テラーノベル
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まぁ今回も見にくいですね…
ライブツアーの打ち上げ。騒がしい居酒屋の座敷の隅で、目黒は少し飲みすぎていた。隣では向井や佐久間が騒いでいるが、目黒の視線は無意識に、少し離れた席でスタッフと談笑する深澤を追ってしまう。深澤は、誰にでも優しい。誰の話も笑顔で聞き、絶妙なタイミングで場を盛り上げる。その「誰のものでもない」ような軽やかさが、今の目黒には酷くもどかしかった。「……めめ、顔赤いよ。ちょっと外の空気吸ってきたら?」いつの間にか隣に来ていた深澤が、耳元で囁く。目黒が頷く暇もなく、深澤はその細い指先で目黒の手首を掴み、人目に付かない非常階段へと連れ出した。夜風が吹き抜ける踊り場。扉が閉まると、先ほどまでの喧騒が嘘のように遠のく。「……ふっかさん」「ん? なに?」「……誰にでも、あんな風に笑いかけるんですね。スタッフさんにも、後輩にも」目黒の言葉には、隠しきれない独占欲が混じっていた。深澤は一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに意地悪な笑みを浮かべた。「なんだ、めめ。ヤキモチ? 可愛いこと言うじゃん」「……可愛くないです。俺、今……すごくイライラしてる」目黒が深澤の胸元に顔を埋めるようにして、ぐいっと抱き寄せた。目黒の方が体は大きいが、深澤はびくともせず、それどころか目黒の背中に腕を回して、優しく、けれど逃がさない強さで抱きしめ返した。「イライラさせてるのが俺なら、責任取らなきゃね」深澤の声から、先ほどまでの「頼れる最年長」の響きが消えた。彼は目黒の顎を指先でクイと持ち上げ、逆らえない力で唇を重ねた。ウイスキーの香りが混ざり合う、深くて熱いキス。深澤の舌が目黒の口内を執拗に、支配するように這い回る。目黒は酸素を奪われ、膝の力が抜けそうになるのを、深澤の肩に縋り付くことでどうにか耐えていた。「んっ、ふぁ……っ、ふっか、さん……」「……蓮、お前さ。俺が他のやつと喋ってる時、ずっと俺のこと見てただろ。……誘ってる自覚あんの?」深澤の手が、目黒のシャツの裾から入り込み、熱い手のひらが直接肌を撫で上げた。その指先が、目黒の敏感な場所を掠めるたび、目黒の体はビクンと大きく跳ねる。「あ……だめ、ここ……誰か来……っ」「いいよ。来たら、俺たちの仲がバレるだけ。……それとも何? 蓮は、俺のこと隠しておきたいわけ?」深澤の瞳に宿った、冷ややかで、けれど狂おしいほどの情熱。目黒は、この人の「余裕」という仮面の下にある、剥き出しの独占欲に触れるのが怖くて、同時にたまらなく愛おしかった。「隠したくない……っ、俺だけのものに、なってほしい……」「……よく言えました」深澤は満足げに目を細めると、目黒の耳たぶを甘噛みし、そのまま首筋に深い痕を残すように吸い付いた。夜の静寂の中、目黒の甘い喘ぎ声と、深澤の低い笑い声が混ざり合う。「これから、俺の部屋に来るでしょ? ……朝まで、お前が誰のものか、たっぷり叩き込んであげるから」最年長の余裕をかなぐり捨てた深澤の執着に、目黒はただ、熱い悦びに身を委ねることしかできなかった。
ふっかさんの部屋
チャリ、と玄関の鍵が閉まる音が、静かな室内に重く響いた。外の喧騒から切り離された二人だけの空間。深澤は少し照れたような、それでいて穏やかな表情で目黒を見つめた。「……やっと、二人きりになれたね」深澤の言葉に、目黒は少しはにかみながら頷いた。リビングのソファに腰を下ろし、温かい飲み物を分け合いながら、二人は今日あった出来事や、お互いへの想いをぽつりぽつりと語り合う。非常階段での高揚感は、今はこの静かな時間の中で、深い信頼と安心感に変わっていた。「蓮はさ、たまに危なっかしいくらい真っ直ぐだから。……こうして、俺の部屋にいる時くらいは、肩の力を抜いていいんだよ」深澤の優しい指先が、目黒の髪をそっと撫でる。その手の温もりに、目黒は自然と目を細めた。グループの最年長としていつも周囲を気遣う深澤が、自分にだけ見せるリラックスした空気。それが目黒にとって、何よりも大切な宝物だった。やがて夜が深まり、窓の外には静寂が広がる。二人は並んで眠りにつき、言葉にせずとも伝わる絆を確かめ合うように、穏やかな夢の中へと落ちていった。翌朝、カーテン越しに差し込む柔らかな光で目が覚める。隣でまだ眠っている深澤の寝顔を眺めながら、目黒は心の中で、これからもこの大切な時間を守り続けようと誓った。
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