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流れた汗を感じて漸く自身の命が軽々しく奪われる。奪うことができる奴らに囲まれていて、命の天秤は徐々に傾いているということに気付いた。


「…分かった!知ってる事は全部話す!勿論嘘は一切つかない!約束しよう」

「確認が取れるまで拘束してくれて構わない!だから頼む!!確認が取れたら逃してはくれないか!」


都合が良い奴だ。鬼の奴らもどうせそんな感想しか出てこないだろう、何せ家族だって居る。

それに…


「…チッ」

「おまえが決めろよ」


首に当てていたナイフを無蛇野に手渡し、壁に寄りかかった真澄。


「話せ、判断はそれから決める」


「約束は守ってくれよ…」




ー四季


吐き出した息は白くて、スマホで時間を確認すれば10時を回っていた。時計を確認すれば必然的に日付も目につく。

明日は誕生日。

何かが変わるわけでも無いけれど、ただそれだけで気分が上がるような気がした。



コンビニに向かう途中で路地裏に引き摺り込まれる女性を見た。伸ばされた手は暗闇に飲み込まれた。

助けなきゃ、そう判断するよりも早く体は動いて駆け寄った。直様曲がれば、夜ではやけに目につく白いスーツが見えた。


「桃太郎かよ…」


さっきの女性も雇われた人間だろう、何も知らないような顔でこちらを覗き見ている。


「一ノ瀬四季だな」


「…だったら何だよ」


「来てもらおうか」


「断る、と言ったら?」


睨みあいのしていた桃太郎はニヤッと口を歪め横目で女を見た。


「……チッ」


言わずともわかる、人質を取られている現状じゃ断ることも反撃するのも得策ではない…短くため息を吐いて承諾を口にしながら、夜空の月を仰ぎ見る。

偵察隊の2人にごめんと心で謝っておいた。


桃太郎に連れられながら車に乗り込んだ途端に暗闇に光る電気が一瞬だけ見えて、四季は意識を簡単に手放した。




目を開ければ四季は椅子に括り付けられていた。隊服のままロープでぐるぐると。

この状態だと指が噛みきれないから、無人みたいに指輪型の刃物を持ち歩いていれば良かったと少し後悔していれば、ザッと足音が響いた。


「初めまして、鬼神…一ノ瀬四季」


桃太郎と思われる人間がそう言った。人を見下して嘲笑う声で。


「まずは、何から聞こうか…」

1人話す桃太郎が指先をクイと曲げれば部下の1人が四季近付いて縄を解いた。拘束が外された一瞬を狙って、指を噛みちぎろうとした。

まさにその瞬間首裏からバチリと耳を裂くほどの音が聞こえる。


同時に視界は端の方から暗く滲んで焦点が上手く合わない、真っ直ぐ進むことが出来ない。身体の自由がまともに取れなくなった。


手足は痺れて、膝から崩れ落ちた。未だ拘束されていた左腕は鎖と繋がれているせいで、ガシャリと音を立てた。実に不快でしか無い音。



「…で、んき。かよ…」


痺れのある舌で小さい音を出せば、四季の薄い顎を片手で掴み上げて汚い笑顔を近付ける。


「君は逃げる事が出来ないよ…一ノ瀬四季」

「いや…君は今日からモルモットだ!」

「鬼神で雌、素晴らしい実験対象だよ!!」


何をされるのか…とこの先のことを電流で上手く働かない頭で緩く考えた。






血蝕解放を使おうとすれば首輪のせいで使えない、脱走は鎖が邪魔。

これは血が使えれば外せるから大して問題は無い。

強いていうなら、くっそ硬いクッション性を感じられないこのベッドだろう。

拘束器具が上下左右に付いている、腕用の拘束は肘まであるタイプ。しかも三重になっている。言ってみれば拘束型酸素カプセルみたいなものだ。

こんな物が実際あるんだな…なんて一瞬思ったけども桃太郎は政府とも繋がってるしそれぐらいあっても当然か。と無駄に冷静に考えた。


カプセルは金属と見た感じ強化ガラス。鋼鉄の柱とガラス、プラスチックでできた壁によって四方から監視されている。その上監視カメラが四方八方に存在している…

全く…暇なのか、桃太郎機関というものは



そうやって誤魔化しつつも脱出の糸口を考える。思考で頭を埋め尽くさなければ別の感情に包まれそうだから。






次回の7話は2パターン出します!エロ中心の暴力描写少なめな拷問の方と、暴力中心のエロ少なめ拷問の2つです。


ただ…長くなります…許してください…


どっちも拷問な事に変わりはないんで、お好きな方を読んでいただけると幸いです…

1個目の方は大して直接的な暴力シーンは書かない予定です。


どちらを読んでも、話は繋がります。

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