テラーノベル
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勇気を振り絞ってタロースに話しかけたのはギレスラである。
『勿論お言い付け通り、ここを出て行くに否は無い、そもそも不測の事態に襲われ、それとは知らず、本ー当ーに偶ー然ー迷い込んだだけなのだ、な?』
同意を求められたペトラも声を震わせながらも頑張って発言だ。
『そ、そうなのよ! 不可抗力だったの! 大体こんな不気味な所、自分の意思で来る訳無いじゃない、って、えっと…… す、素敵な場所ですね、あの、静かで…… 心地良いわ……』
頑張っている途中で、タロースの噴出している魔力が一気に増加した事に気が付いたペトラ、最後は消え入りそうな小声でご追従、所謂おべんちゃらを述べていた。
タロースは怒っているのか少し口調を早めて言う。
『おいっ! お前達の連れじゃないのか? そこのニンゲンは?』
『あっ、そうですそうです! おいっ、レイブっ、早く起き上がれよ、怒ってるみたいだぞ?』
『そ、そうよ! これ以上不機嫌にしたら暴れだすかも知れないじゃないの! ほらほらっ!』
タロースの接触に気が付いていないのか、一人だけ池に沈んだままのレイブを促すように、ペトラが前肢の蹄でつんつんとつつく。
プカァ ツイーィ……
つつかれたレイブは水面に対して伏せの姿勢を保ったまま、何の抵抗感もなく押された方向に流されて行ったのである。
『そいつ死に掛けてるぞ! もう一度聞くがお前達の仲間じゃないのか? 早く助けろよ!』
『は、はいぃっ!』
『きゃーっ! レイブお兄ちゃんっ!』
慌てて池の岸へと引き上げられたレイブの息は無かった。
顔面は蒼白を越えて青黒く変じ、手足の指や関節が不自然に緊張したまま強張っていて中々に気持ちが悪い。
恐らくだが、先に紹介した酸欠による死への道筋に、溺死の要素が加えられたからではなかろうか?
惨いものだ……
既に動かないレイブの顔を覗き込み、頬を叩いたり声を掛けたりしているギレスラとペトラにタロースが言う。
『可哀想だが既に死の直前だな、見れば良く鍛え上げられた若者の様だ、どれ、石化してここの仲間に加えてやるとするか、豚猪と竜よ、そこをどきなさい』
言い終えると同時に再び量、質共に爆増したタロースの魔力を前にして、二頭は口を噤み内心で高速のぐるぐるを詠唱しつつも、赤い巨人と横たわったままのレイブとの間に立ち塞がった、健気だ。
鴨之助
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いね
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#ファンタジー
成瀬りん
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コメント
1件
うわ、この話、雰囲気がすごく独特ですね。ギレスラとペトラの必死な言い訳が痛々しくて笑ってしまうけど、同時にタロースの魔力が増すたびに緊張感が高まって、すごく臨場感がありました。ペトラが途中で「素敵な場所ですね」に切り替えるところ、あのぎこちなさが逆にリアルで好きです。そしてレイブの描写……「プカァ ツイーィ」が不気味すぎてゾッとしました。石化して仲間に加える、という発想がこの世界の残酷さを感じさせて、続きが気になります。