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銃撃戦の喧騒が、ズズの叫びに飲み込まれたかのように静まり返った
空気はまだ火薬の匂いで重たいのに時間だけが止まったようだった
ウェスカーの手が震える
銃口がわずかに下へと落ちる
やがて床に「カラン」と乾いた音を立てて滑り落ちた
「……ズズ」
その声は怒号でも威圧でもなく、ひどく弱々しい響きだった
ウェスカーは一歩、また一歩とズズに近づく
ズズは動けず、ただ見つめ返す
次の瞬間、強い腕がズズを抱き締めた
胸に押し付けられるほどの力
「……お前を失うくらいなら、街ごと燃やす覚悟だった。だが……それでお前が泣くなら、俺の意味がない」
ズズは息を詰めながら、なんとか冗談を返す
「……ボス、抱きしめ方強すぎて……ネタ帳潰れてまうやん」
ウェスカーはかすかに笑い、しかし離そうとしない
「檻でも鎖でもない。……俺はこうして、お前を俺の腕の中で繋ぎ止めたいんだ」
ズズの胸に切なさが広がる
支配でも束縛でもなく、ただ必死に愛そうとする怪物の姿
それがウェスカーの本音だと、ズズは気づいてしまった
「……ホンマ、ずるいな。怖い顔して……一番弱いのは、あんたやんか」
ヴァン・ダーマーは沈黙して二人を見つめていた
その瞳には嫉妬と悔しさ、そして僅かな諦めが揺らめいていた
ズズはウェスカーの胸に顔を埋めながら、かすかに笑った
「……ほな、オチは“愛に勝る銃なし”ってことで……ええやろ?」
ウェスカーの答えは、より強く抱きしめる腕だった