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「あれ? わたし、さっき死んだと思ったのに……」


コンビニで立ち読みをしていたら、急に暴走自動車が突っ込んできて「あ、終わった……」と思ったのに、ちゃんと生きている。


物凄い生命力だと我ながら驚いていると、あることに気がついた。


「なんか、服装が変わってる?」


Tシャツ、デニムパンツにスニーカーで出掛けていたはずなのに、今は黒いドレスにハイヒールを履いているし、なぜか右手に謎の木の棒を持っている。


「何これ、いつの間に……」


まるで、ちょうどいい木の枝を見つけるとすぐ拾ってしまうわんぱく小僧か、額に傷のある某有名魔法使いのようだ。


「この棒を振ったら魔法が使えたりして。ファイア〜、なんちゃって」


ふざけて棒を振りながら呪文のようなフレーズを口に出してみると……



ボオッ!



棒の先から火が噴き出してきて、わたしは腰を抜かしそうになった。


「はぁ!? 本当に火が出てきたんだけど!?」


しかし、驚いたのも束の間。突然いろいろな記憶や知識が頭の中に入ってきて、わたしはすべてを悟った。


「……なるほど、ここはシンデレラの世界なのね」


どうもわたしは前世での死後、シンデレラの世界に転生したらしい。しかも、主人公のシンデレラではなく、彼女を助ける魔法使いとして。


「あれ、でもちょっと待って。魔法使いっておばあさんじゃなかった!?」


まさか老婆に転生してしまったのかと思って慌てるが、手や足を見る限り若々しそうだし、顔もシワっぽい感じはしない。


「魔法で鏡とか出せるのかしら。ちょっと試しに……えいっ!」


木の棒──ではなく、魔法の杖を一振りしてみると、ちょうどいい感じの手鏡が出てきた。


「やだ、魔法ってめちゃくちゃ便利ね」


こんな魔法が使えれば、旅行でメイク道具を忘れたって焦る必要はないし、リップクリームと間違えてスティックのりを持ってきてしまった時だって落ち込む必要はない。


せっかく転生したのにヒロインじゃないんかい! と思ったりもしたが、魔法使いは魔法使いでアリな気がしてきた。


「あとはどうか美人な顔になっていますように……」


魔法使いだったら、どんな顔でも魔法で美人に変身できそうだけれど、素の顔がいいに越したことはない。


ドキドキしながら手鏡を覗き込んだわたしは、そこに映った顔を見て驚きの声を上げた。


「うそっ! すっごい美人!」


神秘的な銀髪に、紫水晶アメジストの瞳。長い睫毛が陶器のような白肌に影を落とし、形のいい唇は上品でありながら、どこか色気も感じられる。


間違いなく、相当の美女だった。


「やば、これシンデレラも超えちゃってるんじゃない?」


前世は至って平凡な顔で、特に何の取り柄もない人間だったのに、転生して魔法が使えるようになった上、美貌まで手に入れられたなんて。死んでよかったかもしれない。


ひとしきり自分の顔に見惚れたところで、わたしは自分の使命を思い出した。


「そうだ、シンデレラを助けてあげないと」


それが、この世界でのわたしの存在意義だ。


意地悪な継母や義理の姉たちからいびられているシンデレラを手助けし、お城の舞踏会へ連れて行き、王子と結ばれるようにすること。この仕事はしっかりこなさなければならない。


「でもまあ、楽勝でしょ」


一番重要なのは、来月の舞踏会イベントだけだ。

あとは時々様子を見に行って、継母&義姉たちのイビリから助けてあげればいい。


そうして、無事にシンデレラと王子を結婚させたら、もうお役御免で魔法使いの出番はなくなる。


つまり、美人魔法使いとしての今世を思う存分楽しめるのだ。


「よーし、張り切ってカップリング成立させるわよ〜!」


わたしはウキウキしながら今世でのリア充ライフを思い浮かべるのだった。


シンデレラの魔法使いに転生したので原作通りにカップリング成立させようとしただけなのに

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