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第4章
処刑の朝。
少年は手錠をされ、処刑室へ連れて行かれる。
神父は後ろ姿を見つめ、胸の奥で祈る。
独房での日々、孤独、冷たさ、絶望――
それでも少年は胸の奥で小さな火を抱き続けた。
処刑が終わった後、神父は被害者の家を訪れる。
19歳で亡くなった兄の弟が、リビングで静かに座っていた。死刑囚の告白により、 神父だけが真実を知っている。
弟は兄との口論の末、勢い余って兄の頭部を角にぶつけ、即死させてしまった。
パニックになった弟は死刑囚を呼び寄せて隠れて、通報した。
その結果、少年に濡れ衣が着せられ、死刑判決が下されたのだった。
神父は沈黙のまま、弟を見つめる。
言葉は必要ない。
赦しは死ではなく、生きた証と行動の中にあることを静かに伝える。
弟も沈黙の中で胸の奥の罪と悲しみを受け止める。
言葉を交わさず、過去と罪、赦しと悲しみが交錯する。
少年の死は避けられない現実だが、神父の祈りと存在は、生きる者たちの心に微かな光を残す。
赦しは、生にある。
沈黙の中で、それは確かに存在していた。