テラーノベル
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【あらすじ】
前話では、 奴隷商のキャラバンに囚われていたエルフの少女・セリナと出会ったレン。
最弱のスライムでありながらも、自分の意思で彼女を助ける決意をし、過酷な世界に立ち向かい始めた。
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【本編】
王都――ラズヴァニア。
五層構造の城壁に囲まれた巨大都市。その最下層、スラム街に“それ”は現れた。
夜の市場に、一つの黒い影がうごめく。
「……フン、人間ども、相変わらず腐ってやがる」
黒いローブをまとった男が歩く。いや、その実態は――レンだ。
スライムとして始まった彼の肉体は、“捕食”によって人型へと変貌しつつあった。
目元を隠す仮面。黒髪。そして深い青を宿したマント。
彼は今、裏の世界でこう呼ばれている。
――《シャドウ=オブ=ブルー》
「さてと。まずは情報と金……そして“力”が要るな」
かつて自分を見捨てた神と人間。レンは、怒りを燃やしながらも冷静に戦略を組み立てていた。
スラムの奥深く、レンはある組織と接触した。
「……お前が、噂の《影の王》か」
老人のような声。地下市場を仕切る“情報屋バルド”だ。
「お前が動けば、王都のバランスが崩れる。……それでも、やるのか?」
レンは仮面越しに笑った。
「俺は世界を壊すつもりなんてないさ。
――ただ、俺を捨てた奴らに、少しだけ“報い”を与えるだけだよ」
静かに、しかし確かに、その夜――王都の闇に“革命”の種が撒かれた。