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「2人はどこで知り合ったの?」
風天(ふうあ)がビールを飲んだ後に海綺(うき)と愛大(まな)に聞く。
「最初はー?」
海綺が愛大のほうを向く。
「真新宿で路上ライブで会ったんですよ」
「だよね?あれが最初だよね?」
「ま、私はあれ最初じゃないけど」
「はいはいはいはい。覚えてますよ。ま、私がですね?路上ライブをしてたんですよ。
…ま、路上ライブっていうほどカッコいいものではないんですけどね」
海綺が風天と海に向かって説明する。
「そこはええやろ」
愛大が半笑いでツッコむ。
「うんうん」
「それを愛大が聞いててくれてて。終わった後に話しかけてきてくれて」
「へぇ〜。なんて話しかけたんですか?」
「ええ音色でしたわぁ〜。みたいな感じですかね?ま、そこは正直あんま覚えてないんですけど
その後、いや、実は私もギターやってましてぇ〜。って話して」
「あ、坂木田さんもギターなんですね」
「そうなんです」
「愛大のギターすごいんですよ。見た目と性格に似合わずめちゃくちゃ繊細」
「誰が見た目うるさいねん」
とツッコむ愛大。笑う海と風天。
「そうなんですね」
「で、実は私も路上で演奏してるんです。って聞かされて
あ、そうなんですね。どこでですか。って聞いたら、私がいつも演奏してるとこからそんな離れてなくて。
気になって後日探してみたら、すごく繊細で
音の繋がりがあるけど、1音1音粒立って綺麗な演奏が聞こえてきて
見たら関西弁のあの子だ!ってなって、演奏後に話しかけて、段々仲良くなっていったって感じですかね?」
「ですかね?」
海綺と愛大は顔を合わせて笑う。
「仲良いね」
「仲良いんですよ」
「お2人はあれですか?幼馴染とか」
愛大が海に聞く。
「あ、いえいえ。会社の同期で、それで仲良くなって」
「ですです。こいつ東京人で、オレ道民なので」
「あ、北海道。あ、ご出身北海道なんですね」
愛大が食いつく。
「そうなんですよ」
「北海道好きなんですよ。ラーメンが好きで」
「あぁ。味噌ラーメンですね」
「また食べたいなぁ〜」
「自分の実家近くのラーメン屋美味しいですよ」
「そうなんですか?行ってみたー。私ラーメン通り?かなんかで入ったとこが
ま、期待値上げすぎてた私も悪いんですけど「なんかビミョーやな」ってなっちゃって
空港でも味噌ラーメンあったんで食べたら、そこはめっちゃ美味しくて」
「へぇ〜。空港のラーメン屋か。行ったことないな」
「ほんまですか?今度行ってみてくださいよ」
と愛大と風天が盛り上がっていたので
「席変わる?」
と海が提案する。
「あぁ〜…どうします?席変えます?」
と風天が海綺と愛大に聞く。
「どうする?愛大が変えたければ」
「別にええんちゃう?海綺変えたいなら変えればええけども」
互いに意見を尊重して譲り合う2人。
「ま、ここでいいか」
「だね」
と席はそのままということになった。それぞれ食べたいものを頼んで
「はいぃ〜お待たせぇ〜」
と勝利が運んできてくれた。
「んん!これめっちゃ美味しいです!」
愛大が勝利に言う。
「ありがとうございます。これ、こいつがメニューに加えたんですよ」
勝利が海を顎で指す。
「え。そうなんですか」
愛大が海のほうを向く。
「あ、いえ。あ、まあ、メニューに入れるか否か、みたいなのは話しましたね」
「スゲェ。常連さんなんですね」
「そうですね。結構前から来させていただいてて。こいつとも同い年なんで、仲良くなって」
「こいつ」のときに勝利を指指す海。
「あ。そうなんですね。あ、ちなみにおいくつー…なんですか?」
