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(名前)への気持ちに気づいてからは、今度は俺が(名前)に付き纏うようになった。
否、(名前)が俺に話しかける前に、俺から話しかけて行動するようになっていた。
毎朝(名前)の家まで迎えに行って一緒に登校したし、下校も一緒にした。
(名前)の口が給食で汚れた時は、ティッシュで拭いた。
課題をやり忘れて落ち込んでいたら、俺の課題と交換した。
自分の出来る事全てを(名前)にしてきた。
(名前)も初めは俺の変わり様に困惑していたが、段々慣れてきたのか、俺に尽くされる事が当たり前のようになっていった。
それでいい。
どんどん尽くされることに慣れていって欲しい。
俺がいないとダメな体になって欲しい。
俺に依存して、俺の底まで堕ちて欲しい。
一緒にいる時間が増えるたびに、想いが強くなっていった。
そうやって(名前)を大切に可愛がって、一年が過ぎた頃。
まだ残暑が続く、中二の秋だった。
「なぁ、倫太郎。俺、お前と出会ってなかったら今頃どうなってたんだろう」
「(名前)…どうしてそう思ったの?」
いつも駄弁っている公園のベンチに座っていた時、(名前)がこんな事を言ってきた。
やっと、俺がいないとダメな体になってくれた?
俺と出会わなかったら人生退屈だったって言ってくれるの?
やっと夢が叶ったと思った。
嬉しい。これからもずっと一緒だ。
俺は心の中で舞い上がり、咽び泣き、歓喜した。
「んー、なんとなく。
倫太郎が親友じゃなかったら、どんな奴が俺の親友になってたんだろうって気になっただけ!」
「え、あぁ…そっか」
期待していた答えには掠りもしなくて、俺は間の抜けた返事しかできなかった。
それと同時に、(名前)に対する怒りが湧いてきた。
ふざけんな。
何が親友だ。
俺はお前のこと、親友なんて甘っちょろい関係だと思った事はないのに。
俺はずっと、お前の彼氏だと思って接してきた。
俺がいないと病んでしまうくらい、俺で頭いっぱいにして欲しいのに。
ていうか、なんで別の奴の事なんて想像してんの?
なんで(名前)が俺以外を眼中に入れようとしてんだよ、と。
能天気な笑顔で話し続ける(名前)を、初めてうざったいと思った。
いつか絶対、俺のせいで(名前)の心をグチャグチャにさせたい。
俺が必要だって言わせたい。
俺のこと以外何も考えられないようになるまで依存して欲しい。
俺と同じ想いになって欲しい。
ただそれだけなのに。
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