テラーノベル
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正直、苦悩ばかりの日々だった。
俺の国──韓国では反日、一方の日本では嫌韓。二つの憎悪に板挟みになって、いち韓国人としてどう生きれば良いのか、分からなくて。
それでも、菊のことは好きだった。「貴方は貴方です」と言ってくれる、あいつの優しさと誠実さに、絆されて救われて。それ故に……チンチャ、申し訳なくて。
何故なら俺は菊に、未だ何も出来ていない。このままじゃ駄目だ。だって……同じじゃないか。恩を仇で返す、巷の糞みたいな同胞と同じじゃないか。
俺はあいつらとは違う。確かに「特亜」の生まれだけれど、反日を盲信するパボなあいつらとは、違う。
俺は菊に、何が出来るだろう。何処までも善良な日本人である、あいつに対して……いっぱしの韓国人として、何が出来るだろう。
否────日本人も韓国人も、関係無い。俺は世界で一番愛する人間に、同じ人間として尽くしたいのだ。ただそれだけなのだ。
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