「28です」
「あ、そうなんですね」
「リアクションし辛いでしょ」
と風天が笑う。
「いや、まあ。ということは」
と愛大が風天を見る。
「そうですね。自分も28です」
「そうなんですね。坂木田さんはー…って、女性に年齢は失礼だわな。ごめんなさいごめんなさい」
「?いや全然大丈夫ですけど。私は22歳です。海綺と同いです」
「「「若ぇ〜」」」
海、勝利、風天がハモる。
「そんな変わらんて」
愛大が笑いながらホタテのペペロンチーノを食べ、ビールで流す。
「いやいやいや。考えてみて?6個違うってことは
中高で同じ年代に通えないのはもちろんだけど、小学校でも被らないからね」
と風天が熱弁し、海と勝利は頷く。
「…。あ、そうか。なるほど」
愛大は納得した様子で今一度ビールを飲む。
「6個か…デカいな」
勝利もカウンター越しにビールを飲みながらしみじみ考える。
「お。飲んでる!」
と愛大が大発見をしたかのようなテンションで言う。
「飲みますよぉ〜?自分の店だし」
「ええんや」
「いやぁ〜。大阪来た気分になるわ」
と笑う勝利に
「わかる」
「わかる」
と同意する海と風天。
「お3人さんは大阪に行ったことは?」
「ありますよ」
「ありますね」
「あるねぇ〜」
「それはあれですか?ジェネバ(ジェネバル スタジオ ジャパンの関西圏の略称)でですか?」
「オレはGSJ(ジェネバル スタジオ ジャパンの関東圏の略称)行ったときと」
と海が言うと
「社員旅行ね。オレはその社員旅行のときが初大阪」
と風天が続ける。
「へぇ〜。社員旅行で大阪に」
「たこ焼き美味かったなぁ〜」
「北海道、大阪、…福岡だっけか?」
「そんな行ったんですか?」
海綺が驚く。
「あ、いや。案がね?」
「あ、案か」
「毎年新入社員が入った後、新入社員の子らの投票で決めるんだって」
「で、海さんは大阪に入れたんですか?」
「オレは北海道か福岡だったなぁ〜。ラーメン食べたかったし」
「オレは大阪に入れた。大阪行ったことなかったし」
「福岡もだろ」
「まあね?でも本場のたこ焼き食べたかったし」
「ええなぁ〜。社員旅行」
「ね。羨ましいよね」
と勝利も同意する。
「ですよね」
「オレんとこなんて三が日くらいよ?休み」
「マジっすか!?」
驚く愛大。
「ま、気まぐれで休めるけどね」
「でもそっか。そうですよね。居酒屋さん。ん?さっきも自分のお店って言ってて
気まぐれで休める…ってことは。ん?お兄さん」
愛大が勝利に視線をやる。
「国和田(クニワダ) 勝利です」
「国和田さん。え。国和田さんの、お店?」
「っすね」
どこか自慢げで、どこかドヤ顔の勝利。
「マジっすか!え、すご」
「ありがとうございます」
と話していると我慢の限界に来たのか
「あのぉ〜。タバコ吸っていいっすか?煙なるべくそっち行かないようにするんで」
と風天が海綺と愛大に了承を求める。
「あ、大丈夫ですよ」
「あ、じゃあ私も灰皿もらっていいですか」
と愛大が勝利に告げる。
「ん?あ、はいはい」
と勝利が灰皿を風天と愛大に渡す。
「え、あ、坂木田さんも吸うんだ?」
「はい。みー…水貝井(ミカイ)だ!」
「はい。水貝井です」
「水貝井さんは吸わないんですか」
「うん。オレは吸わないね」
「すいません。いいっすか?」
愛大がタバコの箱を持ち上げる。
「うん。どうぞどうぞ。こっちはもう火つけてるから」
海の背後では風天がタバコを咥え、ライターで火をつけ、煙を上に吐き出していた。
「おぉ。ほんとだ。では失礼して」
愛大もタバコの箱からタバコ1本とライターを出してタバコを口に咥え、火をつける。
タバコの先に火がつき、吸い込むことでオレンジ、黄色に光る。
