omr side
今日は久しぶりの休み。
と言っても昨日と今日の区別も付いていないので、実感はあまり無かった。
籠った空気が漂うカーテンの締め切られた暗い部屋。
僕はソファに力なく項垂れる。
「あ”ーー…」
喉から出る声は、酷く掠れていた。
そりゃそうだ。もう何日飲まず食わずか分からない。
富と名誉は溢れるほどあると言うのに、今の僕には欲求が少しもない。
何も飲みたくない。
何も食べたくない。
何もしたくない。
何に対してもやる気が起きなかった。
歌手という立場でこんな喉になっているということからすらも目を逸らしたかった。
力なくソファに沈みながら自分が何故こんなになっているか考えてみる。
馬鹿みたいに働いた。音楽が嫌になってしまいそうなほどクソ真面目に頑張った。確認しきれないほど詰まったスケジュールを記憶が飛ぶまでやってきた。
こう言うとまるで仕事を休んで何日も家に篭っているかのように感じられるが、実際は現在進行形でお仕事は毎日のようにある。
身体は動くが休まない。
消費はするがなにも吸収しない。
”求められている”
今の僕、僕達の状況。
凄く有難いことだと思う。だから頑張る。 誰かに求められてる限りは頑張っていられる。
それでも、いくら沢山の人に求められていても寂しくはなる。
その寂しさは不安から。
もちろん人気というものは上下するもので、それに比例して自分の精神も不安定に上下する。
いつか皆居なくなってしまうんじゃないか、いつか廃れてしまうんじゃないかと不安になる。
不思議なことにそんな不安を感じると人間は一律して安定した”変わらないもの”を求めるようになる。
皆はその安定した変わらない相手を見つけて自分の心の拠り所にするのだが、 生憎僕にはその相手が居ない。
元々人と関わるのは苦手で、女性となるともっと接し方が分からなかった。まずまず人を信用することが怖いと思ってしまう節があるのだ。
そんな自分が唯一信用して固執するのはメンバーの若井と涼ちゃんだけ。
でも今は2人も個人でどこかにお呼ばれされるようになってきて、”僕のメンバー”だけに留まらなくなってきていることに胸がざわつくようになった。
1人で韓国ロケに行き楽しむ若井や、1人でバラエティに出て色んな人と笑い合う涼ちゃんの姿をふと思い出し胸が痛む。
正直言うと、最近は2人と言っても8割は涼ちゃんだ。若井自身もそうだろう。
若井とはお互い幼馴染だし、涼ちゃんよりもずっと長い時間関わってきているから大体なんでも分かる。
お互いの考え方や彼の性というものがどんなか知って理解している。だから若井に対しては不安も何も無いんだけど…
涼ちゃんに至っては不安要素が多すぎる。僕と若井がいくら直接的に言葉で彼に「愛」を伝えたとしても、彼は真正面から受け取らない。「愛」を手で受け取って、指の隙間からぽたぽたと零れさせているような。
だからこそ、その手のひらから「愛」が流れきって無くなってしまわないように多数の場面で彼に「愛」を伝えるが、彼にはどことなく浸透していない気がする。
彼こそいつかふらっと居なくなって、離れていってしまいそうだ。
過度なほどの寂しがり屋でそれに加えて独占欲気質な自分にとっては、不安を感じるとその相手が気になってしょうがなくなってしまう。
自分でも自分がめんどくさい。
体をずらしてソファの上で横に寝っ転がり、ソファの背もたれ側の手の甲を額において目を塞ぐ。
もう片方の外側の手をソファから落として適当にぶらぶらとさせると、 かさりと何かが触れたので掴みあげててみる。
空っぽのペットボトルが入ったビニール袋。
いつのだよと思いながら手を離すとガサッと音を立てて床に落ちた。
寝た状態で見える範囲だけ見渡してみると、自分の部屋とは思えないほどゴミを中心とした色々な物が散乱していた。
顔を顰めるが、片付ける気にはどうしてもなれずまた目を伏せる。
会いたいな。2人に。
若井には申し訳ないけど、今は涼ちゃんに会いたいな。
若井なら「どうした?!」と慌てる所を、涼ちゃんは黙って抱きしめてくれるだろう。
勢いでどうにかする若井と違って、ゆっくりと暖めてくれるだろう。
そんな想像が容易い2人の違いに場違いながらふふっと笑う。
会いたい。
ただ、抱きしめて欲しい。
ふわりと意識が遠のいて行くのを感じた。
この状況だったらこのまま死んでしまってもおかしくないだろうなと苦笑する。
意識も絶え絶えになる中、ふと微かにスマホの電話のコール音が聞こえた気がしたのは、気のせいだろうか。
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\1話後記/
自分で時間指定しときながら大遅刻本当にごめんなさいまじですみません。色々と書き直したりなんたりしてたらいつの間にか時間すぎてましたほんとごめんなさい。お詫びとして明日2日分の2話あげさせてくださいほんとすみません。大反省してますがちでごめんなさい。
本当はこの1話は元々無かったんですけど、おもりがりょつに惚れる話はあまり端折らない方がいいかなと思って急遽追加しました。
爆速で書いたので後々見直して所々修正する可能性大でございます。
土台として書いておきたいことを書きまくりました。
色々ぐちゃぐちゃで結局おもりが今どんな状況なのか分からなくなりそうなのでまとめさせてください。
・仕事めちゃくちゃ忙しい
・久しぶりの休み
・身体的にも精神的にも極限状態
・今までは本当の意味で”自分だけのメンバー”だったのが変わりつつあることに不安を感じている。
・涼ちゃんのことを若井ほど分かっていないので、涼ちゃんのことを”知らない”というその状況に不安を感じている。
・涼ちゃんが離れないようにやっている「愛」を伝えるという牽制が効いているのか分からなくなり不安を感じている。
ここだけ抑えて貰えれば全然大丈夫です。
あとはおもりの雰囲気とか掴めたらプラスかな…?ってくらいです。
一旦おもり病み病みですね。
ドロドロのはずが、こういうのを書くと清らかに見えてきますね…おもりが暗い方に落ちていく過程の具合とかを考えるとちょっと予定より全体の話が長くなりそうです。
次回からはりょつも出てきますので、お楽しみに。
ハートやコメントお待ちしております。
最後にもう1回謝らせてくださいほんとにまじでがちでごめんなさい
コメント
6件
うむ、、好き
本当に作者様表現が天才すきで大好きです、🥲 なので待っている時間もとっっても楽しいので、何時とかにこだわらずゆっくり作者様のペースでかいてくださいっ!
更新、ありがとうございます🙌✨ 時間とか、お気になさらず!読者はお話読ませて貰えるなら、何時でも嬉しいです💕 そして、このお話もめちゃくちゃ楽しみです🥹♥️💛