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現世と隠世の境界線

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現世と隠世の境界線

17 - 第16話 衝突

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2024年09月01日

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「…といっても…水晶の魔力を使ったとはいえ、彩。戦う魔力残ってるのか…?」

「…たぶん。まぁ。あるとは思うけど…」

「大丈夫なのか?」

「う、うん、まぁ…」

一戦交える前に、二人は魔力の心配をしていた。力を使いすぎて、倒れてしまわないか、または、命に関わることが…

「いや、僕側としては戦う前に魔力切れた方が助かるんだけど…」

「どうでもいいでしょう、はやく、やるわよ」

「はいはい」

空は赤黒く、まだ少し地面が揺れているような感覚。

「霜月。あなたにはこれぐらいで充分よ」

「!」

彩がひょいと霜月を転ばせる。

「はぁ…氷雨」

突如彩に向かって大量の氷の矢が飛んでくる。

彩はそれを避けつつ、魔法を使っていく。

「霜月。あなたは私を抑え込めればいいんでしょ?なんで凍らせないわけ?」

「…それは昔、焼かれたからな…」

「あぁ、そんなこともあったっけ…」

昔のことを思い出しながら、二人は数十分戦い続けた。

もちろん周りは氷が散乱したり、焼け野原になったりと後始末が大変な状態になっているのだが…


「はぁ…そろそろ終わりに…」

「…きた」

「?」

次の瞬間、バリン、と音がして、赤黒い空が砕け散った。

「…!結界が…」

「そう。あくまでも私の目的は結界を壊すこと。そして、今壊れた。完全に。現世と隠世はつながった。昔みたいにね!」

「まずいことを…してくれたな、まったく…取り返しがつかない」

「そうね。私も壊せはするけど直せはしない。というか、どうやって作るんだか…?」

「それはあの本に書いてあったじゃないか。彩は最初から…」

空から何かが落ちてきた。彩は下がる。二人の間に、距離が、ある。落下物は現世からのようで、飛行機のようなものだった。

「もう、これを使うしかなさそうだな…なるべく使いたくはなかったが…」

「相打ちかしら?嫌いじゃないわ」

「…白魔」

「うっ!」

あたり一面が吹雪により視界が阻まれ、パキパキと氷の音が響く。だんだんと手が悴んで、まるで凍っているかのような感覚…!

「せめて、里奈だけは…現世へ返してあげたかったんだけどなぁ…」


吹雪が消えたあと。彩は氷の矢があちこちに刺さり、致命傷を負っていた。いくら妖怪とはいえ、治せるほどの傷ではない。

「はぁ…霜月、やってくれたじゃないの…」

「もうだめだな。彩も、その傷じゃ助からない。隠世は崩壊寸前。現世も大混乱。結界も…」

「ごめんって…あ、里奈は…」

「里奈はここに…」

「彩さん…!」

「ふふ…私は、あなたを現世に帰したあと、自分の魔力全てを贄に捧げ、扉を閉じる予定だったんだけれど…あなたは帰りたくないみたいね…」

「帰りたいです、帰りたいですけど…でも…」

「里奈。君は現世に戻るのが幸せだと思う。僕からもそれを勧める」

「…はい!」

里奈は、現世に戻ることを決意した。

「さぁ、元の世界へお帰り…」

「はい!ほんとにほんとに、ありがとうございました!琴葉、絶対に忘れないからね!」

「うん!またいつか、あえたらいいね!」

と、約束を交わし、里奈は現世へと帰っていった…

「彩。魔力を全て捧げるということは、人間になるということ。それでも…」

「あら?命は助かるってこと?じゃあ…私も…」

「現世へ。何年振りか?帰るのは」

「忘れちゃったわよ…」

彩は、ふっと目を閉じた。


次回、最終回。

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