吸うのをやめると光が弱まる。愛大も海や海綺に気を遣って煙を上に吐き出す。
「カッコいいな」
思わず口をついて出る海。
「わかります」
同意する海綺。
「喫煙女子って、意外と初めて会ったかも」
「おぉ。そお」
風天もタバコ片手に会話に参加してくる。
「喫煙所に坂木田さんみたいなタバコ女子、割といるよ」
「いますよね?なんなら私みたいのしかいない」
と笑いながらタバコを吸う愛大。
「でもたまに黒髪シゴ出来です私!みたいな人も吸ってない?」
「あぁ。いますね。シゴ出来だからタバコ吸ってんじゃないですか?」
「あぁ〜なるほどなぁ〜」
「会社にいないんですか?タバコ女子」
「いや、いるかもしれないけど、うち喫煙所なくてさ」
「え。…キツ」
「そうなのよ。だから昼休憩が天国よ」
「いの一番にタバコ吸いに行くもんな」
「でも気持ちわかります」
「おぉ。わかってくれる人がいた。海タバコ吸わないからわかってくれなくて」
「うちもなんですよぉ〜。この子もタバコ吸わないんで」
なんていうタバコ談義で軽く盛り上がり、大阪、北海道、東京の地元の話でも盛り上がった。
来たのが遅かったというのもあるが、あっという間に12時、0時を回り
「海綺ちゃんは歩きで行けるけど、坂木田さんはわりかし遠いからもうお会計にしようか」
と海が提案した。
「ですね」
海綺も同意。
「了解です」
「だなー」
風天も愛大も同意して
「勝利ー。お会計お願ーい」
と勝利を呼んだ。
「お。お帰りですか。あ、そっか。もう終電」
「うん。まだだけど終電近いからね」
「1週間お疲れ様でした。こちらになります」
と手書きの伝票を海に手渡す。お財布を出そうとする海綺と愛大に
「あ、大丈夫大丈夫。こいつが払うから」
と言って風天の肩に手を置く海。
「は?海も払え」
「しゃーないな」
「ま、ということで今日は自分と海が出しちゃうから大丈夫ですよ」
と風天が2人に言う。
「いいんですか?」
「いいんですか?」
「いいのいいの。6つ上のお兄さんにまかせとき」
風天がアニメやマンガのように胸をポンッっと叩く。
「すいません。ありがとうございます。ご馳走様です」
「ありがとうございます。毎回すいません。ご馳走様です」
海綺と愛大が海と風天にお礼を言う。
「いーえー」
「細かいのある?」
「待ってぇ〜…っと?」
「あ、いいよ。端数はおまけしちゃう」
「うわぁ〜優しいぃ〜」
「その代わり、泥好木(どろすき)さん、LIME交換しましょ」
「え。そんなんでおまけしてくれるんすか。喜んで喜んで」
「え、海綺、いつもすいませんっていつもお2人に奢ってもらってん?」
「いつもは大概海さんだけだけど…まあ、毎回奢っていただいてる」
「なに。山ん中で罠に掛かってる鶴が水貝井(ミカイ)さんだったん?」
「いや、鶴の恩返しか!」
「ツッコミ下手やなぁ〜」
などと話をして、お会計を済ませ、今のグラスが空になったところで
「じゃ、勝利。また来るわ」
と立ち上がり、荷物を持って出入り口へ向かう4人。
すると出入り口まで勝利もついてきてくれて、勝利も一緒に外に出る。
「じゃ、泥好木さん。LIMEしますわ」
「了解っす。社交辞令じゃないことを願ってます」
「違うっすよ」
と笑う勝利と風天。
「ありがとうございました。めちゃくちゃ美味しかったです」
愛大が勝利にお礼を言う。
「ありがとうございます。ぜひまた」
「はい。まあ、遠いんで来れるときには」
「ぜひ海綺ちゃんと一緒に」
「ですね」
「んじゃ。またなぁ〜」
「ありがとうございましたぁ〜!またねぇ〜」
と笑顔で手を振る勝利に、それぞれ笑顔で手を振り返す4人。そして駅までの道を歩き
