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「ありがとうございましたー。」
一言挨拶だけしてから、スタジオを後にする。
あれから夢のことが頭を何度かちらついたが、無事に今日の仕事を終えることが出来た。
全く、今日は災難だった。たかが夢でここまで乱されるなんて…。
どっと疲れを感じながら、車へと足を運んでいく。そうだ、明日は確か、久しぶりに午前中は予定がなかった。涼ちゃん誘ってこれからご飯でも食べに行こうかな。うん、そうしよう。
涼ちゃんに連絡をしようとスマホを取り出したその時、視界の端に見慣れた色の髪が見えた。
「あっ涼ちゃ、」
声をかけようとして、止まった。
涼ちゃんの隣には見慣れない男性がいた。2人は仲睦まじそうに話している。あぁ、あの人最近有名になり始めた俳優だったっけ?涼ちゃんと、仲良いの初めて知った。なんで俺が知らないタレントと話してるわけ?涼ちゃん、ちゃんと有名人って自覚ある?
なぜか、無性に湧き出てきた怒りは飲み込んでスマホをポケットに入れた。胸がじくじくと痛い。ああ、やっぱり、今日は災難だ。
なんだかどうでもよくなって、結局そのまま家に帰った。
ぼーっとしながら乗っていたせいか、すぐに家に着いてしまった。今はあまり1人になりたくない気分だったが仕方がない。後で若井でも、呼び出すか?
運転してもらったスタッフに感謝を述べ、車を降りた。外は少々雨が降っていて、急いで屋根のあるところまで走った。
さぁ、これからどうしようか。日々仕事で忙殺されている分、変に時間が空くと何をしたらいいのかわからなくなってしまう。いつもは涼ちゃんや若井を呼んで遊んだりしているが、今日はそんな気分でもない。さっき気分じゃなくなった。
何故こんなに腹が立っているのか、自分でもよくわからない。あまり考えたくない。なんだかその事は、自分の心の触れたくないところ、柔らかくて痛いところに触ってしまうような気がする。だから今、ヅカヅカと踏み込んでいい場所じゃない。でも、苦しい。
涼ちゃんの声を聞くと、笑顔を見ると救われる。そして閉じ込めてしまいたくなる。ずっと俺だけのものならいいのに。
苦しい、苦しいほどに愛おしい…、あぁ、きっとこれはーーー
ーー思考が、 止まった。
モヤモヤと考えながら通路を通過して、自分の部屋の前に来たから鍵を出そうと、ふと顔を上げた時だった。
間違いない、俺の部屋の前、人が倒れてる。
それも、赤い色が見える。血を流してる。
何も考えず走り出し、急いでその人のもとに駆け寄った。そして、その顔を見て、俺はさらに驚愕した。
「涼ちゃん…?」
何度見ても、間違いなく涼ちゃんそのものだった。涼ちゃんが、血を流して、倒れている。
えっなんで、涼ちゃん、涼ちゃんが死んじゃう?
「あっき、救急車っ!」
急いでポケットからスマホを取り出そうとしたが、その瞬間強い力で腕を掴まれ止められた。
「呼ば、ないで…」
腕を掴んだのは涼ちゃんだった。
「いやっ、なんで?救急車呼ばないと!」
「だ、いじょうぶだから…、お願い…」
それだけ言い残すと涼ちゃんは意識を手放してしまった。
「嘘…どうしよ…」
なんで?、なんで救急車呼んじゃだめなの…、これでもし大丈夫じゃなかったら?涼ちゃんはどうなる?ミセスは?…でも…
最後の涼ちゃんの「お願い」が、何度も何度も頭をかすめ、結局、もう一人の自分に責められながらも、何とか涼ちゃんを家の中へと連れ込んでしまった。
今回もまた謎な所で切ってしまった…
⚠️次回からオリキャラ出て来ます
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