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仕事をし、帰り、缶ビールを飲んで、コンビニ弁当を食べて寝るという生活が続き、金曜日。
他の日同様に仕事をし、お昼ご飯を食べ、少しばっかり残業をする。
「終業時間過ぎてますぜぇ〜」
風天がパソコンをカタカタさせながら言う。
「そっくりそのまま返すよ」
海もパソコンをカタカタさせながら返す。上司の皆口も後輩の落合も残業。週末は残業する者が多い。
特に企画会議がある週明けの場合はなおさら。木曜日に残業する派と金曜日に残業する派でわかれる。
「あぁ〜。昨日やっとけばよかったなぁ〜」
「水貝先輩って夏休みの宿題、夏休みギリギリまでやらなかった派でしょ」
「あぁ。そうね。前半やっとけばよかったぁ〜って言ってたわ」
「泥好木先輩もそのタイプっすよねぇ〜」
と落合が言うと
「いやぁ〜?」
と言う風天に対して
どうせ、夏休み終わってもやらなかった組だろ
と思う海。落合も
「あ。わかった。夏休み終わってもやらなかったタイプだ。
あーゆー陽キャは夏休み謳歌してそうで羨ましかったなぁ〜」
と言った。すると
「いや?…オレはぁ〜中盤くらいにやってたかな」
とパソコンをカタカタさせながら言った。
「嘘だろ」
思わずパソコンを操作する手が止まり、思わず言葉が漏れ出た海。
「お。海もオレが大バカ、先生に怒られる系陽キャだと思っただろぉ〜」
「めっちゃ思ってた」
「私も思ってました」
「私も思ってたわ」
皆口まで会話に入ってきた。
「ちょっと!皆口さんまで。一応オレあれですよ?北海道では名高い高校に行ってたんですから」
「あ、泥好木先輩って北海道出身か」
「そうよぉ〜。雪国出身」
「あ、もしかして熊穴(ゆうけつ)っすか」
「お。知ってた?」
「私が高校生の頃、友達がバレー部にいたんですけど、試合を応援に行ったら熊穴に負けてました」
「そうなんよぉ〜。頭も良いし、スポーツも強いんよぉ〜。オレの母校」
「マジか。泥好木先輩、熊穴出身なんだ。全然そんな感じしない」
「わかるわ」
海も同意する。
「っすよね」
「私もわかる」
皆口も同意する。
「っすよね!」
「マジで」
全員で笑った。
「んじゃ、お疲れ様でーす」
「お疲れ様ーす」
「お疲れ様でしたー」
「はーい。お疲れ様ー」
皆口や他にも数人まだ残っていたが、海、風天、落合は帰ることにした。
「んじゃ、落合もお疲れ」
「お疲れ様っした!」
「お疲れー」
「うっす」
落合とは会社を出てすぐ別れた。
「んじゃ。風天もお疲れー」
「この後どーすんの?」
「え?この後?まあ、居酒屋行くけど」
「こないだのとこ?」
「あぁ。そうそう。命頂幸(ショク)ね」
「そうそう。命頂幸、命頂幸。オレも行っていい?」
「ん?全然いいけど」
ということで風天と共に居酒屋「命頂幸」に行くことになった。
夕方少し前からファストフード店、ワク・デイジーで、Lサイズのフライドポテトとドリンクで長時間居座り
ワイヤレスヘッドホンでお気に入りの曲を聴きながらスマホで作詞をしていた海綺。
ワク・デイジーの窓の外が夕暮れのオレンジになり
オレンジ色から深い青、紺色、夜空となり、家の明かり、街灯の白い光が差し込んでくる。
夜になったところでLIMEアプリを開いて海とのトーク画面に入る。
メッセージを入力する部分をタップし、入力する文面を考える。縦棒が点滅している。
キーボードをフリックして文章を入力していく。
「お疲れ様です。お仕事終わったでしょうか?お仕事中だったらすいません。
今日はしょく行くでしょうか?行かれるようだったら、ご迷惑でなければご一緒したいのですが」
と頭の中だけで思ってたつもりが、小声だったがつい声に出ていた海綺。
送信ボタンを押す前にこの文でいいか今一度読み直す。
「うん」
頷き、送信ボタンを押す。
電車に揺られている海のスーツのポケットのスマホが振動する。スマホを取り出し画面をつける。
「んでさー、うち(熊穴高等学校)文武両道の極みでさ?頭も良いし、運動も成績いいわけ。
だからサッカー部も今思えば死ぬくらい練習キツかったわぁ〜。今あの指導やったら問題になんのかなぁ〜」
海綺からのメッセージが来ていたのを確認したが、通知に入りきっていなかったので
通知をタップし海綺とのトーク画面に飛んで、文章を読みながら
「あぁ」
と風天に空返事をする。
「おぉ。お手本のような空返事」
と言いながらこっそりと海のスマホの画面を覗き込む風天。
「あぁ。山津野(やまつや)さんか」
と言うとまるでエロ動画を見ているのを隠す中学生のように
スマホを体に寄せて、画面が見えないようにする海。
「文面は見てないよー」
「ま、別に見られても困らないけどな」
「ふぅ〜ん?言ってることとやってることがチグハグだけどな」
「ま、今日も一緒に飲みませんかーって話」
「あ。オレ邪魔か」
「なんで」
「え。それ言わせる?」
「別に大丈夫だよ。週末なんだし飲もうや」
と言いながら海綺に返事を打ち込む。
海「ちょうど仕事終わって向かってるところ。今電車だからあと3、40分くらいかな。
こないだ来た同僚の風天もいるけど、それでもよかったら一緒飲もう」
と入れ終え、この文でいいか、今一度読み直す。
いいんじゃねーかな?
