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現世と隠世の境界線

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現世と隠世の境界線

16 - 第15話 崩壊

♥

16

2024年08月18日

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本の中に入ってしまった里奈は、全てを知った。もちろん、彩の目的も。

「…もうすぐ。月が出てくる頃ね。始めるとしましょうか…」

(どうしよう…このままじゃ確実にやばいことが起こる。でも止める方法がない。そうだ、誰か…霜月さんは今遠くにいるって言ってたし…琴葉。琴葉!)

「まぁまぁ焦らずに。あなたはここで見ているといいわ。…ちょっと揺れるかもしれないけれど」

「揺れる?」

どういうことなんだろう…と里奈は疑問を抱いた。ふふ、と彩は笑う。

彩は真っ赤に染まった水晶を手に取り、何やら呪文を唱え始めた。

「さぁ、私はこの時を待っていた!」

パリン!!

水晶が彩の手の中で割れる。破片が飛び散り、跡形もなくなる。

「ふぅ…」

彩は目を閉じ、何かを祈りながら、窓の外を見つめる。

「“壊れなさい“」

「!!」

里奈はものすごい魔力を感じた。

次の瞬間。

「わっ!?」

グラグラと地面が揺れ始めた。地震だろう。震度7はくだらなそうな揺れが、一帯を襲う。

「物理的に結界を壊せる、といったら地震しかないでしょう?」

「…!」


「わっ!何これ!すっごい揺れてるんだけどっ!?」

「私の占いではこんなことは予想できなかったわ」

「あんたの占いは詐欺でしょっ!」


「わっ!なんだこれ!…まさか…」

本部にいた霜月。どうやらそちらの方にも揺れは届いているらしく、慌ただしい。


そして現世。日本。

「地震です、地震です。強い揺れに警戒してください」

「わっ、なにこれ…スマホの音うるっさ!いやそれよりやばくね?地震…」

こちらも揺れているよう。


「ふふふ…」


『緊急招集、緊急招集!!この揺れは災いの魔女、彩によるものと仮定する!いますぐ止めにいけ!』

「彩は結界を壊そうとしているのかもしれない!いそいで結界を確認してこい!紅真!いけ!」

「承知しました!」

「霜月は彩のもとへ!いますぐ!」

「はい!」


空は紅い何かに包まれ、異様な雰囲気を纏う。おそらく、もうすぐ二つの世界の間がなくなろうとしている…

「ふふふ、混乱しているようね。刺すならここ…」

「ちょっと待ってください!」

「ん?」

「今すぐやめましょう!このままじゃ、二つの世界が壊れちゃ…」

「あら、じゃああなたは向こうの世界の両親や友達に、2度と会えなくなってもいいの?」

「それは…」

「彩!!」

霜月が叫んだ。どうやら到着したようだ。急いできたようで、息も荒い。

「あら。速いじゃない。こんなに早く来るとは思ってなかった」

「今すぐ止めろ!」

「嫌よ。まだ完全に結界は破壊できていないし…」

「結界が崩壊すれば、何が起こるかわからない!」

「私はずっとここから出たかったの。そのために魔力も貯めてきた。そんなの、いまさらやめるわけないでしょう?」

「あんな魔力、一度に使えば命も…」

「心配してくれてるの?」

「…ひとまず、里奈は安全な場所へ…」

「でも…」

「危険だ。いいから」

「はい…」

「あら。私とやろうっての?」

「そうだ。組織の妖怪として、何がなんでも彩を止める。止めてみせる」

「前もそんなことを言われたわね。いいわ、さぁ、やりましょう。本気で」

「…!」

こうして二人の戦いが幕を開けた。

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