「んじゃ。オレらはここで」
「おう」
「今日はありがとうございました。楽しかったです」
愛大が海に頭を下げる。
「いえいえ。こちらこそ。大阪の人とあんま話したことなかったから新鮮で楽しかったです」
海も愛大に頭を下げる。
「んじゃ、海綺ちゃんもまたね」
「はい!泥好木さんもありがとうございました」
と海と海綺、風天と愛大で別れた。風天と愛大は改札を通り、電車を待つ。
「お酒強い?」
風天が何気なく聞く。
「私はぁ〜…どうなんですかね。そんな潰れるまでのんだことないんでわからないですね。
泥好木さんはどうなんですか?」
「オレはぁ〜…。自分で聞いといてなんだけど、オレもわかんないわ」
「なんすかそれ」
と笑う愛大と風天。電車が到着して乗り込む。
「真新宿で乗り換えてーだよね?」
「ですね」
「おっけおっけ」
一方で海はいつも通り海綺を家まで送っていた。
「いやぁー。まさかあんな派手な子と友達だなんて思わなくて」
「ビックリしました?」
「そうね。ちょっとビックリした」
「すいません、なにも言わずに連れてってしまって。奢ってもらう気なかったので、金額高くなってしまって」
「ううん。全然。あそこ安いし。友達割あるし」
と笑う海。
「私も何回も端数切ってもらってます」
「いいよね。あーゆーとこだよね。あそこが中毒になるの」
「わかります。人たらしですよね、国和田さん」
「ね。ま、あんな商売するんだから元からある程度人たらしなんだろうけどね」
「たしかに」
「あ、コンビニ寄り忘れた」
「?今からでも行きますか?」
「いや。海綺ちゃんはなんか飲みたくない?大丈夫?」
「はい。私は大丈夫です。あと家帰ったら冷蔵庫になにかしらあるんで」
「それもそうか。じゃ、いいや」
「ありがとうございます。気遣ってもらっちゃって」
「ん?いや、全然気を遣ってるつもりはない。…気を遣ってるつもりはないって発言もどうかと思うけどね」
「たしかに」
と笑う海綺。そんな話をして、海綺の家の前まで歩いた。
「んじゃ。お疲れ」
「あ、ありがとうございました。今日もご馳走様です」
「おっす」
「またご一緒させてください!」
「ぜひ。喜んで」
「じゃ、ありがとうございました。おやすみなさい」
「はい。おやすみなさい」
笑顔で手を振る海綺に海も笑顔で手を振り、背を向け、自分の家へと歩き出す。
「終電消えますよ?」
「消えるって」
と愛大に発言に笑う風天。風天は愛大の家の最寄り駅で降りたのだ。
「大丈夫だよ。2、3駅でしょ。たぶん」
「たぶん」
「たぶんだけどね。それくらいなら歩ける歩ける。…あ」
と立ち止まる風天。
「そっか。家知られたくないよね?」
「?別に気にしませんけど」
「あ、そお?」
と再び歩き出す。改札を通り駅を出る。
「いや、送っていこうと思ったけど家知られたくないかなぁ〜と思ってさ」
「なるほど。ありがとうございます」
「いえいえ。あ、コンビニ寄ってい?」
「もちろん」
ということで駅付近のコンビニ、Shiny Mart(シャイニーマート)に寄ることにした。
「なんか飲み物買う?」
「そおですねぇ〜…」
ペットボトルのところを眺めてから紙パックのあるエリアへ移動し
「お。ロイヤル抹茶ラテだって。美味しそう」
「お客様、こちらでよろしいでしょうか」
「え」
「奢って差し上げます」
「え、いや、悪いですって」
「いいのいいの。貸して?」
と差し出す風天の手に
「じゃあお言葉に甘えて。すいません。ありがとうございます」
とロイヤル抹茶ラテを渡して頭を下げる愛大。
「いえいえー」
風天は自分の飲み物と愛大の飲み物をレジに出し
「あ、あと109番と625番、1箱ずつお願いします」
