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最初から、君のことを好きだったわけじゃない。
本当に好きだったのは、別の人だった。
同じクラスで、
よく笑う、あの子。
だから僕は、少しでも話すきっかけが欲しくて、
頭が良いって思われたくて、
教えていたあの日、あの時だった
「私にも教えてよ」
君はそう言った。ただ僕は好きだった人に優しい人だと思われたかった
そんな風にして僕らは出会ったんだ。
君は、あまり勉強が得意なタイプじゃなかった。
同じところで何度もつまずくし、
さっき説明したことを、また同じように聞いてくる。
「ここってなんでこうなるの?」
「それさっきも言ったよ」
そう言いながらも、結局もう一度説明していた。
君は、分からないままにしない人だった。
最初は、あくまで“きっかけ”だった。
好きな人と話すための、ただの手段。
それなのに、いつの間にか、
君といる時間の方が長くなっていた。
ある日、スマホに通知が来た。
見慣れない名前。
開いてみると、君からのLINEだった。
『〇〇(君のあだ名)なんだけど』
『インスタ、フォローしてもいい?』
それだけの内容なのに、
少しだけ嬉しかった。
それから、やり取りが増えた。
最初は勉強のことだけだったのに、
少しずつ、関係ない話も混ざるようになっていた。
気づけば、君と話すことが当たり前になっていた。
バレンタインの日。
君から渡されたのは、市販のチョコだった。
少し照れくさそうに笑って、
「これ、あげる」
って言うから、僕も同じように市販のチョコを渡した。
特別なものじゃないのに、
なんだか妙に意味がある気がした。
その日の帰り道、
君のことを思い出さなかったわけじゃない。
でも、その代わりに、
君のことを考えていた時間の方が長かった。
ある日、少しだけカッコつけたくなった。
「ここは俺が出すよ」
好きだった人と、君の二人にそう言って、
ちょっとだけ無理して奢った。
その時は、それでよかったと思っていた。
でも数分後、君からコソッと言われた
「さっきの、返すから。一応〇〇(好きな人)には内緒にしといてやるから」
そう言って、僕が出した分と同じくらいの金額が、
戻ってきた。
しかも、好きだったあの子の分まで、ちゃんと。
正直、驚いた。
でもそれ以上に、
そういうところが、君らしいと思った。
気を遣いすぎてるわけでもなくて、
でもちゃんとしていて。
気づけば、
君と過ごす時間の方が、自然になっていた。
最初に好きだった人のことは、
少しずつ、頭の中から薄れていった。
代わりに、君のことばかり考えるようになっていた。