勢いに押され、二人は地面に倒れ込みそうになる。
「やはり、お前たちは私には及ばない!」グリマルドは不敵に笑い、再び霧を集めて攻撃を仕掛けてきた。
「このままでは…」トーマスは焦りを感じながらも、剣を構え直し、再び立ち上がる。「だが、諦めるわけにはいかない!」
「そうだ、俺たちはここで終わるわけにはいかない!」ケインも同意し、再び剣を握りしめた。
グリマルドが再び攻撃を仕掛ける瞬間、トーマスの脳裏に閃きが走った。「魔力玉を使うんだ!それで奴を感電させれば、この戦いに勝てるかもしれない!」
「でも、霧の中でそんなことができるのか…?」ケインが疑念を抱きながらも、トーマスの提案を受け入れた。
二人は協力して魔力玉を作り出し、それを一気にグリマルドに向かって放った。魔力玉は電気属性を帯びており、グリマルドの周囲に飛び散る霧を通じて感電させる狙いだった。
「これが最後の一手だ!」トーマスが叫び、魔力玉をグリマルドに向けて放った。魔力玉は霧を貫き、グリマルドに直撃。彼の体が痙攣し、力なく崩れ落ちた。
「どうだ、これで終わりだ!」ケインが息を切らしながらも、勝利を確信して言った。
しかし、グリマルドは苦しそうに立ち上がり、最後の力を振り絞って言葉を発した。「転生者…か。だが、私は何も知らない。ただ、次の幹部に会うことができれば、何か手がかりが見つかるかもしれない…」
その言葉を残し、グリマルドの体は完全に崩れ去り、霧となって消えた。洞窟内に響いていた緊張感が徐々に解け、トーマスとケインはその場に倒れ込んだ。
「やったか…」トーマスが深く息を吐きながら言った。
「でも、これで終わりじゃない。まだ、次がある…」ケインが辛うじて立ち上がりながら、前を見据えた。
二人は、まだ見ぬ幹部たちとの戦いに備え、再び立ち上がる決意を固めた。この世界での冒険は、まだ続くのであった。