四季ちゃんが居なくなったことは鬼機関に一斉に広まった。
彼女が所属していた戦闘部隊にも知らせが届いた。
鬼神だった、とういこともあり全国各地で勢力を上げて捜索を試みたものの姿形も、情報の一つでさえも見つかることはなかった。
「は…」
「一ノ瀬先輩が…」
「なんで…」
「先輩が…、」
並木度達に伝えれば放心状態だった、上手く言葉にならない。なんて言えば良いかわからない…
「鬼神の1人だということもあるから、全勢力を尽くして捜索に臨む…」
無蛇野の声に反応を示す音は無くただただ、厳かな空間に浸透していった。
数時間、数日、数週間、数ヶ月…と月日はどんどん経過していくにも関わらず、四季の情報は一切も見つかることはなかった。
杉並区の基地内で取られた映像が最後の姿だった。
その日は2月2日。
彼女の誕生日の前日だった。寒さが刺さるような気温の中画面上の四季は白い息を手に吐いて、歩き出した。
わかるのはたったこれだけ。
『一ノ瀬四季は誕生日の前日に消えた』
ただそれだけ。
消えてから半年が経った、未だ四季は見つからないし情報もない。もう意味がないと諦めを抱く者も少なくはない、勿論そうでない者もいるが徐々にそんな鬼は減っていった。
それでも無蛇野や花魁坂、淀川。並木度に紫苑、そして印南と猫咲。彼らだけは探すことを決して辞めなかった。
『一ノ瀬四季と思われる鬼がいる』
その情報は四季がいなくなってから5年が経ったある日に突如届いた。情報源はとある桃太郎が戦闘中に挑発を掛けるように叫んだ言葉。
「鬼の女1人を5年かかっても見つけられないなんてな!」
鬼。
女。
5年前。
これらのキーワードに当てはまるのは四季だけだった。
すぐさま桃太郎を拘束して尋問にかけた。けれど出てくる言葉は虚言も混じった
「東京か、京都…いや大阪だったかな」
両腕を後ろで縛れて、殴打された顔面には数多のアザと切り傷が残っている。
「良い女だったよ!!甲高い声で鳴いたりしてよぉ!!」
言い切るよりも早く、無蛇の傘が男の頬の横をすり抜けていた。傘の先端は薄皮一枚なんざ容易に割いてしまう。
反対方向の壁にに突き刺さった傘は深いひび割れを生んだ。
「ダノッチ、やりすぎはダメだよ」
怒気を含みつつも冷静であろうとする花魁坂の声は部屋に良く響いた、それこそ桃太郎が殺されないと勘違いするほどに。
「わかってる」
「…死ななきゃ良いんだろぉ?」
「……そういう事だ」
背後から突然聞こえた低い声に桃太郎は背筋に汗を伝わせて、短く悲鳴をあげた。
次回四季ちゃんが拷問をかけられているシーンが出てきます…
性的な方と暴力的な方の両方を書くつもりですが生々しい描写がある可能性がございますので、そういう痛々しいのが無理だよ〜という方がおりましたらコメントお願いします!!
コメント頂けましたら軽めの方も出しますので…
コメント
5件
待ってました! そういうの大丈夫です!!
暴力系とか大好きなのでできれば書いてほしいなって思います!
すごくLOVEです!続き待ってます!