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「じゃあ、あたしが知ってるカルムの情報教えるよ」
「ああ」
結局、海、雪、歩美の三人は、海の職場に集まった。
「……カルムは、おそらく、幹部だ。ラトレイアーは三つのグループに分かれている。一つは、情報収集・情報改竄グループ。通称A。二つ目は、暗殺・拷問グループ。通称B。三つめは、化学開発グループ。通称C。それぞれのリーダーを幹部というんだ」
「で?その三つともの幹部だっていうのか?」
「いや、違う。私が知っているうち、Bの幹部はフロワだ」
「フロワ?」
「あの金髪の?」
「ああ。Cの幹部は聞いたことないが、Bの幹部がカルムだろうな。ま、Bに比べて、Aは弱いからな。だから、お前らが心配するほどでもねえよ」
雪が馬鹿にしたように二人を見ると、歩美は不満そうな顔で雪を睨み返した。
「でも、フロワの事は気にしてるじゃん」
「そりゃ、気にするだろ。簡単に人を殺すやつだ」
「でもお前さっき、カルムは前に殺しの依頼をしたとき、サングラスが壊れたから、青い仮面に変えたって言ってたじゃないか」
「殺しの依頼を引き受けたのはそのときだけだ。第一あたし、あいつの事嫌いだし」
「え、そうなの?」
「ああ。一つも喋らねえし、組織の間で、話してる時も全然笑わないし。仲間が死んだときも、悲しむどころか、焦ってすらなかったぞ」
「笑わない?お前、そいつの顔見たことあるのか?」
「ああ、稀に仮面外したりしてるぞ。まあほとんど見ないから顔なんて忘れてるけど。覚えてるのは日焼けしてたことかな」
「……皐月」
「え?」
海がおぞましい顔で俯いて言った。
「サッカー部の、加織皐月。めったに笑わないって言われてるんだ。アイツ、昔からサッカー好きで、外でサッカーを練習してたから、部活の中でも、流ほどじゃないが、日焼けしてるんだよ」
「確かに、言われてみれば……」
「あの、マスターの隣にいた人?そう言えばあの人、靴が……」
ガラガラ。
「海。管理官が呼んで……ってブラックスノーも居たのかよ」
「流。管理官が?分かったすぐに行く」
「管理官って誰なの?」
歩美が訝し気に問うと、雪が言った。
「その内教えるさ」
「マスター。あなた、皐月君の隣にいたよね。靴がおかしくなかった?」
「あ?ああ。上靴のままだったぞ。本人は履き替えるのを忘れたとか言ってたけど」
「……そっか。ありがと」
「あ、マスター、今日飲みに行くから。その時に前のツケ返すよ」
「ハイハイ。用意してるから早く来いよ」
「りょかい!」
雪は、右手で親指を立てると、小さく手を振った。
「んで、皐月がどうしたんだ?」
「上靴だったってのが気になってね。誰かに追われて焦ってたとか」
「それは無いな、私らとずっと一緒だったし」
「……だとしたら、誰よりも早く校舎内に戻る必要があったか。靴から上靴に履き替えるとき、玄関口がかなり混むから。だから、それに巻き込まれないように……」
「いやしかし、マジで履き替え忘れただけかもしれないだろ?」
「いやいや、考えてもみてよ。外に出るのに履き替え忘れるなんてある?そもそも運動部なのに、そんなん忘れる奴いないでしょ」
「まあ、確かにそうだよな」
「まあ、マスターのところで一緒に飲みながら考えようぜ」
「そうだね」
「紗季は?」
「あの人、今日は、塾があるみたいだから」
「分かった」
雪はそう言って廊下に出た。
二人はそのままマスターの店に向かっていた。
二人が店の前についた時、雪がドアを開けようとしたが、いつものように開かなかった。
「あれ?開いてないのか?でもさっき管理官が……」
「……」
歩美は足に力を入れて、大きくジャンプした。
上の小さな小窓を開けると、中を除いた。
「……!血痕……」
「え⁉血痕⁉」
歩美がつぶやいた時、雪が焦った顔になって、ドアを突き破ろうと体当たりした。
ガタンッ。
ドアが敗れたとき、雪は口を塞いで、煙たい空気を吸わないようにした。
「おい、マスター‼マスターどこにいる⁉」
「あ、き……ばら……」
「マスター‼」
床に倒れているマスターが、かすれた声を上げた。
「どうした‼海は⁉」
「マスター?」
「変な奴らがここに入ってきて、俺から鍵を奪って出てって……」
「なるほどな。だから鍵が閉まってたんだね」
「海はどこに行ったんだって聞いてるんだよ⁉」
「さ、さあ。入ってきたやつらは、全員米秀学園の制服を着ていたけど……」
「じゃあ、海は米秀学園に居るんだな?他の奴らは⁉」
「……あ。尚だ‼尚がさっきまでここに。でもそいつらが来る前に、すぐ帰ってったぞ。それと、ベル……冴香も」
「……尚が」
「じゃあ、今すぐ尚くんのとこ行こ‼」
「分かった」