と店員さんにお願いする。
「109番とー625番ですねー。画面タッチお願いします」
「はいー」
慣れた手つきで画面をタッチする。スマホで決済を済ませ、自分のタバコはポケットに入れ
愛大のタバコは愛大の飲み物の蓋の上に乗せて運ぶ。
「ほい」
風天が愛大に飲み物を渡す。
「え。タバコ」
「おまけ」
「やったー!ありがとうございます!」
「今日一の喜びじゃん」
「いやぁ〜やっぱタバコは嬉しいっすよ」
「家どっち?」
「こっちっす」
「いいね。口調もタバコで一気に解れたね」
「あ、たしかに。やっぱタバコミニケーションっすよ」
「いいね。タバコミニケーション。ずっと紙?電子は吸わないの?」
「いや、吸ったことあるんすけどやっぱ紙っすね。紙には勝てん。
ま、電子は電子の良さあるんすけどね。泥好木(どろすき)さんは電子も吸うんすか?」
「うん。今紙割と嫌われるけど、電子なら。みたいなとこもあるから。
あと電子は途中で捨てても罪悪感あんまないんだよね。
ほら、紙って明確に燃えてくからさ?途中で消すとあからさまに勿体無いじゃん?」
「あぁ〜。そーゆーメリットもあるのか」
「ま、メリットかどうははわからんけどね。こないだの結婚式のときも」
「うわ。結婚式」
「うわってなんよ、うわって」
「いや、嫌な響きやなぁ〜と思って」
「嫌な響き。言わんとしてることはわかるけどね」
「ですよね?」
「まあね?そんときも…あ!あ、そうだわ。匂いがあんま付かないってのもメリットかも」
「たしかに!でも嫌な匂いしません?」
「…嫌な匂い。オレはもう慣れたけど、まあたしかに独特ではあるかな?」
なんて話ながら愛大の家まで歩いて行った。
海は自宅につき、手洗いうがいを済ませ、テレビをつけて、部屋着に着替え
「よいしょっと」
ベッドに腰を下ろし、スマホをつける。
「今日もありがとうございました╰(*´︶`*)╯
また海さんと、もしくは今日の4人で飲めたらなって思います!
またよろしくお願いします,,ᴗ ̫ ᴗ,,」
と海綺からLIMEのメッセージが来ていた。通知をタップし、海綺とのトーク画面に行き
「よ ろ こ ん でーっと」
口に出しながら打って返信をした。
「じゃ、私の家、ここなんで」
「おぉ。着いたんか」
「すいません。送ってもらっちゃって。ありがとうございます」
「いえいえ」
「飲み代も奢ってもらって、飲み物とタバコまで。タバコ。大事に吸います」
「とか言って、すぐ吸うでしょ」
「…吸うっす」
「いいね。んじゃ、気をつけてー…って言おうとしたけど、もう家だもんね」
「お陰様で。ありがとうございます」
「んじゃ。おやすみなさい」
「はい。おやすみなさい」
と風天が笑顔で手を振って、愛大に背を向け歩き出す。
「泥好木さん!」
という声に振り返る。
「また飲みましょ。タバコ吸いながら」
と愛大が風天に買ってもらった新品のタバコで手を振る。
新品のため、フィルムが巻いてあり、そのフィルムに夜の街灯が反射し、光っている。
さらに愛大のしている無数のピアスにも光があたって反射している。
そのどこかイタズラっ子のような無邪気ながらも
どこかあざとさを感じる笑顔に赤髪やピアス、タバコのギャップに少しドキッっとしつつも
「お、おう!飲みニケーション、タバコミニケーションな!」
と大人として、社会人として、先輩として返した。
「うっす!」
「うっす!」
また笑顔で愛大に手を振り、背を向けて、風天は自分の家への割と長い道を
「…終電…。消えたな」
スマホで時間を確認し、終電が消えたことを確認し、覚悟を決めて
「ま。酔い覚まし酔い覚まし」
と自分に言い聞かせて歩いて行った。