『どうして最低なの?僕は、恭香ちゃんが好きだよ。確かに…少し菜々子に気が行ってしまった…本当に最低なのはフラフラした僕だから』
『そんなことないです。私、一弥先輩のことずっと好きで。でも、一弥先輩は菜々子先輩が好きで…そんな時に本宮さんが現れて。私、今…一弥先輩が好きなのか、本宮さんが好きなのか…本当にわからないんです。それが本音で…本当にごめんなさい』
こんなことを一弥先輩にストレートに話してる自分が信じられない。
『僕を好きでいてくれたなんて…すごく嬉しい。本当に…嬉しいよ。なのに僕は、ちゃんと決めれなくて菜々子に告白してしまった。だから…今の恭香ちゃんの気持ちわかるよ。ただ、僕は菜々子のこと…今は1ミリも未練ないし、恭香ちゃんしか見てないんだ。まあその分、僕は余計に最低なのかも知れないね…』
一弥先輩…
私のこと好きでいてくれたなんて…
それだけで奇跡だよ。
こんなこと…あるんだ…
『恭香ちゃんが誰を好きかまだ決められないのに、こんなことしたらずるいかな…?でも、本宮君じゃなくて…僕と付き合って欲しい』
一弥先輩の顔が、さらに目の前まで迫ってきた。
もう、ダメだ…
くちびるが…
触れてしまうよ…
目を閉じる?
もう、あと数ミリ…
『ダメ』
あ…
私、一弥先輩を突き放した…
なんで?
こんなに好きで、胸が熱くなってるのに。
このまま一弥先輩と付き合ってしまえばいいのに…
なのに今度は…
朋也さんが、私の頭の中に出てきてしまった。
あの時のことがフラッシュバックしてくる…
もう、嫌…
優柔不断な自分に心底腹が立った。
私は、梨花ちゃんみたいに部屋を飛び出した。
大好きだった先輩が、せっかく好きだって言ってくれたんだよ…
本当にバカだよね、私。
一弥先輩は、しばらく部屋から出てこなかった。
ミーティングルームに戻ったら、梨花ちゃんがいた。
『恭香先輩~』
そう言いながら、笑顔で私の前にきた。
ちょっと…ドキドキする。
何を言われるんだろ。
『一弥先輩と付き合うんですか?私、応援しませんよ。恭香先輩みたいな人が、あんなイケメンと付き合うなんて、正直笑いものですから。身の程知らずです』
このキツいセリフ、笑顔で言うこと?
『…一弥先輩と付き合うとかそんな話しにはなってないから。確かに付き合ったとしたら身の程知らず…だよね。私も梨花ちゃんみたいに可愛い女の子なら…良かったんだけど…』
『一弥先輩に好きだって言われて調子に乗らないで下さいね』
梨花ちゃん…
そう言われても、私は…
この顔でずっと生きてきたんだよ。
まるで自分の人生を否定されるようで、とてもショックを受けた。
でも…
一弥先輩と朋也さんに告白されたことは、夢じゃない現実なんだよね…
全然まだ信じられないけど、これって…
頑張ってれば絶対良いことあるって…
そう信じて真面目に生きてきたご褒美…なのかな?
だけど、それに甘えてずっとこのままにしてたら、そのうち2人ともに愛想つかされて嫌われてしまうよね。
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