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#音駒高校マネージャー
アウラウラ
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ガーベラが咲くころに
第2話 希咲望という人
高校三年生。
新しいクラスになって数週間。
菅原孝支は。
あることに気づいていた。
「希咲ってさ。」
澤村大地が言う。
「すごいよな。」
「何が?」
「何でもできるところ。」
菅原は教室を見る。
そこには。
何人もの人に囲まれている希咲望がいた。
「望。」
「ここ分からないんだけど。」
「どこ?」
「この数学。」
望はノートを見る。
「ここはね。」
「公式を覚えるより、どうしてこうなるかを考えた方がいいよ。」
優しく。
分かりやすく。
相手に合わせて教える。
「分かった!」
「ありがとう!」
「ううん。」
「頑張ってね。」
その笑顔。
菅原は思う。
(本当にすごいな。)
でも。
不思議だった。
どうして。
そこまでできるのか。
🌼
放課後。
生徒会室。
「望。」
「ん?」
菅原が机の上を見る。
大量のノート。
「これ……全部?」
望は頷く。
「うん。」
「テスト範囲まとめたやつ。」
一冊一冊。
丁寧な字。
分かりやすい説明。
重要なところには印。
「これ、いつ作ってるの?」
「毎日少しずつ。」
「テスト前に全部やるのは大変だから。」
菅原は驚く。
「でも。」
「これ欲しい人多いんじゃない?」
「うん。」
望は笑う。
「だからコピーして渡してる。」
「お金は?」
「いらないよ。」
その答えに。
菅原は少し困った顔をする。
「望」
「?」
「それ、さすがに大変じゃない?」
「……。」
少しだけ。
望が黙る。
その瞬間。
菅原は気づいた。
この子は。
頼られることが嬉しい。
でも。
自分の大変さは後回しにしている。
🌼
数日後。
教室。
「希咲。」
澤村が言う。
「いっそのこと、そのノート売れば?」
「え?」
「いや。」
澤村は笑う。
「みんな欲しがってるだろ。」
「だったら。」
「ちゃんと価値をつけてもいいと思う。」
周りも頷く。
「それいいじゃん!」
「希咲のノートなら買う!」
望は困る。
「でも……。」
「いいんだよ。」
菅原が言う。
「望が頑張って作ったものだから。」
その言葉に。
望は少し驚く。
「じゃあ。」
「買った人が決めることにする。」
「100円でも。」
「500円でも。」
「払いたいと思った分だけ。」
こうして。
希咲望のノートは。
学校中で有名になった。
🌼
さらに。
テスト一週間前。
「教えて!のぞみ先生!」
そんな名前がついた勉強会まで始まった。
「一時間お願いします!」
「数学だけでも!」
「いや、全部教えて!」
望は苦笑する。
「先生じゃないんだけどな……。」
でも。
誰かが分かるようになる瞬間。
それが好きだった。
🌼
そんなある日。
生徒会室。
「スガさん。」
日向翔陽がやってくる。
「勉強教えてください!」
「俺も。」
影山も続く。
「テストやばい。」
「お前ら……。」
菅原は笑う。
「分かった。」
そこへ。
「ここ、違うよ。」
突然。
望が声をかける。
「え?」
日向と影山が振り返る。
「この問題。」
「日向くんは暗記より、図を書いた方が分かりやすい。」
「影山くんは計算は速いから、文章を最後まで読む癖をつけたらいいと思う。」
二人は目を輝かせる。
「すげぇ!」
「分かりやすい。」
その日から。
日向と影山は。
望を見るとすぐ寄ってくるようになった。
🌼
少し離れた場所。
月島蛍が見ていた。
「……。」
「何であの二人。」
「希咲さんの言うことだけ聞くんだろ。」
気になって。
後をつけてみる。
そして。
気づいた。
「なるほど。」
ただ頭が良いだけじゃない。
相手を見る力がある。
だから。
人が集まる。
🌼
帰り道。
菅原は望と歩いていた。
「望。」
「なに?」
「疲れない?」
望は少し考える。
「……疲れる時もあるよ。」
初めて聞いた。
弱音。
「でも。」
「誰かが笑ってくれるなら頑張れる。」
菅原は思った。
この子は。
完璧なんじゃない。
誰かのために。
完璧でいようとしているんだ。
そして。
その日から。
菅原孝支は。
希咲望という人を。
もっと知りたいと思うようになった。
コメント
1件
第2話、めっちゃ良かった…!希咲さんの「相手を見る力」が自然に描かれてて、ただの優等生じゃない人間味が伝わってきたわ。特に菅原が「完璧なんじゃなくて、誰かのために完璧でいようとしてる」って気づくシーン、グッときた。ああいう気づきって、本当に人を大事に思ってないと出てこないと思うんだよね。月島がこっそり観察してるのもちょっと笑えたけど、彼なりの興味の持ち方って感じで好きだわ。次も楽しみにしてる🔥