と思い送信ボタンを押す。
ストローで飲み物を吸い上げ、スマホで作詞をしているとスマホ上部にLIMEの通知が届く。
LIMEのアプリを開き、既読をつけないように海の名前を長押しして文章を見る。
「お。泥好木さんも来るのか」
思っているだけのはずが口に出ている海綺。
あと3、40分か。泥好木さんも来るならぁ〜…
「いらっしゃいま、おぉ!海。お疲れー」
「お疲れー」
「お!」
海の後ろの風天を見つける店長。
「お疲れ様です!」
「お疲れ様です」
「カウンターでいい?」
「いいよー」
「海綺ちゃんはー…」
「今日はまだ来てないーね」
「そっか。じゃあ、海綺ちゃんも来るからもう1席使っててもいい?」
「おぉ。いいよー。荷物置いときー」
「風天。バッグもらうよ」
「おぉ。さんくす」
海は自分の隣の席に自分のバッグと風天のバッグを置いた。
「そっか。海綺ちゃん来るのか。ま、じゃ、とりあえず水でも飲む?」
と店長の勝利がカウンターに寄りかかりながら2人に言う。
「まあぁ〜。水」
「紅茶とかもあるけど」
「水でいいか」
「水でいいかな」
「ういぃ〜」
ということで店長はグラスに注いだ水とおしぼりを2人に出した。
「お仕事お疲れ様です」
「ありがとうございます」
「ありがとうございます」
3人で水で乾杯した。
「あぁ〜!無味!」
「それなぁ〜」
「残業?」
「残業。ま、少しだけどね」
「上司とか同僚でもまだ仕事してる人もいるし、早く上がったほう」
「へぇ〜。オレは残業とは無縁だからなぁ〜」
「残業ないんですね」
「ない〜…とも言えないか」
「営業時間伸ばすときもあるでしょ」
「あるわ。ま、残業ーなんてそんな大層なもんじゃないけどね。だいたい常連さんと飲みながら話すだけとか
酔い潰れたお客さん起きるまでスマホいじったり、閉店準備するとか」
「へぇ〜」
と話しているとガラカラガラと引き戸が開く。
「いらっしゃいまー。お。海綺ちゃん!」
海綺が来た。海も風天も入り口のほうを向く。海が手を挙げる。するとその海を見つけ笑顔になる海綺。
その海綺の笑顔に自然と笑顔になる海。その海綺の後ろに赤髪の派手な女の子が見えた。
しかし、まあ、別のお客さんだろうと思った海と風天だったが、海綺が後ろの派手な女の子に話しかけており
あ、知り合いなんだ
と思った。
「すみません!お待たせしてしまって」
と言いながら近づいてくる海綺。
「あぁ。全然大丈夫大丈夫」
「っーす。お邪魔しまーす」
決して軽いノリではないが、堅苦しい感じにならないように
どことなく礼儀がしっかりして、コミニケーション能力の高さを感じさせる挨拶をしてきた赤髪の女の子。
「あ、どうも」
「うーす」
「あ、すいません。ご紹介します。私の親友の坂木田 愛大(まな)ちゃんです」
「どうも。初めまして。海綺の親友の坂木田 愛大です。よろしくお願いします」
「あ、どうもです。自分はー…なんていったらいいんだろう。
海綺ちゃんのー…知り合い?知り合いの水貝井(ミカイ) 海です。よろしくお願いします」
「自分は海の同僚の泥好木(どろすき) 風天(ふうあ)です。
山津野さんとは一度、ここで飲みました。よろしくお願いします」
「よろしくお願いしまーす」
座る海綺と愛大。
「あ、カウンターで大丈夫だった?なんならテーブルでも」
「あ、全然ここで大丈夫です」
「じゃ、飲み物頼んじゃいますか」
「あ、愛大(まな)これメニューね」
と海綺が愛大にメニューを渡す。
「お。ありがとう」
メニューを眺める愛大。
「坂木田さんって関西出身?」
と風天が聞く。
「あ。そうなんですよ。大阪です」
「あ、大阪。だよね?」
「訛ってますもんね」
「うん。ありがとお⤴︎だもんね」
「ですね。東京ではありが⤴︎とう⤵︎?ん?ありがとお⤴︎?」
「ありがとうだね」
「あぁ。わからへん。ゲシュタルト崩壊ですわ」
と笑いながら言い、飲み物のメニューを決めた愛大。
「勝利ー」
「ういぃ〜。ご注文で」
「ビール2つと」
と海が言ってから
「レモンサワーと」
海綺が言って
「あ、私もビールで。だから、ビール3つとレモンサワー1つお願いします」
「ビール3、レモンサワー1ね。オッケー」
と勝利がビール3つとレモンサワーを
「お待たせぇ〜」
出してくれて
「じゃ、乾杯」
「かんぱーい」
「「かんぱーい」」
と乾杯をした。